
5月16日に発売したデジタル写真集『151センチ、48キロ』(講談社)が異例の大ヒットを記録している、お笑いコンビ「にゃんこスター」のアンゴラ村長。写真集市場が縮小する中、いったいなぜこの写真集はこれほどまでに売れたのか。
「親が悲しむことはやめようと思っていたんです」
──初となる写真集の大ヒットを受けて、読者や周りの人からの反応はいかがでしたか?
アンゴラ村長(以下同) ずっと応援してくれていた人たちは「ついに出た!」という感じでした。前々から、「グラビアをやってもいいんじゃないか?」と思ってくれていたらしくて、そういううれしい声は多いです。
親しい人からも「前からイケると思ってたんだよ」「そういうポテンシャルはあると思ってた」みたいにほめてもらっています(笑)。
──すごいコミットですね。ご自身はできあがりをどう感じましたか。
本当にお洋服もかわいくて、カメラマンの方もすごくキレイに撮ってくださって。おそらく1000枚、2000枚とか撮ってくださったんですが、その中から編集部の方が選んだ100枚が送られてきてこちらで精査させていただきました。「これは盛れてない気がする…」などのやり取りを5ターンも繰り返して珠玉の100枚を選びました。
──慣れない撮影だったと思いますが、現場で大変だったことはありましたか?
大変だったことは本当に特になくて、現場ではスタッフのみなさんに盛り上げていただいて、みこしに乗った気分で浮かれていたんですけど、自分としてはとにかく売れるかが不安でした。
それなのに、撮影現場にはどんどんスタッフさんが増えて、よく数えてみたら11人いたんです。私を撮っただけでこれだけの人件費がまかなえるのか……と思ってしまいました(笑)。
「あとはみなさんで好きに楽しんでもらえればと(笑)」
──今回の写真集では、「すごい普通の写真集」という案をご自身で出されたとお聞きしました。実際に、SNSなどでは売れた理由の一つとして、“リアリティー”や“親近感”というワードがよくあがっています。こちらの反応は狙い通りでしたか?
日本肥満学会が出しているデータによると、自分はやせ型でもなく肥満型でもなく、健康で過ごすことができる体重の範囲にいるそうです。その体型を映す写真集はどうかな? と案を出させていただいたので、「リアリティーがあっていい」という感想は本当に狙い通りというか、うれしいですね。
──他にもネット上では「ちょっと気になる知り合いの下着姿感があって絶妙でいい」といった反応もありますね。
ネットの反応はそこまで見ていないのでわからないのですが、そういう楽しみ方は各々でしていただければと思います。自分としては、できる精一杯のことができたので、あとはみなさんで好きに楽しんでもらえればと(笑)。
──ネットの反応といえば、SNSで「いいね」がたくさんつくとコメントを見るのをやめているとお聞きしました。
「いいね」が1000を超えると自分のコミュニティから外れて、素敵なコメントが減ってくるのでそうしています(笑)。言葉のニュアンスが全然違って伝わってしまうことがあるので。例えばほめる意味で「変」とか「ヤバい」とか使っているのに、それがマイナスの意味だと誤解されてしまったり。その基準を私は1000に設定しています。
──なるほど。
坂道アイドルの子の写真集をいくつか持っているんですけど、写真集を買うことは“その子について深く知る”ことかなと思っています。写真集って最初は本当に、そのまま写真の連なりだと思っていたんですが、長濱ねるちゃんの写真集を見たときに、彼女が生まれ育った五島列島を一緒に旅しているかのようなストーリー性を感じました。
一方で、寺田蘭世さんが出された写真集は、寺田さん自身がすごくオシャレなので洋服とか自分で選んでいて個性的なものになっていましたし、北野日奈子ちゃんはめちゃくちゃ元気で笑顔で、自然なところがよかったです。写真集っていうのは、その人のよさが炙りだされるので、その人について知りたかったら写真集を買うのがいいかなと思っています。
自分の写真フォルダーを2000円で売っているような感覚
──そう考えるとただの“好き”だけではなく、“好き”よりもさらに一個突き抜けた感情がないと写真集は売れないのかもしれません。そうした中で、アンゴラ村長さんの写真集は爆売れでした。
本当にもう青天の霹靂です! 親とか親族とか友だち、それにXでよく「いいね」してくれている人とかを数えた結果、100冊も売れないんじゃないかと思っていたので……。私の写真ってSNSでも見れるじゃないですか。だから理由がよく自分でもわかってないです。なんで2000円(写真集の値段)も出してくださったのかって(笑)。
──この売り上げによって、熱心なファンがそれだけ多くいると判明したのではないでしょうか。
そうですね、そしたらお笑いライブにも来てくれたらいいんですけど、そこにはあまり繋がっていなくて……(笑)。
──改めて今回、ビジュアルの強さが話題になりましたが、先日、「小顔矯正サロン」に行ってきたとか。やはりこれから美容に力を入れていきたいですか?
美容はやっていて損なことはないなと(笑)。今回は本当に思っていた以上の、致死量の「かわいい」を浴びさせてもらうことができたので。自分では写真集を見ても普段の自分にしか見えないので、自分の写真フォルダを2000円で売っているような感覚なんです。でも、自分が気がついていないだけで、強みがあるのかなと思ったりなんかもしました。
──その強みを強化すれば、ファンはさらに喜んでくれると思います!
うーん、でもまあ調子に乗りすぎず(笑)。例えば私がアイドルだったらこうはなっていないなということはもちろんわかっていますし、芸人だったし、30歳だし、いろいろと初めてだったし、7年前のなわとびのネタから知ってくれていたり、そういうのを含めての売上だと思っています。調子に乗らず、謙虚な感じでいきたいですね!
取材・文/集英社オンライン編集部
スタイリスト/石川美久 ヘアメイク/鈴木かれん
151センチ、48キロ
アンゴラ村長 東京祐(撮影)