
昨年、結成35周年を迎えたロックバンド『LUNA SEA』。2月22日にはGLAYとの対バン「The Millennium Eve 2025」を、2月23日には結成35周年ツアーを締めくくるライブ「LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE- LUNATIC TOKYO 2025 -黒服限定GIG-」が、ともに東京ドームにて開催される。
14年ぶり10回目の東京ドームライブ
2000年の12月26、27日に東京ドームライブ『LUNA SEA THE FINAL ACT TOKYO DOME』を敢行し、“終幕”というかたちで一度はそのバンドの活動にピリオドを打ったLUNA SEA。
そして7年間の沈黙の後、2007年の12月24日に“一夜限りの復活ライブ” 『GOD BLESS YOU ~One Night Dejavu~』を東京ドームにて行なった。5万5000枚のチケットが5分でソールドアウトするなど、この日を待ち望んでいたファンは大勢いたが、あくまでこの復活は一夜限り。そのまますんなりと再結成とはならなかった。
そしてそこから3年後の2010年に、LUNA SEAはついに“REBOOT”というかたちで再始動。この年の12月23、24、25日に東京ドームで3日間連続のライブを行なった。
LUNA SEAはこれまで、9度の東京ドームライブを開催しており、そのどれもがバンドにとっての大きな節目的なライブであり、ファンの心にも深く刻まれている。今回は、再始動直後の公演から、約14年ぶりにLUNA SEAが東京ドームライブをやるとあって、ファンのボルテージはいまや最高潮だ。
終幕前からLUNA SEAを聴いていたドンピシャ世代は、いまは40~60代くらいになっている。しかし今、ライブ会場には、10代や20代と思われる若いファンも少なくない。
彼らはLUNA SEAが終幕した後に、親の影響やYouTubeなどでその存在を知ってLUNA SEAのファン、通称“SLAVE”になったという。そうした若い世代が集まり、“SLAVE学園”という組織も立ち上げている。
現在高校生で、SLAVE学園の立ち上げメンバーであるTAKUYAさんに、若い世代から見たLUNA SEAの魅力を聞いた。
「僕がLUNA SEAに夢中になる大きな理由は、35年経っても世代を超えてさまざまなミュージシャンに影響を与え続ける唯一無二の世界観です。彼らは初期と後期ではぜんぜん世界観が違いますが、それでも『LUNA SEAだな』と思わせてくれます。それは、まったく音楽性の異なる5人から生み出されているものだからだと思います」
LUNA SEAリスペクトを公言するミュージシャンたち
「2ndアルバム『IMAGE』を聴いてもLUNA SEA、5thアルバム『STYLE』を聴いてもLUNA SEA、終幕前の7thアルバム『LUNACY』を聴いてもLUNA SEA、そして、一番新しい10thアルバム『CROSS』を聴いてもLUNA SEAなんです。
どんなに荒々しい時期でも、落ち着いている時期でも総じて“美しい”と感じさせる世界観を持つのは、後にも先にもLUNA SEAにしかない魅力だと思います」
実際にLUNA SEAへの憧れを口にするバンドマンは少なくない。若手のV系バンドマンはもちろんのこと、『9mm Parabellum Bullet』の菅原卓郎、『凛として時雨』のピエール中野、『ROTTENGRAFFTY』のNOBUYA、元『[Alexandros]』の庄村聡泰など、一見するとジャンルが違うようにも感じるアーティストたちから、自身の音楽のルーツとしてその名前がしばしばあがる。
ただ売れ線の音楽を目指すのではなく、革新的な挑戦を続けてきたからこそ、バンド音楽を愛する同業者にも強く刺さったのだろう。
幼いころからクラシックを学び、今では映画音楽も手掛けるなどあらゆる音楽に精通しているSUGIZO。ロック一筋で、今でも若手バンドマンの頼れる兄貴としてロックシーンを支え続けているJ。
ミステリアスな雰囲気を持ち、“これぞLUNA SEAの世界観”というようなバンドの核となる曲をいくつも作り出してきたINORAN。日本一のドラマーとの呼び声も高い真矢。そして、これらの強烈な魅力に負けない最強の個性と強靭な歌唱力を誇るRYUICHI。
彼らはぶつかり合うことも多かったが、今は5人がお互いをリスペクトしあい、最高の状態でステージに立っている。
バンドにとって特別な場所である東京ドームでこの5人が生で見られるのは、10代の若いファンからすると初めてのことだ。
「僕にとって東京ドームでのLUNA SEAは、ずっと待ち望んではいたものの、観ることができないだろうと思っていた夢のライブ。映像化されている公演を何回も何回も観ては、もっと早く生まれていれば……と思うほど、“東京ドーム”というステージでのLUNA SEAに強い憧れがありました」
5万人のSLAVEが集まって起こる奇跡は…
「それをついに見られるというのは、まさに“好きな事が嫌になるくらい愛した”からこそ つかめる瞬間ですよね。LUNA SEAの5人やSLAVEもそうだと思いますが、僕もすごく気合いを入れてライブに臨むつもりです。
自分の席から見えるLUNA SEAを、5万人のSLAVEたちの声を、そのときの空気を、すべてを忘れないように全身に焼きつけたいと思います。きっと東京ドームが終わったあとには、“少しだけ時間を戻して” ……となっているでしょう」
35年の歴史に新たな1ページを刻む『LUNATIC TOKYO 2025』。いったいここで、どんな奇跡が起こるのだろうか。
取材・文/ライター神山