ゲーム「8番出口」のモデルと噂の東京・清澄白河駅には8番出口はない? 現地調査で見つけてしまった“異変”の正体 とは
ゲーム「8番出口」のモデルと噂の東京・清澄白河駅には8番出口はない? 現地調査で見つけてしまった“異変”の正体 とは

大人気インディーゲームの実写映画版で二宮和也が主演することが発表になり、話題となっている「8番出口」。そのモデルになっていると言われているのは東京都の地下鉄「清澄白河」駅だ。

現在、多くのファンによる“聖地巡礼”が行なわれているが、駅利用者や地元民はこの現状をどう思っているのか? 実際に現地へ行き取材を行なった。 

実写映画化が話題の「8番出口」に激似の駅が東京に!

累計販売本数が150万本を突破した大人気ゲーム「8番出口」は昨年、2025年に実写映画化されるということでも話題となっていたが、3月28日に本作の公開日は2025年8月29日、主演は二宮和也が務めることが発表になり、ふたたび注目が集まっている。

「8番出口」のゲームの内容は、地下鉄の駅で無限に続く“地下通路”に閉じ込められたプレイヤーが、その場から脱出するために周囲を探索しつつ“8番出口”から外に出ることを目指す、短編ウォーキングシミュレーターである。

地下通路を歩いていると、いつもとは違う“異変”が起きることがあり、その異変を発見したときは引き返して逆方向に進み、逆に何も起きていない場合は引き返さずにそのまま進むというのがルールだ。

本作の舞台である地下通路のモデルになったのは、東京都江東区にある清澄白河駅のA3出口付近ではとSNSで噂されている。ゲームの製作者は地下通路のモデルは別の駅だが、異変のひとつは清澄白河駅を参考にしたとインタビューで答えており、SNSでも、

「実際に清澄白河駅に行ってみたらゲームとそっくりでびっくりした」

「ゲームの“異変”みたいで不気味」

というようなコメントが数多く見られる。また、中には「清澄白河駅では本当に心霊現象が起こる」という噂までネット上でささやかれている。

清澄白河駅は都営地下鉄の大江戸線と、東京メトロの半蔵門線が乗り入れる接続駅である。しかし、東京都交通局の公式サイトによると、実際の清澄白河駅の出入口はA1・A2・A3と、B1・B2の合計5つで、「8番出口」は清澄白河駅に存在しない。

そこで今回、取材班は清澄白河駅へ向かったのだが……。

引き返さないとマズイ⁉︎ A3出口にあった“異変”とは… 

駅に到着後、清澄通り方面の改札をくぐり、ゲームのモデルになったと言われているA3出口付近を目指したが、行き交う人も多く、パッと見る限りではSNSで騒がれているような心霊現象が起こりそうな雰囲気はない。

ところが、出口へと続く何の変哲もない駅構内をまっすぐ歩いていくと突如、天井に “異変”ではないかと思しき変化が現れた……。 

ゲーム「8番出口」をプレイしたことがある人ならば、この連絡通路上の蛍光灯の配列を見た途端、思わず引き返したくなるだろう。

単に道の明るさ確保のために蛍光灯の数が多いだけかもしれないと思い、不気味さは感じつつも進んでいくと、そのままゲームの舞台そっくりな通路は駐輪場へと続いていたが、蛍光灯以外にゲームで起こるような“異変”や心霊現象などは感じられなかった。

その後、ほっと一安心しつつ、A3出口から外に出ようとしたが、そこでもまた不思議な配列の蛍光灯を発見……。もしかして、取材中にゲームの世界に引きずり込まれてしまったのだろうか。

“蛍光灯の異変”の正体とは…

自分だけが異変に巻き込まれたのではないかと怯えつつ、駅関係者の男性(20代)にこの蛍光灯の正体を聞いてみたところ、このような答えが返ってきた。

「この蛍光灯は『パブリック・アート』と称される、広場や道路など公共的な空間に設置される芸術作品で、設置場所やその周辺を『ゆとりの空間』とするコンセプトがあります。都営地下鉄を運営する東京都交通局の資料には『アットランダムな配列の天井蛍光灯。無造作な配置が地上の喧騒を表現する』と記されています」

芸術作品という案内は特に見当たらず、突如現れたので筆者が勝手に“ゲームの世界に迷い込んだ”と勘違いしていただけのようで、なんとなく残念な気持ちになってしまった。しかし、気を取り直し、駅の利用者はゲーム「8番出口」についてどう思うのか、駅周辺にて話を聞いてみた。

通勤で清澄白河駅を毎日利用するという女性(40代)は驚いた様子でこう話した。

「家の最寄り駅がホラーゲームのモデルになっているなんて初めて知りました! だから、最近写真を撮っている人が多いのかしら。駅開業当初からこの駅を使っているけど、心霊現象なんて見たことないし、そういう噂も一切聞いたことがないです。ゲームの影響で変な噂が流れただけだと思いますけど…」

次にA3出口から出てきたサラリーマンの男性(30代)に実際に清澄白河駅を利用していて“異変”を感じることはあるのか聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。

「最寄り駅が『清澄白河駅』だと友達に話すと『本当にゲームみたいにループしてしまうような構造なのか?』とよく聞かれますが、全くそんなことはないです。

むしろ、駅の構造は比較的シンプルでわかりやすいほうだと思うし、迷ったことは今まで一度もありません」

前出の駅関係者の男性は、清澄白河駅の現状をこのように語った。

「ゲーム『8番出口』が流行した影響で、駅に訪れる人の数は増えました。それまでは、駅自体は『蛍光灯しか特徴のない駅』とよく言われていました。それくらいどこにでもあるごく普通の駅です」

一方で、地元民からは、清澄白河駅が注目されることによる町の変貌を寂しがる声が上がった。駅付近で古くから飲食店を営む女性(50代)はこのように話した。

「ゲーム『8番出口』の影響で外国人観光客が増えました。中には、マナーが悪い人も多く、店内にゴミを捨てていく人や、外から持ち込んだ飲み物を店内で平然と飲む人もいます。言葉が通じないこともあるので大変です」

また、清澄白河駅近辺で生まれ育った男性(60代)もこう話した。

「地元民は『ゲームのモデルになった駅』と言われることに対して、よく思っていない人も多いです。この辺りはもともと神輿や祭りで有名な“昔ながらの下町”だったんです。地元民の中には『清澄白河はゲームじゃなくて神輿の町だ!』と怒りをあらわにする人もたくさんいます」

今後、映画『8番出口』の公開日が近づくにつれ、清澄白河駅を訪れる人はますます増加することが予想される。聖地巡礼は周囲に配慮し、マナーを守ろう。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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