「自分の人生で一番大事なこと」を知るために必要なこと…人生のゴールを見つけるために役立つ誰でもできるふたつの行動
「自分の人生で一番大事なこと」を知るために必要なこと…人生のゴールを見つけるために役立つ誰でもできるふたつの行動

「ロードマップ」とは、何を目的にどう頑張るかといった人生の指針となるもの。だが、一度きりの自分の人生にとって何が一番大事なことかを知ることは実は意外と難しい。

嫌なことを引き受けたり、社会の一員として日々生活する中で見失ってしまいがちだからだ。

ファッションバイヤーで実業家でもあるMB氏の最新著書『ロードマップ』より一部抜粋・再構成し「自分の人生で一番大事なこと」を知るために必要な方法をお伝えする。

自分らしさを取り戻そう

「こうしたい」という理想を語るには、感覚を取り戻すことが大切です。

私たちは、お金は大事なもの、仕事は嫌でも頑張るもの、上司には服従など無意識に信じていますが、これらの価値観はいったいどこからきたものなのでしょうか。

私たちは社会を生きるなかで、常識や慣習といった社会がつくった価値観に毒されていて自分の頭で考える感覚をなくしてしまっています。無条件にこうした他人の価値観に縛られているからこそ、自分の好きなことすら答えられなくなってしまっているのです。

子供のころに好きなことを聞かれたら、無限に答えられたでしょう。

食べることが好き! ゲームが好き! サッカーが好き! 3組のあの子が好き!

頭のなかは無限に好きなことであふれていて、それを求めて毎日が彩りを帯びていたはずです。しかし大人になると、いつの間にか、好きなことがわからないと悩んでしまう。自分らしさや自分の理想を語ろうにも、社会という制約のなかで自分の価値観が失われてしまっています。

そこで、自分本来の感覚を取り戻すためにおすすめの方法が2つあります。

一つは、小学校三年生の自分を隣に連れてくることです。小学校三年生くらいの過去の自分を、常に隣に連れて今の自分を見せてください。

そこで、当時の自分が今の自分を見て、どう思うかを想像してみてください。

三年生の自分が「うわああ!僕こんなカッコいい大人になれるんだ!早く大人になりたい!」と思うなら、今やっていることは正解です。

しかし三年生の自分が、こんな大人になんてなりたくないと悲しむようなら、今やっていることはまちがっています。

嫌な上司に頭を下げている姿や、SNSで他人の炎上に加担して誹謗中傷する姿を見て、小学校三年生の自分はカッコいいと思うでしょうか。これは自分の根源的な美意識を思い出すためのメソッドです。

なぜ小学校三年生かというと、ある程度の判断ができ、かつ社会の常識や慣習の影響を受けていない年齢だからです。我々は大人になると、仕事だから仕方ないだの、疲れているからしょうがないといって、とかく言い訳をつくりがちです。

社会的であろうとするあまりに、自分らしさを見失っている状態です。これが長く続いた結果、好きなことすらわからない状態になってしまうのです。

自分の美意識を取り戻すために無垢だった子供の視点を取り入れましょう。お金のため、仕事のため、会社のためでなく、自分の美意識、カッコいいかカッコ悪いかで判断することも必要だと思います。

育った街をゆっくりと歩く

もう一つは子供のころに育った街を、ゆっくりと歩いてみてください。

通学路を、当時を思い出しながら一人で歩いてみます。

今も同じ土地に住んでいるという人であっても通学路を歩くことはしないでしょう。ぜひ噛み締めながら歩いてみてください。私は、年に一回、必ず通学路を歩くようにしています。

通学路を歩くと、いろいろな感情や感覚があふれ出てきます。とくにその土地を離れて以来、歩いていなかった人は効果絶大でしょう。子供のころの感覚、大事にしていたもの、熱中していたこと、毎日何を思い、将来に何を夢見ていたのか。あなたが本質的に求めていることや生まれながらにして持っている価値観を再確認できるはずです。

私は何度やっても家族の姿が思い出されます。私の家族は小学校六年生のころにバラバラになりました。父の会社が倒産して多額の借金を抱え、両親は離婚し、生まれ育った土地を去り、父と祖母とは離れ離れになりました。

思い出されるのは食卓です。何十年も前に売りに出されて他人が住んでいる家の情景。



そこでは、兄と祖母を含む家族5人でいつも笑いながら楽しく暮らしていました。しかし、お金のせいで仲がよかった家族はバラバラになりました。

お金に対する強烈なトラウマとともに、いつもおにぎりつくって笑ってくれていたおばあちゃん、いつも冗談を言って笑わせてくれたお父さん、いつもいろんなことを心配して先回りして準備してくれたお母さん、いつも優しく頼りにしていたお兄ちゃんといった、かけがえのない家族の顔が思い出されるのです。

歩くたびに私が本質的に求めているのは、いつも家族の幸せなのだと感じます。仕事で財を成すことでも、名前を後世に残すことでもない。ただ自分の大切な家族とできるだけずっと一緒に笑っていたい。

だから私は家族との時間を大切にするよう心掛けています。東京での仕事がいくら忙しくても、他愛のない話しをするためだけに新潟に帰ります。今はこの世にいない父を思い出し、母には愛情をもって恩返しをし、兄にはいろいろなことを相談しています。そして何より家族の生活を守るために仕事を続けています。

もちろんそうした家族のこととともに、自分が熱中していたこと、自分の根源的な欲求にも触れることができます。

自分にとって何が大切なのか、何に熱中していたのか、何が好きなのか、何に幸せを感じるのか。

美意識や価値観を見失ってしまった人は通学路を歩いてみてください。

モチベーションのつくりかた

自分が大事にしたい人は誰なのか、その人に何をしてあげたいのか、その人に何を見せてあげたいのか。

この観点から人生を振り返ると、自分らしさや求める理想の生きかたのヒント、そして何より働くモチベーションの源泉がわかるようになります。

人は自分のことだけでは頑張れません。自分がいい暮らしをしたい、いい家に住みたいなど、自分だけが主語になったものは、結局は原動力にはならないのです。

なぜかというと、自分のことであれば我慢できるからです。しかし他人や社会を巻き込むと、そのためになんとしてでも頑張らねばならないという気概と覚悟が生まれます。

例えば、家族を養うために一所懸命になれる人はいますが、自分だけの暮らしのために一所懸命になれる人は実に少ない。

私たちは集団で生きる社会的生物であり個人の欲求より社会の欲求を優先します。なぜなら一人では生きられないからです。ミツバチが集めた餌をコロニーに持ち帰るのと同じです。

自分で餌を食べてしまうようなミツバチはコロニーから追い出されてしまいます。社会的生物は社会で生存権を得るために、集団のためになる利他的な行動をとるものです。

無論それは自分が生きるための利己的な行動と捉えることもできますが、解釈はいずれにせよ、集団のために生きる本能を持っていることに相違ありません。

何か行動を継続することは難しい。しかし、通勤という毎日決められた場所に時間どおり行くという困難な習慣は継続できています。

筋トレや勉強は継続できないのに、なぜ雨の日も雪の日も満員電車に乗って通勤できるのか。それは誰かに迷惑がかかるからです。

人は自分のためだけでなく他人のために生きることのほうが原動力になります。大切な人に苦労させたくないという願いは、自分のことよりもはるかに強いモチベーションを生むのです。人間は人間関係から逃れることができません。人間とのかかわりあいのなかでこそ幸せが得られるのです。

ギターを練習するには、先にバンドを組んだほうが上達は早くなります。練習しないとメンバーに迷惑がかかるからです。これは強烈なモチベーションになります。

仕事もチームを組んで連絡報告ができる環境をつくったほうが成果につながりやすく、個々のモチベーションも上がっていきます。

そしてあなたにとってもっとも大切な人に何をしてあげたいのか。そこには自分らしさも介在するので、これほど強烈なモチベーションになるものはありません。誰のために何を成し遂げたいのか、常に念頭においておくとやる気が尽きることはないでしょう。

写真/shutterstock

ロードマップ

MB
「自分の人生で一番大事なこと」を知るために必要なこと…人生のゴールを見つけるために役立つ誰でもできるふたつの行動
ロードマップ
2025/3/261,650円(税込)208ページISBN: 978-4594098209

地方のしがないショップ店員はなぜ成功できたのか?
その秘密はロードマップにあった


一所懸命に働いても幸せになれない。人間関係は思うようにいかず、日々は暗いまますぎていく。なぜ自分の人生はうまくいかないのか? それは「ロードマップ」がないからです。ロードマップとは、何を目的にどう頑張るかといった人生の指針となるもの。例えば、マラソンにはゴールがあります。人間が42.195㎞という長距離を走ることができるのは、ゴールがあるからです。もし仮に、ゴールのないマラソンがあるとすれば、それは競技ではなく、ただの罰ゲームです。あなたの人生にゴールはありますか? なんのために働いて、なんのために努力していますか? ゴールを設定しないと、努力は徒労に終わります。なぜなら目的のない努力には意味がないからです。人生においてもっとも肝心なことは、自分で「ゴール」を定めることです。他人が決めた基準ではなく、自分の幸せの形を決めること。ゴールと道筋、すなわちロードマップが決まれば走りかたが見えてきます。ゴールのないマラソンを走るのはいますぐにやめましょう。本書は、あなたの人生の指針となるロードマップを一緒につくりあげることを目的としています。

〈目次〉
第1章 奴隷と王様の違い
奴隷の論理
持たざる者の戦いかた
【奴隷の論理】3つの戦略
【奴隷の論理①】生存領域を見つけよ
「生存領域①」個性を深掘りせよ
「生存領域②」ブルーオーシャンを探せ
【奴隷の論理②】ロードマップを描け
「ロードマップ①」ゴールと時間を決めよ
「ロードマップ②」一日一時間戦略を使え
【奴隷の論理③】具体化して習慣とせよ
「具体化①」役割を担え
「具体化②」ロードマップを細分化せよ
第2章 わかっていても人は動けない
成果を得るための3つのフロー
【思考①】相手が誰かを定義せよ
【思考②】常に考え続けよ
【思考③】ネットに頼るな
【行動①】集中力を保て
【行動②】10年後を想像せよ
【結果①】成果を振り返れ
【結果②】他人の助力を使え
【結果③】諦めよ
第3章 僕たちはどう生きるのか
僕たちの4つの生きかた
【サラリーマンとして生きる】
サラリーマンでも幸せになれる
サラリーマンこそ働きがいにこだわれ
サラリーマンのロードマップの描きかた
サラリーマンこそ交渉しよう
サラリーマンは理想にこだわりすぎない
【本業と副業で生きる】
副業は簡単に稼げる
副業が続かない理由
副業が続く理由
【起業して生きる】
【仕事を諦めて生きる】
生きかたに迷っているあなたへ
第4章 自分らしく生きていこう
「こうすべき」ではなく「こうしたい」
自分らしさを取り戻そう
モチベーションのつくりかた
疑問を持つことを恐れるな
ネガティブをひっくり返そう
あなたがやるべきこと

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