
埼玉県戸田市の「WEILAI卓球スクール」で自身の教え子や保護者の女性にマッサージと称して体を触るなどし、不同意わいせつや準強制わいせつの罪で起訴されていた小西海偉被告(44)の初公判が29日、さいたま地裁で開かれた。小西被告は卓球の元全日本王者で 「卓球界のレジェンド」と呼ばれるほどのプロ卓球選手だ。
黒いロンTに黒いパンツ、茶色いサンダル履きで入廷
元五輪選手の妻・小西杏さんが運営する卓球スクールで2019年から2024年にかけて3人の女性に対しわいせつな行為を行ったとして罪に問われている小西海偉被告。いずれの事件も卓球スクールの教室内で行われており、Aさん(16歳未満)、Bさん(40代)、Cさん(30代)は小西被告からわいせつ被害にあったと思われる。
社会部記者が語る。
「被害者3人とも小西被告がマッサージを行うという流れから被害にあっています。被害者のAさんは当時まだ16歳未満です。小西被告に下着の中に手を入れられ、右耳をなめられています(♯2参照)。Bさん、Cさんに関しては四つんばいにさせられ着衣越しに臀部に小西被告の陰茎を押し当てられるなどされています。再逮捕時には黙秘に転じていたので裁判で何が語られるのか注目が集まっていました」
黒いロンTに黒いパンツ、茶色いサンダル履きで入廷した小西被告。短髪の髪型はきちんと刈り上げられており、整えられていた。傍聴席にいた知人なのか座っている男性に向かって軽く笑みを向けるなど非常に堂々とした様子だった。
被告人席に着席すると弁護人と何か話しはじめ「あ、そうなの」などと漏らしていた。弁護人と話す際は日本語で話していたが、公判時には通訳がつき中国語で話を聞いていた。
弁護人は控訴事実について『Aさんに対し下着に手を入れたり耳をなめたりなどのわいせつ行為は行なっていない。Bさん、Cさんに対し臀部を触ったが同意があった、または同意があったと誤信してのことだ。あくまでマッサージの一環で、陰茎を押しつけるなどのわいせつ行為は行なっていない。よって被告人は無罪です』と主張した。
あくまでマッサージだと思っていたので了承しました
小西被告の主張を真っ向から否定するかのように証言台に立ったのがCさんだった。当時、Cさんは小学生の子どもが卓球教室に通っていたという。証言台の周囲はパーテーションで区切られCさんの姿は見えず、声だけ聞こえる状態だ。まずは検察側の証人尋問が始まった。
以下、一問一等形式で一部を編集し詳報する。
――被害にあった時は練習場に誰がいましたか?
Cさん「私と子どもと海偉先生がいました」
――被害にあった場所はどこですか? どのような状況でしたか? 証人はどのような服装をしていましたか?
Cさん「マットのしいてある荷物置き場です。子どもの卓球の準備をし、子どもは海偉先生にサーブの練習をしているように言われ卓球台の方に行っていました。海偉先生はマットのしいてある荷物置き場に戻ってくると電気を消しました。
――それからどうなりましたか?
Cさん「海偉先生は私の横にきてうつぶせになりました。私にマッサージをするように言ってきました。アットホームな教室だったのでマッサージをさせるのはコミュニケーションの一環とか、子どもの体のケアの方法をプロならではの目線で教えるということもあるのだと思いました」
――どういったマッサージをしましたか?
Cさん「親指で腰のあたりを押すようなマッサージです。5分くらいするとお尻の方もマッサージするように言われました。その後、今度は私にマッサージをすると言われ私がうつぶせになりました。腰のあたりを親指で押すようなマッサージをした後、海偉先生に『お尻もしていいか?』と聞かれました。お尻を触られるのは嫌だなと思っていましたがあくまでマッサージだと思っていたので了承しました。先生という立場の人でしたし、わいせつな目的というのは考えにくいと思っていました。それでお尻のあたりを指で押すようにマッサージされました」
――その後はどうなりましたか?
Cさん「海偉先生からお尻を持ち上げるように言われました。さすがに恥ずかしいなと思いました。それで少しだけお尻を上げると『以前はもっと上がっていたじゃないか』と言われました。
その後、静かに息づかいが聞こえて何かが近づいてくる気配がしました。それから臀部の近くに何かがあたる感覚がしました、ピタっというような感覚だったと思います。もしかしたら陰茎とかなのかと思いましたが、はっきり何かはわかりませんでした…」
海偉先生は私の足元で足を開いて正座しているような態勢でした
我が子が練習している教室内でCさんはわいせつ行為を受けたと主張する。
法廷での描写があまりにも生々しく、詳細は控えるが、その後、小西被告はCさんに性交渉を持ちかけ、Cさんは最初は何が何だかわからなかったもの、気付いた際にこれを拒否、「おかしいですよね」と小西被告を“問い詰めた”と主張する。
「小西被告は『そうですよね』と悪いことをしたと認めて反省しているような様子でした。その後、私は卓球場をそのまま出ました。子どもはそのままレッスンを受けていました」(Cさん)
いっぽう弁護人の反対尋問では、被害届を出した経緯や、小西被告がCさんに断りなく臀部に触れたり腰を押さえたりするなどして体に触れることはなかったこと、陰茎を押し当てたがこすりつけることはなかったことなどを確認していた。
また、裁判官はマッサージを行なっていた時の小西被告の位置や陰茎を当てられた時間などを尋ねていた。
Cさんが被害にあったのは2019年6月初旬ごろ。当初Cさんは警察にも誰にも話さず隠しておこうと決意していたという。
その理由について「子どもが卓球を習えなくなるのではないか? (被告の)奥さんや娘さんを傷つけてしまうのではないか? そう思うと被害の申告はできませんでした」と証言していた。
ところが2024年にネットニュースで自分と似た被害にあったという女性の記事を見たことによって、『処罰感情というよりは、同じ被害者を出したくない、他の人が巻き込まれてほしくない』という思いもあり被害届を出すことにしたという。
小西被告に対して『先生という立場を利用してわいせつなことをしたことを認めて反省してほしいです』と語ったCさん。無罪を主張する小西被告の耳にCさんの言葉はどう響いたのだろうか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班