
バレーボール元日本代表の木村沙織さん。家族で運営するカフェでは自ら毎日焼き菓子を焼いていたほどスイーツが大好きな彼女に、バレンタインデーやチョコレートにまつわる思い出をきいてみた。

気になる男の子に渡せなくて号泣
──木村さんのバレンタインデーの思い出を教えてください。
(木村沙織、以下同)小学校のとき、母とチョコレートを作って、気になる男の子に渡しに行ったけど、恥ずかしくて帰ってきちゃったことがあります。帰宅後に「せっかく作ってラッピングもがんばったのに~」って号泣して(笑)。
他にもその男の子にチョコレートを渡しているクラスメイトがたくさんいたのを知っていたから、「私も渡したら好きってみんなにバレちゃう」みたいな恥ずかしい気持ちが勝ってしまい…。結局その後、母と一緒にその男の子に渡しに行きました。彼は不在でその子の母親に渡したので、間接的に思いは通じたかも(笑)。
──かわいい思い出! 大人になってからはどうですか?
中学と高校は女子校で、仲のいい友達同士でお菓子を交換していました。選手時代は、チームメイトとチョコチップクッキーを作って食べたり。
──友達とのバレンタインデーも楽しそうですね。夫の日高裕次郎さんとは、どんなバレンタインデーを過ごしたことがありますか?
現役時代にトルコのチームに所属していたとき、ちょうど夫もトルコにきていたことがあって、チョコレートケーキを作ってプレゼントしました。混ぜて冷やすだけでできる簡単なレシピを探して、ジャムでお皿にメッセージを書いて。でもあまり美味しくなくて。夫の反応もイマイチ(笑)。
「よし、カフェに行こう」って口直しをしに出かけしました。
ちなみに、トルコにはいろいろな種類のスイーツがたくさんあって、有名なバクラヴァ(ピスタチオなどを使った伝統的な焼き菓子)をはじめ、どれも甘すぎるくらい甘いんです。でも、慣れって怖いですね。トルコから帰国する頃には大好きになっていて、バニラアイスと一緒に食べていました(笑)。

──木村さんのスイーツ愛を表すエピソードですね(笑)。旦那さまもスイーツが好きなんですか?
夫も好きです。特に〈ガトーフェスタ ハラダ〉のラスクが大好物。その中でもホワイトチョコレートがかかっている「グーテ・デ・ロワ ホワイトチョコレート」がいちばんで。昔、「チョコよりハラダのラスクのほうがうれしい」と言われて、よく買いにいっていました(笑)。
チョコを食べながら生活
──木村さんにとって、バレンタインデーはどんな日?
大切な人に対して、ふだん照れてしまってなかなか言えない感謝の気持ちを伝えるきっかけになる日かなと。チョコレートと一緒にメッセージを伝えたり、美味しいスイーツやごはんを食べに行く時間を共有したり、相手を身近に感じられます。
個人的にはデパートなどで開かれる物産展や特設コーナーには必ず行きますね。「こんなチョコレートも食べられるんだ!」という感じでうれしくなっちゃう。
──自分のためにも、大切な人のためにも大事な日ですね。
そうですね。ただ、バレンタインに関していつも気になっているのですが、大人の男性は手作りのチョコレートをもらうのがうれしいものですか? 年齢を重ねている人は、「手作りがちょっと重い」と思うのかなって。その正解はまだわかっていないです(笑)。

──木村さんがいちばん好きなスイーツは、チョコレートなんですか?
チョコレートとカヌレは特に好きです。中でもブルボンの「トリュフミルクガナッシュ」が中学生の頃からずっと好きで、学校の帰りに買ってよく食べていました。今も常に常備しています。
冷蔵庫の近くに行くたびに一粒食べて、育児や家事をちょこっとして、また食べて(笑)。チョコを食べながら生活しています。
栄養士さんから「お菓子をやめて栄養を」と
──自分の定番のお菓子ってありますよね。選手時代もチョコレートへの気持ちは変わらず?
現役時代もお菓子をよく食べていて…。
──スポーツ選手は甘いものを控えている印象でした。
栄養士さんから食事指導をいただくのですが、「お菓子をやめて、タンパク質など栄養のある食事を摂ってください」と当たり前の注意を受けていました(笑)。でもやっぱりスイーツが好きだから、気分を上げるために試合前にチョコレートを食べて、試合中に気持ち悪くなったこともあります。「あの一粒、食べなきゃよかった」って。

──そんなにチョコが好きなんですね(笑)。本格的に自分でスイーツをつくるようになったのはいつからですか?
チョコレートに並ぶくらいカヌレも大好きで──ずっとパンや焼き菓子など小麦粉系が大好物で──自分で作れるようになりたいと思っていたんです。家族で運営していた「Sunny -ThirtyTwo-Club」がコロナ禍でバーとしての営業が難しくなり、形態をカフェに変えるタイミングで、お菓子の作り方を習いに行って、手作りのカヌレなどをお店に出すようになりました。
たくさんの人に自分が作ったお菓子を食べていただいたり、そのお客様からおいしいと直接感想をいただけたことはすごくうれしかったです。食べるだけではなく、お菓子は作っても本当に楽しい。息子が生まれてからも子育てしながらお菓子作りは続けていたのですが、店頭に立つことはなくなってしまったので、ちょっと寂しかったです。
──次は、息子さんから感想をもらうのが楽しみですね。
はい。まだお菓子を食べられないので、もう少し先になりそうです(笑)。赤ちゃんが食べられる具材でケーキを作ることから始めてみます

取材・文/力石恒元
スタイリング/石川美久
ヘア&メイク/藤本希
撮影/猪原悠