奥田民生が還暦を迎え、友達づくりに本腰入れたワケ「誰も俺の棺桶を持ってくれないことに気づいた」
奥田民生が還暦を迎え、友達づくりに本腰入れたワケ「誰も俺の棺桶を持ってくれないことに気づいた」

大人になるにつれ、新しい友達をつくるのは難しくなる。とはいえ、孤独を抱えたまま誰にも棺桶を持たれずに死んでいくのは嫌というものだ。

そのはざまで奥田民生が考える「友達のつくり方」とは。

独自の視点で人生訓をつづった『59-60』より一部抜粋、再編集してお届けする。

困ったら「飲み屋」に行け

大人になっても友達はできるのか?

いまの時代、仕事は家でできてしまうし、人に会う機会は歳と共に減ってくるから、「友達がいない」「友達がほしい」「孤独だ」という人は、自分から外に出て人に会っていくしかない。

友達がほしい人はまず、とりあえず近所の「飲み屋」に行くのはどうだろう。

寂しい夜は近くのBARにひとりで行って、マスターと喋って、そこから通って、だんだん他の客とも仲良くなって……みたいな展開も期待できる。

あるとき俺がたまたま見つけた店に入ってみると、カウンター席にはちょっと離れて2人の男、中にはママらしき女性が1人で立っていた。

そこは昼は喫茶店で夜は酒を出す店らしく、俺は彼らのうしろでテーブル席に座ってコーヒーを飲んでいた。

3人は楽しそうに話をしていてそれを側から聞いていると、どうやらこの男2人は知り合いでもなんでもなく、たぶんママ目当てで来ている通い客だ。

2人は酒を飲みながらママを挟んで楽しげで、そんな様子を見ていると「こういうのってなんだかいいな」と思ってしまった。

もちろんBARでなくてもママ目当てじゃなくてもなんでもいいけど、友達がほしければ行動しかない。趣味、スポーツ、レジャー……、そういうことでまずは知り合いをなんとか作る。がんばって作る。そういうことが大人は大事かもしれない。

人見知りならコバンザメ作戦

ただ、どうにも人見知りだという人は……。

たとえば俺の知り合いに、誰とでも仲良くなれる人がいる。

そいつはすぐ友達を作るのだけど、俺はこいつのおかげで望む望まざるに関係なく、いつも巻き込まれて友達にならされる。「今度○○さんとゴルフを一緒にやりましょう!」と、知らない間にラウンドが組まれていることもある。

そういうときの俺は、メンバーの素性をチェックして「それなら会ってみよう」と思う……なんてことはまずなくて、気づけば強制的に会わされている。でもそうしているといつの間にかそのメンバーと、そいつがいなくても普通に会うようになっている。「知り合いの知り合いが友達になる」パターンだ。

こういう人がいてくれると自然と友達ができるから、人見知りな人はまずこの「コバンザメ作戦」で増やすのもいいかもしれない。

棺桶を持ってくれる友達はいるか?

「友達がいない」なんて言いながら「人に会うのは苦手」なんて言っていると、新しい友達は一生できない。

新しい友達がほしいのにいないとしたら、その原因は自分にある。

友達は大人になってからでも案外できる。だから友達が欲しければまずは自分から動くことだ。

……なんて偉そうに書いているけど、俺も若いときは人見知りで、自分から友達になるなんてことはありえなかった。

俺の場合、若いときは周りにいまよりものすごい数の人たちがいて、それは毎日「満員電車」に乗ってるみたいな感覚で「頼むからひとりにしてくれ」って思っていたのもあるけれど、いまになったら人見知りだなんて言うもんじゃないと思っている。



なぜなら還暦にもなって「人見知りです」だなんて言っていたら、誰も俺の棺桶を持ってくれないことに気づいたからだ。

だから俺は3年前から「人見知りじゃない」ことになっている。

この歳になっても新しい友達はできる。

それは俺が保証する。

ただ友達ができるかどうかは自分次第。

棺桶問題もあるけれど、友達は多い方がやっぱり楽しい。

それもこの歳になってわかったことだ。

文/奥田民生

59-60 奥田民生の仕事 友達 遊びと金 健康 メンタル

奥田民生
奥田民生が還暦を迎え、友達づくりに本腰入れたワケ「誰も俺の棺桶を持ってくれないことに気づいた」
59-60 奥田民生の 仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル
2024/10/191,760円(税込)224ページISBN: 978-4478119457

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◎10年ぶり、待望の新刊!
◎奥田民生がおくる"働くすべての人”に刺さる本
◎「仕事」「友達」「遊びと金」「健康」「メンタル」……5つのテーマを奥田民生が語り尽くす


仕事はどこを目指すべきか? 20代、30代、40代、50代でやるべきことは? 他人の目が気になったら? 親友は必要か? クヨクヨしたらどうするか? 大人の男の酒の飲み方 いくら稼げば幸せか? 人はなぜ生きるのか?

(目次)
第1章 仕事
 仕事なんて「8位」くらいがちょうどいい
 発想に「マーケティング」はいらない
 「運」がいい人がしていること
 20代、30代、40代、50代でやるべきこと

第2章 友達
 「親友」なんていなくていい
 「仕事仲間」は友達か?
 友達関係に「勝ち組」「負け組」を持ち込まない
 「ケンカしたあと仲良くなる」は本当か?

第3章 遊びと金
 ゴルフで自分の「心」を試す
 服は「いいものを少し」がいい
 「ひとりBARデビュー」のすすめ
 人はいくら稼げば幸せか?

第4章 健康
 覚えられないことは忘れていいこと
 奥田民生の食生活
 「酒」は必ず割って飲め

第5章 メンタル
 「体力」より「気力」が大事
 「できたらラッキー」くらいがちょうどいい
 いくつになってもクヨクヨしていい
 民生流「飽き」との付き合い方
 人には運気の波がある
(など)

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