「1日に魚1切れを食べれば認知症の発症リスクが61%低くなる」否定するエビデンスがほとんどない食材は魚とあともうひとつ…世界最長の統計研究が見つけた健康になれる習慣
「1日に魚1切れを食べれば認知症の発症リスクが61%低くなる」否定するエビデンスがほとんどない食材は魚とあともうひとつ…世界最長の統計研究が見つけた健康になれる習慣

否定するエビデンスがほとんどない食材が野菜と魚だとご存知だろうか? 日本人を1万人単位で60年超、定点観測しつづけた「秋田大阪スタディ」などに代表される「CIRCS研究」。医療と統計の技術を駆使し、圧倒的エビデンス力を誇る本研究が突き止めた普遍的な健康の法則をお届けする。



『10000人を60年間追跡調査してわかった 健康な人の小さな習慣』 (ダイヤモンド社)より、今回は、「健康になるための最強の食材」を一部を抜粋・再構成してお届けする。

魚と野菜は「否定するエビデンスがほぼない」最強の食材

たいていの食材には、良い面も悪い面もあります。だから健康を守るためには、限られたものばかりではなく、多くの食材をバランスよく食べることが望まれます。

そうしたなかで、否定するエビデンスがほとんどない食材が野菜と魚です。

日本は、諸外国と比較して魚の摂取量が非常に多い国です。欧米では、週に1回とるくらいでも「魚をよく食べている」と認識されます。そして、週に1回でも魚を食べると健康にいい効果をもたらすというエビデンスも得られています。

日本人の多くは、もっと頻繁に魚を食べていると思われますが、その習慣をこれからも大事にしていきましょう。健康寿命を伸ばすことを考えると、魚については、どの研究結果を見ても「食べるべきだ」に行き着くのです。

たとえば、週に3回青魚を食べると、中性脂肪値に十分な改善効果が見込めることがわかっています。いくつかの研究で週1回ほどで下がることも報告されています。

また、JPHCスタディで、魚介類に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取と認知症の関係を調べた研究があります。

その結果、魚介類の摂取量が多いほど、リスクの低下が見られました。

魚介類を最も食べているグループは、最も少ないグループよりも、61パーセント認知症の発症リスクが低くなることがわかりました。

このときの、最も食べているグループの中央値は、1日に82グラムです。サケ、ブリなどの切り身がだいたい80グラム前後。ということは、私たちも1日に魚1切れを食べれば十分ということになります。

サバ缶・刺身生活で中性脂肪が半分に

魚の中でも、とくに青魚がいいといわれます。ただ、そのまま塩を振って焼くだけのサンマならともかく、魚の調理はハードルが高いと感じる人もいるようです。

手軽に青魚を食べる方法として、おすすめなのがサバ缶です。一番いいのは水煮ですが、味噌煮やカレー味のものなど、今いろいろな種類のサバ缶が売られていますので、活用してみてはどうでしょう。

私たちは以前、「まったく肉を食べず、魚を食べているとどうなるか」という実験を自らの体で行ったことがあります。期間は3週間。その間、朝昼晩と魚を食べ続けたのですが、調理が面倒なものは無理なので、刺身やサバ缶を大いに食べました。

その結果、中性脂肪値が半分ほどに下がって血液さらさらになるという素晴らしい効果が見られました。ただその後、肉を食べたら1週間で元に戻ったので、やはり肉より魚が健康にはいいのでしょう。



水煮のサバ缶なら、そのまま食材として調理することもできます。缶詰というと、ともすれば非常食のように捉えられがちですが、一つの食材として常備するといいでしょう。

そのほか、サケの中骨の水煮などもおすすめです。

もちろん、ツナ缶もおすすめの一つですが、つけ汁に使われている油は捨ててください。

なお、同じ青魚の缶詰でも、サンマやイワシの蒲焼き缶は味が濃く、塩分も糖分もかなり入っているはずですので、あまりおすすめできません。

ナトリウムではなくカリウムを摂ろう

血圧を下げたいなら、カリウムを多く含む食品を摂りましょう。カリウムは、2つの意味で血圧にいいのです。

一つは、カリウム自体に血圧を下げる作用があること。

もう一つが、「カリウムナトリウム拮抗」。ナトリウムは血圧を上げますが、カリウムを摂るとナトリウムが体外に排出されるのです。

カリウム摂取によって高血圧が改善されれば、脳卒中のリスクも下がります。JACC研究でも、カリウムを摂取するほど脳卒中死亡率が下がり、逆にナトリウムを摂取するほど死亡率が上がる傾向にあることがわかっています。

カリウムは、トマトを含めた緑黄色野菜、葉物野菜を生で食べると摂れます。

また、果物にも多く含まれます。

カリウムなどのミネラル、ビタミンといった栄養素を効率よく摂取するには、野菜は生で食べるのが理想です。日本人は火を通すことが多いけれど、海外ではほとんどの野菜が生で食べられています。

ブロッコリーもニンジンも生でボリボリ食べてOKです。ただ、火を通すことで柔らかく食べやすくなり、量も摂れますから、そこは臨機応変でいいでしょう。

冷凍野菜も活用しましょう。ブロッコリー、アスパラガスなどの緑黄色野菜を冷凍庫に常備しておけば、いろいろな料理に使えます。

寄せ鍋などの鍋料理は、野菜をたくさん摂れるので季節を問わずおすすめです。ただし、塩分摂取過剰にならぬよう、スープは飲まず、できればシメの麺や雑炊はパスしましょう。

文/大平哲也 サムネイル/Shutterstock

『10000人を60年間追跡調査してわかった 健康な人の小さな習慣』(ダイヤモンド社)

大平哲也 (著)
「1日に魚1切れを食べれば認知症の発症リスクが61%低くなる」否定するエビデンスがほとんどない食材は魚とあともうひとつ…世界最長の統計研究が見つけた健康になれる習慣
『10000人を60年間追跡調査してわかった 健康な人の小さな習慣』(ダイヤモンド社)
2025/2/191,694円(税込)224ページISBN: 978-4478120811

☆★圧倒的エビデンスに基づく1冊★☆
1963年から10,000人を60年間追跡調査し続けたから
ついにわかった、日本人の健康「本当の最適解」

死ぬまでずっと健康な人は、
無意識のうちに「健康になる習慣」を実践していた!?
その正体に【医療×統計学】の他にないアプローチで迫ります。

同じ研究を今から始めると、2085年までかかります。
先人の財産的知見を借りて健康を手にできる健康本の超・決定版が生まれました。



●本書の最大の魅力3点

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医師×疫学者の著者が「時間をかけて生のデータを取り続けた統計」だからこそわかった健康法則を紹介。日本人を1万人単位で60年超定点観測しつづけた「秋田大阪スタディ」などに代表される「CIRCS研究」は、まさに代えの効かないエビデンスです。(※本書の内容は、1963年から開始された「CIRCS研究」以外にも日本国内の様々な疫学研究や海外の研究その他も含め総合的な内容で構成されています)。今回導き出された健康法則は、他に類を見ないほど強固で、普遍的な性質も併せ持っています。

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