
SNSに飛び交う銀座、六本木のキャバクラの繁盛ぶりが凄まじい。だが一方で、東京商工リサーチの調べによれば2024年上半期(1-6月)の「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の倒産は過去10年間で最多の47件に上っている。
伝説のキャバ嬢が明かす実情「一部の地域やお店が流行っているだけ…」
六本木や銀座の店に所属するキャバ嬢たちのSNSには、毎晩のように「数百万円のお会計」だなんだと繁盛している様子が投稿されている。
この様子について、かつて現役キャバ嬢時代に『小悪魔ageha』の人気モデルを務め、ランウェイイベント「Girls Award」にも出場し、1日の売上げ最高額は2800万円という伝説を持つ実業家の愛沢えみり氏は言う。
「今のキャバクラはSNSだけ見ているとすごく繁盛しているように見えますが、それは一部の地域やお店が流行っているだけです。
それは特に東京と大阪に集中してて、なぜかといえば、見た目の良い女性とお金持ちのお客様が多く集まるからで、それを見た全国のキャバ嬢がそういったお店に憧れを持ち、また、それらのお店にスカウトしようとするスカウトマンがSNSを使って採用を強化しているという背景があります。
スカウトマンの利益は入店させたお店の女の子の売上の10%前後という事が多く、売上げの上がりそうなお店に入れるわけです」
これは愛沢氏が現役時代にはなかった流れだという。愛沢氏が活動していた2010年代は「私たち時の時代はSNSが流行り出した頃で、SNSを見てお客様が会いに来るという時代」だったそうだ。
「でも今はいかにも売上げそうな女の子が、売上げそうなお店に全国から集まるという時代。採用基準も当然高く、入店するだけで自分のブランディングも上がるわけです」
では、倒産するようなキャバクラ店の背景にはどんな問題があるのか。愛沢氏が続ける。
「一般的にはキャバクラ離れが進んでいます。会社の打ち上げなどでキャバクラに来ることは確かに減っていますし、ガールズバーや、ラウンジ、コンカフェなど似たような業態も増えています。
また、出会いを目的としたバーや居酒屋、マッチングアプリなども流行っていて、女性との出会いの多様化と時代の流れでキャバクラは全国的には衰退しているのかなと思います」
キャッシュで一晩1千万円も…「大きな金を使う人ほど、ほぼ現金払い」
これについて、都内人気店のオーナーが「要はキャバクラの二極化ですよ」と断言する。
「今の東京、特に六本木と銀座のキャバクラはケタ違いで、完全にバブル状態です。初来店で一晩で1千万円をキャッシュで払う人とかいますから。銀座のクラブと違って名刺などはもらわないから、相手がどんな立場でそれがどんな金だなんて知らないですよ。
私の店でもかつて1千万円のキャッシュ払いをした方がいましたね。単純に金の動く店と動かない店がはっきりとわかれたというだけですね」
オーナーが言うには「大きな金を使う人ほど、ほぼ現金払い」なのだそう。
「あまり大きな声では言えませんが、『POSなし(POS=レジの販売情報管理)』と言って情報を残さず会計する場合もありますから。うちだけでなく一晩1億の金が動くなんてザラです。客層は明らかに変わりましたよね。フツーの会社員なんてほとんど見ません。バブりまくって怖いくらいです」
そのような大きな金が動くからこそ、キャバ嬢にとっては「つらい状況に陥ることもある」と言うのは前出の愛沢氏だ。
「数千万円を使ってくれる一人のお客様だけで、憧れのお店で“ナンバー入り”する事も可能です。
最近は、そういうお店に疲れて、自分の働きやすいお店に移籍する子も増えていますが、まだまだこの流れは続きそうです」
また、六本木のある人気店で、かつて一晩で数百万円を使ったことがあるという客にもこの状況について聞いた。
「もう高級キャバクラは言ってみたら高級風俗店になっちゃってるよね。売れっ子はみんな枕しまくってますよ。たとえ枕営業一切してないってブランディングしてる子ですら、実はしているパターンが多いです」
キャバ嬢同士でこのようなバトルもあるという。前出の客が続ける。
「つい先日、秋田で一晩2000万円売り上げた有名キャバ嬢が六本木の高級キャバに電撃移籍したタイミングで、枕してないことを売りにしてた先輩キャバ嬢の枕事情をSNSで暴露しちゃったんですよね。その子(先輩キャバ嬢)は即クビ(笑)。キャバ嬢同士の足の引っ張り合いもすごいことになってる。
まあ、僕らも高級風俗と思って行ってはいるものの“こいつは間違いなく抱ける”だなんて思って行くわけでもないし、暴露されたらつまらないよね(笑)」
キャバクラ倒産の背景には、キャバクラ格差があったということだ。そんな中で女性たちの体を張った営業スタイル…夜の繁華街は男のロマンかもしれない。しかしこれは決して、健全な飲食業態とは言えないのではないだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班