
毎年カオスと化す渋谷ハロウィーン。規制が一層強化された今年はどうだったのか。
交通規制でドライバーと警官がひと悶着
世界的知名度を得た“渋ハロ”
一部の人間のモラルの欠如や街全体の混乱防止のため、渋谷駅周辺では条例に基づいて路上飲酒を禁止するとともに、コンビニなどに酒の販売自粛が求められている。
今年は「ハロウィーン目的で街に来ないでほしい」と渋谷区長からの訴えもあり、例年以上に厳戒態勢が敷かれ、多くの警察官や警備員が動員されていた。
また、当日はスクランブル交差点やセンター街周辺への車での立ち入りが規制されており、警察に別の道へ誘導される他県ナンバーの車が多く見かけられた。中には、仮装をしてバイクに乗ってきたにもかかわらず、入場を規制され、ふてくされながら帰っていく人もいた。
センター街周辺では、女性警官と他県ナンバーの車に乗った若者による攻防が繰り広げられていた。
若者「何で入れないの?」
女性警官「ハロウィーンのため規制されています」
若者「え⁉ 何で? 別によくね?」
女性警官「いいから早く行けって言ってるだろ! 後ろの車待たせてんだよ!」
若者は観念したのか、爆音でエンジン音を響かせながら別の道へとハンドルを切った。
これまで10年以上、渋谷のハロウィーンを見続けてきたライターの鈴木ひろあき氏は言う。
「コロナ禍以降、渋谷のハロウィーンは年々規制が厳しくなっています。今年の人通りはコロナ禍以前の5割以下。今年はインバウンドの影響から、外国人の割合がかなり高い」
ライブカメラで人が集まってるのを見て参戦を決意
しかし、日本人だってまだまだ元気だ。ハロウィーンの夜、センター街では仮装した外国人女性を狙ってナンパする男性も多く見られる。中には、果敢に英語で声をかける日本人男性も。
日本人男性「ヘイ! ユアマイ、ディスティニー・ガール!」
外国人女性「……(無視)」
ナンパのターゲットになるのは外国人女性に限った話ではない。仮装した女性に「一緒に写真撮ろうよ!」と声をかける男性で渋谷の街はあふれかえっていた。
「写真を共有したい」という建前で連絡先を聞くことが目的なのだろうか。声をかけてきた男性に「写真足りてる!」「ストレージいっぱいだから無理!」と返す女性も見られた。
厳戒態勢のハロウィーン当日、渋谷の街に繰り出した人はいったいどんな人たちなのだろうか。仮装している人たちにインタビューした。
21時頃、センター街にいた「渋ハロ初参戦です」という女子高生2人組は渋谷が「ハロウィーン休止宣言」をしていることについて聞くと「来ちゃダメなの? 知らない!」と答えた。
チャイナドレスを着た女性3人組は「ふだん看護学生として真面目に勉強しているので、今日くらい許して!」と話す。
「初めての渋ハロです。本当は渋谷に来る予定なかったの。原宿に行って、少し歩いた後に、ライブカメラで渋谷に人が集まってるのを見て、『行ってもいいんじゃん!』ってなって来ました」
大谷関連コスプレも人気
次に話を聞いたのは「仮装しに来たわけじゃなくて、フツーに渋谷に飲みに来たんです。でも、せっかくハロウィーンなんで、大谷のお面を作ってかぶってみました。」という2人組。
オオタニコさん(40代女性)は「ロスまで大谷の試合を見に行ったことがあります!」とのこと。オオタニオさん(30代男性)も「メジャーに行く前のマー君(田中将大)と日本ハムの注目ルーキーだった大谷が初めて投げ合った試合を観に行ったけど、当日チケットが取れず球場外から音だけ聞いてました(笑)」ということで、2人とも“大谷ガチ勢”だった。
終電間際の時間帯に、センター街でひときわ目を引く4人組がいた。
「やす子とフワちゃんが仲直りしたって設定です。もともと2人で来たけど、ダブル水原一平を見かけて、『今年の顔同士だし、声かけるしかないな』と思いました」(やす子の仮装の男性)
「とにかく目立ってテレビとかに出たいなと思ってこの格好を選びました」(フワちゃんの仮装の男性)
「みんなジョーカーとかのコスプレするけど、水原だったらあんまり人とかぶらないかなと思いました」(水原一平の仮装の男性)
「渋谷に来ちゃだめなんて知らなかったです」と答えた10代の女性2人組は、仮装した理由についてこう話した。
「そもそも今日は好きなラッパーのライブ観に来たんで。たまたまハロウィーンだし、『コスプレでもして行こうかー』ってなっただけ! でも、今日はちょっとナンパがうざいね」
インタビューした人の中には、ライブやクラブでのハロウィーンイベントのために仮装していた人も多くいた。
終電の時間を過ぎると、センター街や渋谷駅周辺の人通りは少なくなった。しかし、仮装をした多くの人々はスピーカーから爆音を流す車が列をなす円山町へ向かっていった。クラブで朝までその格好のままはしゃぎ倒すのだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班