欧州特許庁(以下、EPO)は「EPOテクノロジー・ダッシュボード2025」を発表。
特許出願受理数は全体として平均1.4%増加し、初めて20万件を超えた。


日本からは電気機械・装置・エネルギー、コンピューター技術分野が伸び、約2万件の出願で国別ランキングで第4位となった。


「EPOテクノロジー・ダッシュボード2025」が公開。日本は第4位

「EPO テクノロジー・ダッシュボード 2025」が公開。特許出願受理数で日本は第4位
欧州特許出願におけるリーディングカンパニートップ40

EPOから「EPOテクノロジー・ダッシュボード2025」が公開された。
特許出願受理数は20万件を超え、過去最多を更新。
日本は2024年度比+1.1%の約2万1千件で国別のランキングだと第4位となり、数年間の安定・低下傾向から転換したと言える。



国別特許出願受理数ランキングトップ5は以下の通り。


  • 1位: 米国(2024年度比-1.%、47,008件)
  • 2位: ドイツ(-2.2%、24,476件)
  • 3位: 中国(+9.7%、22,031件)
  • 4位: 日本(+1.1%、21,304件)
  • 5位: 韓国(+9.5%、14,355件)

2025年度における日本の特許出願動向

「EPO テクノロジー・ダッシュボード 2025」が公開。特許出願受理数で日本は第4位
日本からの欧州特許出願の上位技術分野
「EPO テクノロジー・ダッシュボード 2025」が公開。特許出願受理数で日本は第4位
日本の2016年から2025年にかけての欧州特許出願数

日本からの欧州特許出願の上位技術分野は、電気機械・装置・エネルギー、コンピューター技術、輸送となった。


電気機械・装置・エネルギー

2024年度比は+13.6%で、特に電池関連出願は+23.8%と大きく成長した。
EPOの電池特許出願上位10社には、パナソニック、トヨタ、AESCの3社がランクイン。
中国、韓国ともに世界の電池イノベーションをリードする存在となったと言ってもよいだろう。


コンピューター技術

2024年度比+14.3%となり、EPO全体の平均成長率を上回った。
この分野で特筆したいのは量子技術である。
規模は小さいながらも、2024年度比+171%の65件となり、主要特許出願国の中で最高成長率となった。
EPO全体の量子技術分野における特許出願で首位に輝いたのは富士通であり、日本の量子技術分野を強く牽引している。



AI関連分野は-9%の243件で、米国(+26%)、中国(+4%)、欧州(+3%)とは対照的な結果となった。
ただ、日本は2019年から2024年にかけて年平均+22%の成長率を達成してきた上での数字であることは留意しなければいけない。


輸送

2024年度比+0.4%と微増で、日本の長期的な減少傾向やEPO全体のトレンド(-1.2%)とは逆の結果となった。
トヨタは自動者分野やEV技術のサブ分野においてEPOの最多出願者となり、両分野で2024年トップだったボルボ・グループを上回る結果に。
さらに、総出願件数でもトヨタは自動車メーカーのトップとなっている。



EPO全体の上位技術分野は1位から順番にコンピューター技術(+6.1%)、デジタル通信(+11.4%)、電気機械・装置・エネルギー(+5.3%)となった。
コンピューター技術ではAI分野が成長をリード、デジタル通信では6Gモバイルネットワークの技術開発競争がグローバルに展開したことが上位の要因である。
電気機械・装置・エネルギーでは、電池イノベーションが急増したことが背景にある。


「EPO テクノロジー・ダッシュボード 2025」が公開。特許出願受理数で日本は第4位
2025年度の日本からのトップ申請者

2025年の日本の出願上位企業は以下の通り。


  • 1位: ソニーグループ(1,032件)
  • 2位: パナソニック(922件)
  • 3位: キヤノン(838件)
  • 4位: 富士フイルム(753件)
  • 5位: トヨタ自動車(748件)

日本の多様なイノベーション基盤を反映した結果になっている。


「EPO テクノロジー・ダッシュボード 2025」が公開。特許出願受理数で日本は第4位
2025年度のトップ申請者

2025年の世界全体の出願上位企業は以下の通り。


  • 1位: サムスン(5,337件)
  • 2位: ファーウェイ(4,744件)
  • 3位: LG(4,464件)

EPOトップ40に、日本の企業は7社ランクイン。
その中でも大きな伸びを見せたのはトヨタで2024年の第43位から第25位と大きな飛躍を見せた。


ユニタリーパテント(単一効特許)への関心が拡大

2023年に開始されたユニタリーパテント制度は、EPOへの1回の申請でEU加盟18か国においてより簡便で利用しやすい特許保護をイノベーターに提供する仕組みだ。
欧州域外、特に日本から大きな関心が集まっている。
2024年の7.9%から2025年は9.8%と上昇しており、今後も拡大していくようだ。


EPO長官アントニオ・カンピーノスのコメント

記録的な特許出願件数は、欧州のイノベーション力とグローバルな技術市場としての魅力を裏付けるものです。
テクノロジー・ダッシュボード2025は産業セクター全体の進捗と課題を追跡し、欧州の政策立案者が技術主権と競争力強化に向けた優先分野の特定や施策・投資の重点化を支援するものです。
単一特許制度がすでに障壁を取り除き、より統合された欧州イノベーション市場への移行を加速させている一方で、特にAI・半導体・ヘルスケア・量子技術といった戦略的分野への継続的な注力が必要です。


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