
「子供の笑顔が見たいから」――漫才を続ける理由を常にこう表現する金属バット。彼らはTHE SECONDという大会に何を託し、どんな目標を抱いているのだろうか。
金属バットが絶対やりたいCM
――THE SECOND、ちょっとお二人のことも念頭にあっての開催決定じゃなかったのかなと思ってしまうんですよね。タイミング的にも。
友保 昔から(構想は)あったみたいです。15年以上のやつやろうみたいな。立ち上がりゃ潰れ、立ち上がりゃ潰れでいろいろあって。審査員をどうするかで揉めたりとか。で、結局賢いイルカが見つかったんでゴーサインが出たらしいんですけど。
――イルカすごい。
友保 エピーっていう名前のイルカがどこのフラフープをくぐるか。
小林 7匹のイルカやないんや。
友保 エピーっていう1匹のイルカが決めるって聞いたよ。
――記事が配信される時には審査員も明らかになってるはずです。
友保 いや、だからこれも情報が錯綜していて、俺らはイルカが審査すると聞いたんで。
――先ほど外で撮影していた時の周囲の反応も、半年前の取材時とは少し違ったような。声をかける人が多かったです。
友保 芸能人なんすよ、タレントなんですよ。
――優勝したらCMの話とかもくるんですかね。
友保 いいっすね、いい金でね。
――小林さんはどんなCMをやってみたいですか。
小林 自民党ですかね。
――取り戻したがってますね。
友保 僕は一個やりたいCMがあるんです。大阪の桜ノ宮にタワーズホテルってのがあるんですけど、そのCMですよ。
小林 みなさんの地域でも流れてました?
友保 「タワーズ♪ タワーズ♪ 桜ノ宮タワーズホテル♪」。あと、南海部品ね。
小林 中学の先輩に部室で「『おとなの絵本』なんか見たことないやろ」とか言われたな。
友保 あの一瞬のAVコーナーね、全員が目開いて、覚えて帰ろおもてね。いざほんちゃんのAV見て、オ●コちゃんと映んのやっていうね、んで引くっていうね。んで全員がフェラチオのシーンは飛ばす。
※『おとなの絵本』:サンテレビが制作していた深夜放送のお色気バラエティ番組
「関西ローカルCMで育ったんで」
――いい話ですね。
友保 『おとなの絵本』が終わって西川のりおの『のりノリ天国』、通称・のり天が始まって。チチリンピックね。
小林 チチリンピックよかったすよね、オリンピックよりもよかった。
友保 朝倉まりあって言うスーパーボインのオネェちゃんがおって、俺が19歳の時に一緒に住んどったヤンキーの連れが朝倉まりあに似てるいうて。俺は裏でそのヤンキーのことを朝倉まりあって呼んでた。
小林 高校にも及川奈央そっくりのヤツおった。
友保 あともう1個ホテルWinbell Magic、あのCMもやりたいですね。あと岸和田セント・ジョーンズ・チャーチ。
――関西ローカルCMがやりたいわけですね。
友保 やりたいっす、やっぱりそれで育ったんで。恩返しですかね。
――今web CMは芸人さんが出演されているものが多いですが。
友保 やってますよね、チャペルクリスマスとか、もしもしピエロとか。
――全部ラブホテルですね。それはやってないと思います。
友保 そうなんですよね、南海部品とか。
小林 ホテルニューアワジ。
友保 いや、でもあれはちょっと違う。やっぱりのり天の、あの時の。目ギャンギャンのやつ。
小林 赤髭先生は見れへんのに?
友保 あれはおもんない、赤髭先生のコーナー見てました?
――見てないです。
友保 マジであれおもんなかったす。
小林 あれ好きやってんけどなぁ。
友保 あれ全然おもんない、赤髭先生出てきて偉いべっぴんのオネェちゃん5人くらい並べて。
小林 AV紹介より好きやったもんな。
友保 あの番組チチリンピックとAV紹介見る番組やったからね。その間に赤髭先生あって、あんときはみんなどっか行くねん、トイレ行ったり。
小林 いやいやいやリアルやもんあれ。
友保 リアルとかないやろ、リアルAVやろ。
――赤髭先生は何を言うんですか?
小林 女性の性の悩みを解決してくれるんですよ。
友保 女性の性の悩みより男性の性で悩んでる。のり天は刺激強かったですね。あと『ミニスカポリス』。あれ、『ミニスカポリス』の放送の前が『エヴァンゲリオン』ですからね。
みんな『ミニスカポリス』が見逃がしたくないから、ちょっと前から準備しててテレビつけたら『エヴァンゲリオン』始まって。「なんやこのアニメ!」って感情ぐちゃぐちゃにされて。で、そのあとえらいべっぴんのネェちゃんの裸見て頭おかしなっていく。
『おとなの絵本』『のりノリ天国』
『ミニスカポリス』『ギルガメッシュないと』…
――『エヴァンゲリオン』見てたんですか?
友保 見てた。『ミニスカポリス』見るために。中学生くらいですね。『ギルガメッシュないと』も見てた。
小林 石黒賢さん出てましたよね。石黒賢が出てるやんってなった。
友保 何役で?
小林 普通にレギュラーで。
友保 スタジオに?
小林 ギルガメやなかったような、ギルガメの後の番組の『アルテミッシュNIGHT』。
友保 たぶんそうやろな。のり天の時おらんかったもんな、へびいちごさんがおったから。
――へびいちごさんもTHE SECOND出ようと思ったら出られるんですか?
友保 へびいちごさんは劇場出禁らしいです。
――あと何聞こうと思ったんでしたっけ。
友保 書いてきなはれ! 質問を箇条書きしてきなはれって、メンズノンノはきっちり書いてきましたよ。
小林 メンズノンノと集英社オンラインの取材はライターの差やな。
友保 質問リストアップしてたな、ブレてもいいように。あんなスパスパ聞かれると思わんやった。
――ライターにもタイプがあるんですよ。硬そうな板の上に質問書いた紙乗っけて質問したら消していく人もいる。
小林 硬そうな板。
友保 よろしいやん。
――いつもあれいいなと思ってるんですけど、あの板売ってないんですよ。
友保 なんやねん。
小林 板売ってなかったらかたらしょうがない。絶対に売ってるけどな。
友保 穴あけよ、ドリルバイスで穴あけたらえぇやん。
小林 板の問題じゃないですよ。仕事に真面目に取り組むかどうか。
友保 前提ではない、やる気の問題。
小林 今日は仕事だという気分で来てるか、今日は飲み会だという気分で来てるかこの違いやと。
――編集さんが以前BRAHMANのTOSHI-LOWさんをインタビューした時、一個一個箇条書きした質問をしようとすると、「ちょっと待って。一個一個やるんやめない?」と。もっと対話しながらやりましょうと言われたそうです。
友保 へい。
ーーその時のライターが私だったかもしれません。TOSHI-LOWさんに言われてこうなった。
友保 その時のライターも俺ですよ。誰でもいけるやつやこれ。
小林 俺も言われました、TOSHI-LOWさんに。いやトッシンに。
もし突撃取材が来たら…
――THE SECOND優勝して、さらに知名度が上がるとアポなしで突撃取材されるなんてこともありそうですね。突撃取材はいかがですか。
友保 一緒におるヤツに迷惑がかかるんやったら怒りますけどね。
小林 状況によりますよね。
友保 川で酒呑んで川におしっこしに行った時に言われたら全然答えますけど、誰ぞとおるときに来られたらそら怒りますよ、「常識ないんけ」ってなる。難波hatchの川でおしっこして浮き輪浮かべて遊んでる時に来られたら全然オッケーすよ。もしもオレがLoftとか行って石鹸選んでる、そんな1番ダサい時に来られたらまじで嫌やな。
小林 Loftで石鹸選んでるのか?
友保 いや、こんなんがあるんやおもて。
――Loftで石鹸は嫌かもしれないです。
友保 オレも嫌やねん。
――LUSHだったらいいですか?
友保 LUSHも嫌や。
小林 LUSHの方が嫌やな、それ目的で行ってるしな。Loftは他の目的のついでの石鹸かもしれんけど、LUSHはそれ目的で行ってるからな。
友保 LUSHの入り口、大人があんな泡バーンやってどうでしょうみたいな。舐めんなよって、ワシもう37歳やで。ブクブクで惹きつけられるかい。
「子供の笑顔が見たいから」漫才をしている一方で、「関西ローカルのラブホテルのCM」に出たいという金属バット。彼らは全国放送のゴールデンタイムでどんな漫才をしてくれるのだろうか。
優勝したら見れるかもしれない。
朝の情報番組でじゃんけんをする金属バット。
黒スーツにサングラスの男たちに追いかけられる金属バット。
THE SECONDでの彼らの漫才が楽しみで仕方ない。
おわり
取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春