〈コメ販売詐欺が急増〉「60キロ2万円で買ったらダミーサイトで」「実在する農家の顔写真も無断使用」悪質サイトの見分け方とは?
〈コメ販売詐欺が急増〉「60キロ2万円で買ったらダミーサイトで」「実在する農家の顔写真も無断使用」悪質サイトの見分け方とは?

28日、小泉進次郎農相は2021年産備蓄米の店頭販売価格について5キロ1800円程度になる見通しだと衆院農林水産委員会で語った。21年産の古古古米の放出については賛否両論あり注目が集まっている。

また、23日には小泉農相は楽天グループの三木谷浩史会長兼社長と面会し、備蓄米のオンライン販売に言及し話題になっていた。しかし、こうしたコメのニュースが過熱することでコメ販売を巡る詐欺が増加する可能性がある、と関係各所が消費者に注意喚起を行なっている。 

「以前は日本語がおかしいなど見分けるポイントもありましたが…」

東京都消費生活総合センターによると、東京都のコメ販売を巡る詐欺の相談件数は2024年には年間で45件だったが、2025年3月はひと月で11件にものぼったという。

「やはりおコメに関するニュースが多くなると、それにあわせて相談件数は増加する傾向にあります。詐欺にあった方の相談はいずれもインターネットでのおコメの販売でした。極端に安い価格で販売されているサイトは、事業所の住所が実在するかなど細かい点を確認するなどした方がいいでしょう」

実際に令和6年産のコメを5キロ2000円台で販売しているサイトの事業者を記者が訪ねてみると、該当の住所の番地はなく、周囲にも事業者の会社は存在しなかった。こうした詐欺サイトの手口に関して東京都消費生活総合センターが解説する。

「サイト自体は丁寧に作りこまれています。以前は日本語がおかしいなど見分けるポイントもありましたが、最近は生成AIの機能もあがっているのか日本語がおかしいということも減ってきています。なのでやはり価格が極端に安いコメは警戒した方がいいです。

3月に相談があった70代の女性は60キロ2万円という価格で販売されているサイトで頼んだとのことでした。前払いで口座にお金を振り込み、4日以内に発送されるということでしたがいつまでたっても届かない。それで記載されていた番号に電話するとまったく関係のない事業者に繋がったとのことでした」

また、こんなケースもあったという。

40代の女性が30キロ9000円台というサイトを見つけ、実際に購入し指定された口座に現金を振り込んだ。すると振込後、事業者から「在庫がないので返金をしたい。銀行振込だと手数料がお客様負担になってしまうので電子マネーで返金したい。なので2次元コードを送ります」と連絡が来たという。

2次元コードをSNSでやりとりして受取り、読み込むと必要事項を記入するよう促された。また、二次元コードともに送られてきた4桁の認証番号の数字を入力すると電子マネーで女性に返金される旨が書かれていた。

女性は必要事項とともに、4桁の認証番号を入力。しかし、その認証番号は実は金額で、入力してクリックすると自身の電子マネーを送ることになってしまった。女性は2重でお金を盗られてしまい、被害額は2万円近くになってしまったという。

 こうしたコメの詐欺サイトの被害は全国的にも急増している。国民生活センターによると相談は3月ごろから増加し、4月末までに200件以上の相談が寄せられた。

相談事例には「コメ10キロを送料込みで4050円をクレジットカード決済したが注文完了メールが届かないため問い合わせ先に電話すると使われていなかった」(20代男性)や、「夫が画像投稿アプリに表示された広告からコメを購入した。

コメの購入代金として3899円をクレジットカード決済すると、購入商品がサングラスとなった領収書がメールで届いたが、いまだコメもサングラスも届いていない」(50代女性)など様々な手口があるようだ。

SNS上の広告が呼び水となるケースも多いとのことで、よりいっそう消費者側も気を付けなくてはならない。

コメ農家は「名前を勝手につかわれた」

被害者は消費者だけではない。こうしたコメの詐欺サイトには個人のコメ農家や事業者の名前が無断で堂々と使用されている。被害にあった事業者の関係者が語る。 

「ここ最近になってウチの名前を勝手に使われていると知りました。コメの話題が多いからだとは思いますが、過去に名前を勝手に使われるといったことは一度もありませんでした。もちろんですが、そのような価格でコメの販売もしておりません」 

サイトの中には「コメ農家の〇〇さんが育てた〇〇米」などと無断で顔写真まで載せられている悪質なケースもある。顔写真が出ていることで信用してしまう消費者もいるのだろう。

「少しでも安くコメを買いたい」という消費者心理につけこむ悪質コメ販売の詐欺サイトには要注意だ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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