「進次郎劇場」で一転! 都議選、参院選とも自民に楽観ムード…それでも“次の首相候補1位”が本当の首相になれない理由
「進次郎劇場」で一転! 都議選、参院選とも自民に楽観ムード…それでも“次の首相候補1位”が本当の首相になれない理由

参院選の前哨戦と位置づけられる東京都議選の投開票日である6月22日まであとわずか。ここに来て都議選、参院選ともに自民党が堅調ともいえる情勢調査の結果が複数出回り、党内には楽観ムードがただよい始めている。

情勢調査が好調だった理由はやはり、「次の首相」ランキングで1位を獲得したあの人のようで……。

「裏金問題は終わった」「進次郎で雰囲気が変わった」と楽観ムード

参院選の前哨戦とされる都議選も最終盤。永田町関係者の間では、自民をはじめとする各党やマスコミが実施したとされる複数の情勢調査結果が出回っている。

「自民は第一会派を維持できるか微妙ではあるものの、今のところ、『小池ブーム』が起きて都民ファーストの会が圧勝した2017年ほどの惨敗は回避できそうです。知事与党の自公と都民ファーストで過半数を確保できそうな勢いですし、国民民主は『山尾騒動』もあり一時ほどの勢いはありません」(全国紙政治部記者)

さらに、7月20日の投開票が有力視されている参院選の情勢調査でも「自公で非改選を合わせ過半数は確保できそうだ」との見方が広がり、永田町の自民党議員や関係者は一気に安堵のムードに包まれている。

「永田町の自民議員や秘書たちと話していると、『裏金問題は終わった』『進次郎農水相の登場で雰囲気が変わった』と、楽観ムードが漂っていて驚いた」(自民地方議員)

「次の首相1位」の小泉進次郎農水相、都議選応援でも引っ張りだこ

裏金問題や物価高で支持率低迷が続いてきた石破政権の雰囲気を「変えた」とされる小泉進次郎農水相は、都議選の応援でも引っ張りだこだ。

公務の間を縫って自民候補の応援演説に駆け付け、「安心してコメを買える環境を整える」などと、備蓄米放出による効果を強調している。

「今回も進次郎氏が来るという告知をすると、会場いっぱいの数百人規模の有権者が集まってきている。東京は無党派層が多く、終盤に進次郎氏が応援に入るだけで当落線上の候補が当選するケースもあるだろう」(自民関係者)

そんな進次郎氏は、産経新聞とFNNが実施した世論調査の「次の首相に誰がふさわしいか」という項目では高市早苗前経済安保相(16.4%)を引き離し、20.7%の1位となった。

「引き続き備蓄米に関して進次郎氏の露出は続き、ポスト石破候補としての存在感も増すだろう。夏の参院選に向け党内では『石破首相よりも進次郎氏に応援に来てほしい』という声も多い」(同)

「2万円給付」は総スカン…頼みの綱は「進次郎人気」だけ? 

一方、石破首相は6月15~18日の日程でG7サミットに出席するためカナダを訪れたものの、米国・トランプ大統領との首脳会談では関税措置をめぐる合意には至らなかった。

自民内からは「参院選前に関税交渉で合意できれば、大きなアピールになったが、あと1ヶ月での進展は難しいのでは」とため息も漏れる。

さらに、参院選公約の目玉として打ち出した国民1人あたり2万円給付(住民税非課税世帯の大人とすべての子どもにはさらに1人あたり2万円上乗せ)への世論の反応もイマイチだ。

朝日新聞の世論調査では2万円給付について「評価しない」が67%にのぼった。世論の批判を受けて一度は取り下げたはずの現金給付を再度持ち出してきたという一貫性のない「バラマキ」に、厳しい目が注がれている。

それだけに参院選では、進次郎氏が進めている備蓄米放出が一番のアピールになるというのだ。

「今のところ参院選の売りは『進次郎』しかないので、進次郎ブームがあと1ヶ月続くか、コメ価格下落の恩恵を多くの有権者が実感するか、ということをドキドキしながら見守っている状況だ」(自民議員)

それでも「進次郎首相」誕生は容易ではなく、石破首相はホッ? 

「次の首相1位」「参院選の看板」と、存在感を増す進次郎氏。それでも、石破氏に代わって首相の座に就くのは容易ではない。

石破首相は訪問先のカナダでの会見で「政権与党として喫緊の課題に決して隙間を作ることがないよう全力を尽くす」と発言。衆院解散には否定的な考えを示した。参院選に集中し、現在の情勢調査どおり自公が非改選と合わせ過半数を確保できると、石破おろしの機運は起こりにくい。

さらに、昨年衆院選を行なったばかりのため、衆院選をすぐに実施する必要はなく、国民人気のある進次郎氏をすぐに担ごうという雰囲気が自民党内に生まれているとは言いがたい。

また「『トランプ関税』をめぐる交渉の難航がこのまま続くと、進次郎首相では不安だ」(自民議員)との声も根強い。

「石破首相としては、進次郎氏に都議選・参院選の『顔』として活躍してもらい、夏ごろにあるとみられる内閣改造でも留任させて政権内にとどめ置き、自身はなるべく長く首相を続けたいのだろう」(同)

看板・進次郎氏の登場で「余裕」も見せる自民と石破首相。22日に投開票が行なわれる都議選と、約1ヶ月後に行なわれる参院選の開票後も安堵の表情でいられるだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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