
広告代理店に勤めるイケメンの旦那とタワマンに住み、小学生の息子は有名私立を目指せるほど成績優秀、後輩からも頼りにされるバリキャリウーマン……どこを切り取っても幸せそうな字面だが、その人は本当に幸せなのだろうか。あなたは人の内面が本当にわかりますか? 話題の漫画『タワマンに住んで後悔してる』は心を揺さぶられる問題作だ。
漫画家グラハム子さんの、
シンプルな絵柄と不穏な内容のギャップ
九州から念願の東京転勤が叶い、憧れだったタワマン(低層階)の部屋を購入した渕上(ふちがみ)家。専業主婦の舞は初めての東京暮らしに戸惑いながらも、息子・悠真の野球チームを通して同じタワマンに住むママ、サバサバ系バリキャリウーマン・瀧本香織(中層階在住)とボスママ的存在のエリート駐在妻・堀恵(高層階在住)のふたりと交流を深めていく。
いま話題の漫画『タワマンに住んで後悔してる』の原作者である窓際三等兵氏は、タワマン文学の先駆者として知られ、別名義である外山薫の小説『息が詰まるようなこの場所で』でも、タワマンを舞台に都市で暮らす人々の格差や嫉妬心を描いてきた。
今回の漫画で担当編集者が仕事を依頼したのは、昨年『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』(KADOKAWA)で話題をさらった漫画家グラハム子さん。
子を持つグラハム子さんに執筆を依頼したのには狙いがあるという。担当編集者に話を聞いた。
――率直に、今回グラハム子さんを起用された理由を教えてください。
グラハム子さんに漫画をお願いしようと思った理由は、小学生のお子さんがいらっしゃることと、絵柄でギャップを作れることの2点でした。
本作はそれぞれ小学生の子どもをもつ母親視点で物語が展開されていくので、母親たちの行動や心情にご意見をいただける方を探していました。また絵柄はコミックエッセイならではのシンプルな絵柄で、不穏な内容とのギャップを作りたいと考えていたので、グラハム子さんのほんわかしつつも、人物の表情や心の機微を細かく描ける点がピッタリだと思い、オファーさせていただきました。
――マウンティングの生々しさや、(タワマンに住んでなくても)あるあると思うイラっとする感情など、不穏な描写にリアリティがありますね。
今回グラハム子さんとは初めてお仕事させていただいたのですが、原作の解釈能力の高さに驚きました。
台本のような形で原作をお渡ししているのですが、行間にある登場人物の心の機微をしっかり絵に落とし込んでいただいたり、随所にさりげないアドリブも入れていただいたりして、原作を知っているのに、ネームを読んでさらに面白い!と思ったのを覚えています。
また人間的にもユニークな方で、新しい提案や意見をどんどんくれるので、内容をブラッシュアップしていくうえでとても助けていただきました。
中層階に住む滝本家の物語を特別に無料で公開。野球にのめり込むあまり、成績が落ちてしまう息子に、旦那の浮気疑惑…段々と追い詰められていく香織は―。
次のページから13~16話を無料で配信する。
原作/窓際三等兵 漫画/グラハム子
『タワマンに住んで後悔してる』
原作:窓際三等兵 漫画:グラハム子
同じタワマンの低・中・高層階に住む家族3組の虚栄と内情。
そこから見えるのは救いか、絶望か。
「タワマン文学」の先駆者、窓際三等兵氏の完全描き下ろし原作を、
『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』などの話題作をもつグラハム子氏が漫画化!