ふつうの会社員が5000万円貯まったら早期リタイアしても大丈夫? アメリカではFIRE後に仕事復帰をする人が多数という現実
ふつうの会社員が5000万円貯まったら早期リタイアしても大丈夫? アメリカではFIRE後に仕事復帰をする人が多数という現実

日本でも個人資産を増やすことに成功し、FIREする人も現れてきた。彼らはきっと幸せに違いないと思われているが、実際には早期退職することで生活のハリが失われてしまう懸念もあるという。

事実アメリカではFIRE後にやることがなく、再び働き始める人が多いそうだ。

書籍『ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話』より一部を抜粋・再構成しお届けする。

「5000万円貯まったら」アーリーリタイアをしていい?

目標金額までお金が貯まったら、FIREならぬ、アーリーリタイアを考える人も出てくるでしょう。

もちろん、労働収入なしに生活が成り立つ算段が立っているのであれば、仕事を辞めても問題はありません。ただ、いくつかの注意点があります。

一つ目は、アーリーリタイア後の収支を改めて見直すこと。できれば、ファイナンシャルプランナーなど、外部の目で収支に問題ないかを確認してもらいましょう。

年金を貰えるまでの収入を投資資金からの利回りで賄おうと考えている場合、これまでと同様の投資環境が継続すると考えると危険です。

景気低迷期には投資資産の価値が数年単位で上昇しないということもありうるので、その間に元本を取り崩してもその後の収支に問題がないか検証しておくと安全です。

年金に一定程度頼る場合、そもそも年金受給資格を満たしているか(国民年金は10年以上、厚生年金は1か月以上)、想定年金受給額に誤りがないか、早めに年金を貰う(繰り上げ受給をする)としたら減額率が合っているかといったことは、自分だけで確認していると間違いがあるかもしれません。

支出は現役時代より幾分か減らすとして、大きな臨時支出、例えば、子どもの進学費用、車の買い替え、家のリフォームなどが将来計画に含まれているかも、第三者の目を入れて確認してもらいましょう。

注意点の二つ目は、家族の同意を得ること。急に仕事を辞めましたなんてことは普通しないと思いますが、将来に大きな影響を与えることですから、単身者ならまだしも、パートナーがいるなら事前に十分に話し合っておくのは大切です。



仮に、リタイア後の収入として、パートナーからの所得もあてる想定であれば、生活費の負担割合をお互いが納得できるレベルで決めておかないと、将来に禍根を残します。

私はパートナーと、セミリタイアをしたら日本や世界を転々と生活するのが楽しそうと定期的に話しています。将来的にどこでどんな生活をしたいか、パートナーとのすり合わせは必須です。

FIRE後に何がしたいか

注意点の最後は、アーリーリタイア後に何がしたいか整理すること。「言われなくても分かっている」と思うでしょうが、FIREがブームになっているアメリカでも一度リタイアした人が、何もやることがないとまた働き始めるなんてことはしばしばあることです。

リタイアして得られるのは、有り余る自由な時間です。多くの人は子どもの頃から学校に通い、仕事をして、一日の大半を過ごしてきたわけです。

その時間が完全に自由になったとして、10年、20年単位でやりたいことが何もなければ、生活の張りは失われ「こんなはずではなかった」と思うかもしれません。

一日何時間かけても飽きない趣味があるのか、仕事での人間関係がなくなり誰かと接する時間が減っても問題はないか(他に話し相手はいるか)、従事したいボランティア活動などはあるかといった点は、リタイアしてから考えるのではなく、リタイア前から準備しておきましょう。

仮に、今の仕事内容は好きだが、人間関係や拘束時間が嫌で仕事を辞めたいのだとしたら、転職することで解決する可能性はあります。お金に余裕がある上での労働は、義務ではなく余暇のようなものです。好きな仕事だけ選り好みをしても、まったく問題ないのです。

とはいえ、フリーランスならまだしも、会社勤めの人であれば、一度仕事を辞めてしまうと同じ仕事に再度復帰できるかは不透明です。



将来の収支予測は万全か、パートナーとはしっかり合意形成ができているか、仕事の代わりになる楽しみはあるか(仕事を続ける選択肢はないのか)をあらかじめ点検しておくと、心置きなくリタイア後の人生を楽しめるはずです。

写真/shutterstock

※おことわり

この記事で紹介している社会制度・金融商品は、書籍『ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話』が執筆された時点のものです。最新のものではない可能性があることにご注意ください。特に、税制・法律は改正されるものですし、書籍の執筆時点で施行されていない法律・制度は反映していません。必要に応じて、ファイナンシャルプランナー・税理士・弁護士等の専門家に相談することも検討してください。

また、投資のノウハウは、投資をする際の参考になるようにできるだけ丁寧に説明していますが、投資の勧誘や推奨をしているわけではありません。「投資は自己責任」と言われるように、最終的な判断は自身で行うものです。なお、本記事でお勧めしている金融機関・金融商品に関連して、著者が一切の利害関係を有していない(金銭的報酬を受けていない)ことは表明しておきます。

ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話

斗比主閲子
ふつうの会社員が5000万円貯まったら早期リタイアしても大丈夫? アメリカではFIRE後に仕事復帰をする人が多数という現実
ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話
2025/3/121,870円(税込)372ページISBN: 978-4344044050

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第1章 家計簿も付けられなかった私が資産2億円を達成するまで
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・投資を始めて「見える世界」が広がった
・「経済的な自由」を得てストレスフリーな日々に

第2章 「お金を増やす方程式」を実践する方法
・お金を増やす方程式は「(収入-支出)+(貯蓄×利回り)」
・年収が上がる資格&生活を豊かにする資格
・いまの会社で給料を上げる「二つの方法」
・「持ち家VS賃貸論争」のファイナルアンサー
・老後も収入を絶やさないための「リスキリングのすすめ」
・幼児教育は「コスパが良い」
・「もういつ死んでも大丈夫」――私が生命保険を解約した日
・子どもに「メルカリ名人」と揶揄される私のネットフリマ攻略法
・ポイント還元率を最大化させる「カードの使い分け」
・私が「推しの店」ではクレジットカードや電子決済サービスを使わない理由

第3章 投資の仕組みから新NISAまで投資徹底解剖
・「老後2000万円問題」は嘘だった?
・100万円貯まるまで投資をしてはいけない理由
・投資をするのは誰のため?
・インフレ下では「現金より投資」
・株価が下がった時は「ケーキと紅茶」
・新NISA徹底解剖
・iDeCo超解説

第4章 お金が増えていく過程で気になること、教えます
・資産が増えたら生活水準を上げていい?
・なぜ私たちの賃金は株価ほど伸びないのか?
・寄付をすると節税できるのは本当?
・増えたお金、どうやって家族に相続したらいい?

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