マスターベーションが「がんを予防する」「身体機能を高める」「日本を救う」…人気医師がドンドンやるべきだと断言するいいことずくめな“深い”理由
マスターベーションが「がんを予防する」「身体機能を高める」「日本を救う」…人気医師がドンドンやるべきだと断言するいいことずくめな“深い”理由

マスターベーションがなかなかやめられない……と密かに悩んでいる人も多いのではないだろうか。しかし医師の和田秀樹氏によると、心身に数々の良い効果があるので、むしろ積極的にやるべきだという。

最新刊『熟年からの性』より抜粋・再構成して、その理由を医学的見地から詳細に解説する。

マスターベーションは心身にとって「いいことだらけ」

年をとってくると性的な能力も弱くなって、うまく女性と合わせることができなくなってきますから、射精さえすれば私はマスターベーションでもいいと思っています。

マスターベーションをすることで筋肉低下も防げ、男性ホルモン(テストステロン)も増えて元気になり、社交性も高まって人付き合いもよくなり、意欲的になるなど「いいことだらけ」です。

マスターベーションというのは、要介護高齢者を減らすという点では、大袈裟にいえば、国を救うことにもなると私は思っています。

70年をすぎた患者の方から、「まだマスターベーションが止められない。自分は病気ではないか」といった質問を受けたことがあります。

「病気なんて、とんでもない。いたって健康です」と、お答えしました。

性的能力が保たれるためにはマスターベーションは非常に大事なものですから、年をとってマスターベーションがまだできるということを、もっと喜んでいいと思います。

「性的に若い=実際に若い」ということですから、むしろ高齢者にはおすすめしたい行為と思っています。

マスターベーションを恥ずかしがることはありません。

ただ、70歳とか80歳の高齢者が「俺はまだセックスができるんだ」と自慢しても、「俺はまだマスターベーションをしてるんだ」とは、なかなか言わないものです。やはりマスターベーションなるものが恥ずかしいものだという意識があるからでしょう。

日本も特にマチズモ(男性優位主義)というもののなかで、ある時期まで男が強かった時代は、女にいかにもてるかということが男たる者の値打ちのように思われていて、例えば「千人斬り」とかが自慢になっていました。そんな時代には、マスターベーションをしている奴はダメな奴、女にもてない奴という考えもあったかと思います。

マスターベーションはEDの予防になります。理由はこうです。

加齢や生活習慣の乱れになどによって血液の流れが悪くなると、陰茎に血液が流れにくくなります。そうすると、どうしてもED(勃起不全)のリスクが高まってしまいます。
しょっちゅうマスターベーションを行っていれば血行がよくなります。

血行がよくなれば、酸素や栄養素が体じゅうに行き渡り、免疫細胞が活発にはたらきやすくなります。

また、勃起するだけでなく最後まで射精することで、精液を体外に出すための骨盤底筋を鍛えることができます。

特に、前立腺は加齢により異常をきたしやすい臓器で、前立腺に異常がおきると前立腺がんのリスクも高まります。

日常的な射精で、前立腺がんのリスクが減少するという研究結果がアメリカで出ているくらいですから、いかに射精が大切であるかがわかります。

健康のために射精はひんぱんにしたほうがいい、ということを覚えておいてほしいと思います。

その意味でも、性機能だけでなく身体機能を衰えさせないためにマスターベーションは不可欠といってもいいでしょう。

マスターベーションにはリラックス効果がある

自律神経の観点からいえば、勃起を司るのは副交感神経です。

副交感神経は血圧を下げたり、心拍数を低下させたり、筋肉を弛緩させたり、発汗を抑えたりなど、休息やリラックスするときにはたらく神経ですから、マスターベーションにはリラックス効果があることがわかります。

マスターベーションは、他人から干渉を受けないように一人になれる場所で行うのが一般的ですが、それを見てみたい・見せたいと思う人もいて、ポルノ動画(アダルトビデオ)ではひとつのジャンルとなっているそうです。

それに、ポルノ動画を見てマスターベーションすると確実に男性ホルモンが増えます。なので、日本はもっとポルノに寛容になってほしいと思っています。ポルノであれば別に不倫でもないし、性的搾取でもないですから、誰にも迷惑をかけませんしね。

以前、マスターベーションについて、50代のドイツ人の女性にインタビューをしている映像の中で「週に何度かしています。リラックスできるのでストレス解消にしています」と答えていたのを見たことがあります。

オーガズムに達すると、さまざまなホルモンの分泌や自律神経の作用などにより、幸福感で心身が満たされ、リラックスした状態になるからでしょう。

ちなみに、一般的にセックスを活発に行っている人はマスターベーションも活発であることがわかっています。

2013年のある調査によると、「この1カ月でマスターベーションを行った」と答えた男性は、40代、50代、60代でそれぞれ80%、69%、45%。いっぽう、女性は43%、23%、14%と答えています。

そして、「マスターベーションをする理由は?」の回答では、男性は圧倒的に「性欲の解消」が多く、女性は「性欲の解消」とほぼ同じ割合で、「やすらぎ」と答えた人がたくさんいました。

男性は「性欲の解消」のために行っている人が多いようですが、女性は性的な快楽だけでなく、体と心を労わるセルフケアの手段として取り入れている人が増えているように見受けられます。

実際、マスターベーションでオーガズムを得ると、大量のオキシトシンが分泌されて不安な気持ちや緊張が緩和され、ストレス解消につながります。

心身をリラックスさせる効果のあるセロトニンや、眠気と覚醒のリズムを整えるメラトニンも分泌されます。

さらに、幸福感や気分の高揚、鎮痛効果のあるβエンドルフィンや、やる気が出るドーパミン、いわゆる脳内麻薬であるアナンダミドなども分泌されます。

このことから、マスターベーションは生きることの喜びや安心感につながる行為ともいえます。

文/和田 秀樹

『熟年からの性 若返りの秘訣おしえます』(アートデイズ)

和田秀樹
マスターベーションが「がんを予防する」「身体機能を高める」「日本を救う」…人気医師がドンドンやるべきだと断言するいいことずくめな“深い”理由
和田 秀樹『熟年からの性 若返りの秘訣おしえます』アートデイズ
2025/4/151,650 円(税込)232ページISBN: 978-4861193101『80歳の壁』の著者が教える「性」のパワー! なぜ日本はセックスレスになったのか? 熟年からの男女にとって「性」はなぜ大切か? 『80歳の壁』『70歳が老化の分かれ道』などベストセラーを連発する精神科医・和田秀樹先生が、「性」にまつわる疑問に答え、熟年を若返らせる秘策を説きます。「本書で私が主張したいことは、熟年以降は男性も女性も性に対して寛容であってほしいということです」(著者の言葉) 性に関する様々な疑問に答え、ヨボヨボ老人にならないために熟年以降の世代ほどセックスをした方がよいと説いた衝撃の書。
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