
いまや世界の医療界では「脂肪肝があらゆる病気の出発点」という見方が主流になっているという。この諸悪の根源、脂肪肝の予防には私たちがふだんから慣れ親しんでいるある飲み物が効果を発揮するという。
『肝臓大復活: 100歳まで食・酒を楽しむ「強肝臓」の作り方』(東洋経済新報社)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
脂肪肝を防ぐには「緑茶の効果」を生かすのがおすすめ
「脂肪肝や肥満がちょっとでも気になるなら、飲み物はお茶一択にしてください」――私は、クリニックを訪れた患者さんによくそう話します。
広く知られるように、緑茶には多くの健康効果があります。緑茶には、渋みや苦みの元になる「カテキン」というポリフェノールが豊富に含まれていて、この「茶カテキン」がじつに多様な「うれしい効果」をもたらしてくれるのです。
まず、茶カテキンには、脂肪の燃焼を促す作用があります。最近の研究で、高濃度の茶カテキンを継続摂取すると、肝臓や筋肉における脂肪代謝が活発になって、脂肪燃焼が促されることが明らかになっているのです。
だから、日々「濃い緑茶」を飲むのを習慣にしていれば、脂肪の燃焼が促進されて、脂肪肝や肥満の解消に向けて好影響が期待できるというわけです。
また、茶カテキンには、糖の吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の急上昇を抑える働きもあります。血糖値の急上昇を防げれば、インスリンが分泌される量も少なくて済みますので、インスリンによって余分な糖が中性脂肪に変換されるのを抑えられることになります。
すなわち、これにより肝臓や内臓周りへの脂肪蓄積が抑えられ、脂肪肝や肥満を防ぐことにつながっていくのです。
さらに、茶カテキンには、抗菌作用や抗炎症作用もあります。歯周病や虫歯を防ぐ作用も期待できるので、歯周病によるトラブルやリスクを減らすことにつながるはずです。「お茶うがい」をすれば、インフルエンザなどの感染症の予防にも役立つでしょう。
それに、緑茶には、茶カテキン以外にもビタミンCやβ‐カロテンなどの抗酸化作用の高い成分が豊富です。こうした強力な抗酸化作用には、動脈硬化を予防したり認知症を予防したりする効果も期待していいでしょう。緑茶に多いアミノ酸の一種・テアニンには、神経をリラックスさせたり血圧を安定させたりする作用も期待できます。
十分な効果を引き出す緑茶の飲み方
このように、緑茶は健康効果が盛りだくさんであり、こうした多くの効果を生かさない手はありません。
では、こうした効果を十分に引き出すには、どんな摂り方をすればいいのか。
私は、ペットボトルの緑茶を飲むのであれば、1日に500㎖ボトルを1本以上飲むことをおすすめしています。ブレンド茶ではなく、なるべく茶カテキン成分の多い「濃い緑茶」を選んでください。
そして、それを1日3回の食事前に100㎖を目安に飲み、残りは1日かけて小まめに飲むようにするといいでしょう。食事前に飲めば、食後の血糖値上昇抑制効果をより引き出すことができます。
一方、急須で緑茶を入れる場合は、茶葉を入れた急須にお湯を注いで、1~2分おいてから飲むようにします。
なお、お茶を飲んだ後に、急須に残った茶葉を食べるのもたいへんおすすめです。
茶葉にはカテキンをはじめとした多くの栄養成分が残っているため、これを食べると、先に紹介したさまざまな健康効果の恩恵をよりいっそう受けられることになるのです。
食べる目安は1日に1回3g。
また、調味料で味付けした茶葉を煮て、塩昆布やじゃこ、削り節などと合わせてもおいしくいただけます。こうした工夫をしながら、緑茶の栄養成分をなるべく無駄なく摂るようにしていくといいでしょう。
文/栗原 毅
『肝臓大復活: 100歳まで食・酒を楽しむ「強肝臓」の作り方』
栗原 毅 (著)
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