〈二宮和也42歳〉「40代になり、そろそろ大人になろう、責任を持とう、というきっかけをいただいた」初の新書『独断と偏見』100の問い
〈二宮和也42歳〉「40代になり、そろそろ大人になろう、責任を持とう、というきっかけをいただいた」初の新書『独断と偏見』100の問い

二宮和也氏による初めての新書『独断と偏見』(集英社)が、6月17日に出版された。小説やエッセイを発表するアイドルはいるが、政治や経済、社会問題など硬派なテーマを掘り下げることが多い「新書」形式で著書をリリースするのはかなり珍しい。

42歳の誕生日を迎えた著者の今に迫る注目作だ。

編集者が送った1通のメール

本書の企画がスタートしたきっかけは、集英社の女性誌『MORE』で10年にわたり二宮氏の連載「It[一途]」を担当してきた編集者が、独立したばかりの二宮氏のホームページの問い合わせフォームにメールを送ったことだった。

「生きているうちに、二宮さんの言葉を一冊にまとめたいのです」

ステージⅣのがんが見つかった編集者は、連載担当中に幾度も耳にした”ニノ流哲学”の言葉を思い返し、治療中に励まされてきたという。だからこそ「一冊の本にし、お守りとして持っていたい」と切望した。

二宮氏も事務所の独立という大きな転機を迎え、第二の人生を歩み始めたばかりだった。「40代になり、そろそろ大人になろう、責任を持とう、というきっかけをいただいた」と編集者の思いを受け取り、プロジェクトは始動した。

10の四字熟語に沿った100の問い

本書には、二宮氏が独立してから最初の春夏秋冬の1年間、「心機一転」「適材適所」「温故知新」「喜怒哀楽」などの四字熟語に沿って、100の問いに答えた内容が収録されている。

インタビュー前に内容を示し合わせ、じっくり悩んで紡いだ言葉ではない。毎月1度、限られた時間の中で行なわれた、緊張感ある問答だ。

「(独立して見えた景色について。他者から)好かれているんだなっていうのと、嫌われているんだなっていうのと、両方見えた」

「『仕事』において『学び』なんて言うな、っていうスタンス。お金をもらって学んじゃダメ」

「人のことを喜べる人間であれば、間違いなく自分のことを喜んでくれる人が周りに集まってくる」

「怒らない。代わりに教える。怒らず、徹底的に」

「僕は僕を利用しようとする奴には絶対に負けない」 

きかれた質問にストレートに答えていく純度の高い言葉には、仕事観、人との関わり方、憧れていた人の死、そして家族やお金、プライバシーを侵害するメディアに対する怒りについてなど、読んでいるこちらがドキリとする内容も含まれる。

もちろん、彼の言葉の強さは熱心なファンならば周知の事実だが、バラエティ番組で見せる飄々とした掴みどころのない“ニノ”のイメージを抱く人は驚くかもしれない。

自分の影響力を痛いほど自覚し、葛藤し、向き合ってきたからこそ語ることができる、熟考し続けてきた人の言葉だ。

「30代後半から40代前半の人たちがこれを読んでどう思うのかっていうのは、まあ気になるところですね」

そう本人は語るが、不安定な時代を生きる全世代にとって、きっとお守りになる言葉が見つかるはずだ。

文/松山梢

独断と偏見

二宮和也
〈二宮和也42歳〉「40代になり、そろそろ大人になろう、責任を持とう、というきっかけをいただいた」初の新書『独断と偏見』100の問い
独断と偏見
2025年6月17日1,100円円(税込)新書判ISBN: 978-4-08-721368-3二宮和也による初めての〈新書〉。 あえて文字だけの表現に挑戦。 40代になった著者二宮が、これまで考えてきたこと、いま考えていること――。俳優やアーティストとしての表現のみならず、二宮和也が発信する独創的な言葉の力には定評があります。 その最新の〈哲学〉を言語化すべく、10の四字熟語をテーマに計100の問いと向きあいました。ビジネス論から人づきあいの流儀、会話術から死生観にいたるまで、「独断と偏見」にもとづいて縦横無尽に語りおろします。 エンターテイナーとしての思考が明かされると同時に、実生活に役立つ働きかたの極意や現代を生きぬく知恵が凝縮。 世代や性別を問わず、どのページを開いても人生のヒントが見つかる新しいかたちのバイブル的一冊です。【目次】はじめに第一章 心機一転第二章 適材適所第三章 温故知新第四章 喜怒哀楽第五章 一心同体第六章 魑魅魍魎第七章 輪廻転生あるいは永劫回帰第八章 猪突猛進第九章 花鳥風月第十章 二宮和也おわりに編集者によるあとがき【著者コメント】「最初に“新書で”というお話をいただいたとき、単純に写真ナシで文字だけという形態が自分にとっては新しい試みで面白そうだな、と。
また、学問やビジネス向けのイメージが強い新書そのものの枠を広げて、読者層を厚くしたいという意図もいいなと思いました。 さまざまなテーマについて自由に話しています。ぜひ読んでみてください」
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