
風俗嬢として月収300万円まで稼げるようになったが、さらなる成果を求めて同人AVをはじめた、るるたんさん(25)。なぜプロの道を目指さなかったのか。
4分1万円の動画が100本以上の売上
──AV女優になるのを目指すのではなく、自主制作の同人AVの道を選んだのはどうしてでしょうか?
るるたん(以下同) 一つはお金の問題ですね。多くのAV女優さんは、最もギャラをもらえるのがデビュー作品だと言われています。金額としては1本100万円のギャラがもらえたらかなりの高額な部類で、一度脱いでしまったあとは、どんどん価値が落ちていくというのが一般的なんです。
同人AVでも1本100万円くらいは稼げるのではないかと思い、始めることにしました。それに、一度プロのAV女優になってしまったら素人として同人AVを始めることはできなくなるけど、同人で失敗してもプロを目指す道が消えるわけではないので、リスクも少ないかなと思いました。
──ギャラの面を考えると同人AVのほうがいいかもしれないと。
はい。あと、同人はなんでも自分に決定権があるのがいいなと思いました。
プロになってプロダクションに所属すると、プロデューサーとか事務所側の意図で、いつ本番を解禁するかとか決められちゃうじゃないですか。それに、公開した動画を後から消したくなったときに消すのは難しいです。
自分のプロデュースの仕方とか、映像の使用権を他人に譲渡しなければならないことにすごく抵抗を感じたのも、同人を選んだ理由です。
──なるほど。
最初のほうは、バナナをエロく食べるだけだったり、着衣の状態で腰を振るだけだったりのイメージビデオみたいな動画を撮影して販売しました。
風俗嬢で同人AVを始める人って割といるんですけど、みんな失敗するんですよ。2万円くらい出せば裸で会える風俗嬢のアダルト動画を、わざわざ買おうなんて誰も思わないじゃないですか。
だから最初は、裸にならないイメージビデオのような動画を販売して、その動画のファンができてから、もっとアダルトな動画を出すようにしました。
──初めて脱いだ動画は、どんなものですか?
上半身裸になって、ズボン越しにオナニーをして潮を吹く動画を出しました。
──その動画はどのくらい売れたのでしょうか?
4分の尺の動画を1万円で販売したのですが、100本以上は売れました。
本番は3万円で3000本以上
──普通のAVに比べると割高に思いますが、どうしてそんなに売れたのでしょうか?
AVでも、無名の人だったら1000円だとしても買ってもらえないですよね。でも、例えば田中みな実さんがAVに出演したら1本10万円でも20万円でも買う人はいると思うんです。要は、裸になにか付加価値があれば相場より高くても売れるんです。
私はSNS運用でインフルエンサーっぽく振る舞っていたし、イメージビデオから入って脱いだときの付加価値を作っていたので、初めて脱いだときに売れたのだと思います。ちなみに、その動画は顔から上は映していないんです。
──どうして顔は映さなかったのですか?
最初は脱いでも売れるかわからなかったからです。顔出しのアダルト動画を販売して、売れもしなかったのに違法アップロードとかされてデジタルタトゥーになったらデメリットの方が大きいじゃないですか。
今はもう売上が立つようになったので、もし動画が未来に残ってしまっても元は取れたかなと思える感覚があるので顔出しはしてるのですが、最初は本当にどうなるかわからなかったので、顔は映さないアダルト動画から始めました。
──なるほど。顔を出すようになってから一番売れたのはどんな動画ですか?
去年の10月くらいに、初めて本番を解禁した動画を販売しました。相手はAV男優の田渕正浩さんにお願いしました。公開して最初の3日は2万5000円で、その後3万円で値段を設定したのですが、それが3000本以上売れました。
──概算だけでもすごい売上ですね。風俗嬢時代の月収300万円より、はるかに稼いでますね。いったい、現在の年商はどのくらいあるのでしょうか……?
生々しいので正確な数字は言えないですけど、都心で戸建てを買えるくらいは稼ぐことができてます。
──今後もその調子で同人AV市場でバリバリ稼いでいく予定でしょうか。
そうですね。今は自分の動画の販売をしながら、事務所を作って他の女の子の同人AVのプロデュース業もしています。
他人に消費される、デジタルタトゥーとの向き合い方
──プロデュース業も始めたのはなぜでしょうか。
裏方になって稼ぎたいっていうのもありますし、アダルトな仕事をする女の子が他人に搾取されずに稼げるような選択肢を増やしたいとも思っています。
未来のことまで深く考えてからアダルトな仕事を始める子って、あまりいないと思うんですよ。例えば直近で10万円が欲しいんだったら、裸になって顔を世に晒すようなAVに出る必要はなくて、風俗で数日働くだけでいいんです。
もっと高額なお金が必要になったとしても、顔出ししてAV女優になるリスクを引き受ける前に、同人AVで顔出しなしの動画を売るとか、他にやりようってあると思うんですよね。
そういうことを考えずにアダルトな仕事をはじめて、気づいたら他人に消費されてる感覚になって、デジタルタトゥーも残っちゃったりして辛い思いをしてる子って、たくさんいると思うんです。
私はアダルト業界の中では自分の未来を捨てない働き方ができてる方だと思うので、そういう選択肢を求めている子がいたら手を差し伸べられるようになりたいです。
──困ってる人に手を差し伸べたいという考えは、昔からあるのでしょうか?
そんなふうに考えられるようになったのは、自分の力で稼げるようになってからですね。でも、他人に消費されるような働き方をすると病んでしまうという感覚は前々からありました。
──どういうときに自分が消費されていると思いましたか?
以前、別名義でグラビアのDVDを発売したことがあるんです。Amazonのグラビアのカテゴリで売上1位とかになったのですが、もらえるギャラは固定で10万円でした。グラビアのDVDって、自分の存在を宣伝するための広告みたいな扱いで、認知を広げたあとに撮影会で稼ぎましょうみたいな世界でした。
そのときは自分がやりたくてやったから後悔はないんですけど、「広告になるから」「売名になるから」という理由で安い値段で働いてしまって、しかも販売する権利は他人が持ってる状態だと、消費されてるなって感覚になりますね。
──そのときの自分と似たような気持ちになってる人がいたら救いたいと。
わざわざたくさんの人を救いたいとまでは思わないけど、もし困ってる人が目の前に現れたときに、金銭面で協力できる余裕は持っていたいです。人を救えるのは気持ちよりもお金だと思っているので。
──稼いだお金は自分には使わないのでしょうか?
そうですね。お金を稼いでも、事業投資以外に使うことってあんまないですね。それに、お金で評価されること自体が楽しいなって思います。
大人になると、直接的に誰かに褒めてもらえることって少ないじゃないですか。稼いだ金額っていうのはわかりやすい自分の評価で、お金は大人の通信簿だなって感覚です。だから稼げば稼ぐほど自己評価があがるというか。なんか人生って、桃鉄みたいだなって思ってます(笑)。
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取材・文/山下素童 撮影/Keigo
〈プロフィール〉
るるたん
1999年生まれ。19歳の時にデリヘル嬢としてデビュー。