「私は、結構メンタルが強い方で(笑)」本田望結が誹謗中傷にまみれたSNS社会で生き抜けてこれた2つの支え
「私は、結構メンタルが強い方で(笑)」本田望結が誹謗中傷にまみれたSNS社会で生き抜けてこれた2つの支え

俳優、そしてフィギュアスケーターという2軸での活動を続ける本田望結。6月1日に21歳の誕生日を迎えたばかりだが、俳優、フィギュアスケートともに3歳から取り組んできた、そのキャリアは長い。

本田は、「幼い頃から活動してきたことで、さまざまなことに向き合う強さが身に付いた」と語る。(前後編の前編) 

本田望結「私は、結構メンタルが強い方で(笑)」

匿名掲示板「2ちゃんねる」の投稿をもとに制作されたホラー映画『きさらぎ駅』(2022年公開)の続編『きさらぎ駅 Re:』で主演を務めた本田望結。前作で異世界「きさらぎ駅」から奇跡の生還を果たした本田の演じる宮崎明日香が続編の主人公となる。

同作はホラー映画でありつつ、ネット上で誹謗中傷を受ける主人公も描かれ、ネット社会の怖さという部分も注目すべき箇所だ。

本田自身もインスタグラムが約73万人、Xは約35万人のフォローをかかえるが、ネットやSNSとどのように向き合っているのだろうか。

――本田さん自身は、ネットの良さ、逆に怖さを感じることはありますか?

良さでいうと、この『きさらぎ駅』という映画自体が2ちゃんねるで話題になった投稿が原作ですし、映画の人気も映画館ではもちろん、公開が終わって動画配信サイトで見られるようになってから、ネット上を通してさらに反響が広まって。インターネットが持つ力のすごさは『きさらぎ駅』を通して実感しました。

――怖さを感じたことは?

まず、こういう質問に答えさせてもらうとき、私たちって勝手に世間の声を受ける側として答えがちなんですけど、そうじゃないんですよね。私が誰かを元気づけたいと思った投稿でも、誰かを傷つけてしまう可能性だってある。

だから、SNSを更新するタイミングとかもすごく気にしています。今、日本や世界で何が起こっているかをすごく考えて、今はタイミングじゃないと思ったら投稿を延期することもあります。

でもそのぐらい考えてこそちょうどいいのかなとも思うんです。みなさんから声をいただくことが多いからこそ、自分が発信することは気をつけています。



――ご自身では、どのようにSNSを活用していますか?

私自身、SNSは正直あまりチェックしないようにしているんです。

映画の感想であったり、私に対して「こうした方がいいよ」って注意みたいなコメントや厳しいお声って、本当に伝えたい方は直接伝えてくれます。

でも、顔も見えないのに書く方もいらっしゃる。そういう方のお言葉は受け止めなくていいかなと思うんです。直接、私に伝えてくれる方々の気持ちをしっかり受け止めて、その方たちにちゃんとお礼ができれば十分かなと思います。

――万が一、悪気ある人の声が自分の耳に入った場合はスルーできますか?

私は、結構メンタルが強い方で(笑)。

きついコメントにも「感謝できるかな」

――本田さんはまだ20歳。その強さはどうやって身に付いたんですか?

それは、小さい頃からこの世界にいさせてもらってるからというか。

大人になってからデビューされる方だと、多分、タレントとしての自分と素の自分という“2人の自分”がいるみたいな状況になって苦労するんじゃないかと思うんです。

でも、私は今の状況しか知らない。それは小さい時にデビューさせてくれた事務所や両親に感謝だなって思います。

――その強さは、今回演じた明日香に通じるものがありますね。



特に続編では、明日香に共感するところが多くあったんです。それは多分、監督が実際に前作の時に私に会って、「本田望結が演技するから」といろいろ考えていただいたんだと思います。

――映画のなかでは、噂だけで判断した世間の人々が、明日香に対して厳しい視線を送ります。

そうですね。こんなにも“いい子”の明日香に対してSNSでいろんなコメントがつき、叩かれてしまいます。

でも、それを「どうしようもない」では片付けたくないですよね。だからこそ、この作品ではネット社会に対して意見というか、ある意味ホラーだけじゃない部分も描かれてる。

この映画を通して、ネットに対する感覚が少しでも変わるきっかけになったらいいなって思います。

悪気がなく言っちゃうことも絶対ある。私だって気を付けないといけない。相手のことを思ったとしても、裏目に出ちゃうこともあるので。いろんなことを想像する努力、そして知識は常にストックしなくちゃいけないなって思います。


――なにかネット上でつらい経験をした場合には、どのように乗り越えたらいいと思いますか?

アドバイス的なことを言える立場ではないので。

ただ、これは私の中での基準でもあるんですけど、何か言われたことに対して、反論できるぐらいの意見があれば、あなたは間違っていない思うし、逆にグサッて刺さっちゃうようだったら、改善すべきところなのかもしれませんよね。

言い返すことがない時は、私も「これは自分が悪い」「自分が間違っていた」と反省すべきポイントなんだと思って、その声に感謝できるかなと思います。

後編では、俳優業とフィギュアスケーターという2軸で活動する、そのモチベーションについて話を聞いていく。

取材・文/羽田健治 撮影/廣瀬靖士 

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