「母に家を買ってあげたい」が原動力だった、知られざる下積み時代…3児の母・上戸彩が語る芸能生活25年
「母に家を買ってあげたい」が原動力だった、知られざる下積み時代…3児の母・上戸彩が語る芸能生活25年

デビュー25周年を迎えた上戸彩さん。俳優として『3年B組金八先生』『絶対零度』『半沢直樹』『昼顔』など、数々の人気ドラマや映画で主演・主要キャストを務めてきた。

2025年現在もCMタレントとして複数社と契約を結ぶなど、多彩な活動を展開している。10代でのデビューから3児の母となった現在まで、第一線で輝き続ける彼女に、これまでの芸能活動とこれからの展望について聞いた。

数年先までスケジュールが埋まり、寝る時間もないような生活

上戸さんの芸能界デビューのきっかけは、1997年に12歳で出場した「第7回全日本国民的美少女コンテスト」だ。

「小学生のとき、友達がエキストラの仕事でドラマに映っていて、『いいな。私もテレビに映ってみたいな』ってつぶやいたんですね。そしたら、それを聞いていた母親がポストに入っていたコンテストの応募用紙を送っていたんです。ある日、電話に出たら身に覚えのない審査合格の連絡で。母に聞いたら、チラシを見せてくれて。賞金200万って書いてあったので、『一軒家を買って家具を買いそろえて、貯金もできる!』って思って出ることにしたんです」(上戸彩さん、以下同)

コンテスト受賞をきっかけに芸能界への道が開かれる。芸能界への興味は薄かったものの、母に家を買ってあげたいという思いが原動力となり、1999年1月、4人組アイドルグループとしてデビュー。ライブハウスでの公演やCDの手売り、握手会などの地道な活動を重ねた。あまり知られていないが下積みも経験している。

その後、俳優としてデビューしたのが、2000年のフジテレビ系ドラマ『涙をふいて』だった。

父親を亡くした4兄妹の長女・淵上桃役を演じ、思春期の葛藤を繊細に表現。

作品内での存在感が高く評価され、視聴者や業界から俳優として注目を集めることとなった。翌2001年にドラマ『3年B組金八先生』第6シリーズで性同一性障害の生徒・鶴本直役を熱演。社会的な反響も大きく、上戸さんのさらなる飛躍に拍車をかけた。

「金八先生あたりから休みがなくなって、数年は寝る時間もないくらい働いてましたね。スケジュールは数年先まで埋まっていて、与えられたものをただがむしゃらにこなすような日々で。でも現場は楽しくて充実していました。自分よりもさらに寝ていないスタッフさんの姿をみて、自分ももっと頑張らなきゃって思ったりしてました。

25歳ではじめて企画書の存在を知りました(笑)。それまでは台本しか知らなかったんですが、敷かれたレールの上を進むだけではない仕事の取り組み方が見えてきて。視聴率を意識するようになりましたし、演技への向き合い方も変わって、お芝居を心から楽しめるようになりました」

まだ見たことのない上戸彩を

2015年には第一子、2019年には第二子、2023年には第三子が誕生。子どもが生まれたことで、仕事に対する心境に変化が生まれたという。

「結婚や出産をきっかけに仕事が少なくなってもしょうがないという気持ちでしたが。

実際は、スタッフのかたや企業のかたも変わらずにオファーをくださり。今は3児の母になりましたが、周囲への感謝の気持ちがより強くなりました。育児を優先することを公言していた私にお仕事をくださって、本当に感謝しかありません」

芸能生活25周年を迎えた今、これからの目標をどのように考えているのか。

「最近は自分の気持ちにも向き合う余裕がでてきました。それで、私のイメージにないような意外性があるような役にも、挑戦をしたいなって思うようになってきたんですよね」

2025年7月10日発売の最新写真集『Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)』だ。撮影をした写真家の川島小鳥さんの代表作である『未来ちゃん』は第42回講談社出版文化賞写真賞を受賞している。

「素晴らしい写真を撮影する方はたくさんいますが、小鳥さんに撮っていただく自分の姿を想像できなかったんです。だからお願いしたいなって。それに私、『未来ちゃん』が大好きだったんです。子どもの無邪気な姿をこんなにうまく捉える写真家さんは、素敵な人に違いないと思っていました。撮影をお引き受けしてくれたときは、すごくうれしかったです」

撮影のロケ地は台湾。旅の中で見せる素顔や俳優としての覚悟が詰まった作品になっているという。

約15年ぶりの写真集『Midday Reverie』では、新しい上戸彩さんの姿が見られそうだ。

取材・文/福永洋一
写真/松木宏祐

上戸彩写真集 Midday Reverie

上戸彩
「母に家を買ってあげたい」が原動力だった、知られざる下積み時代…3児の母・上戸彩が語る芸能生活25年
上戸彩写真集 Midday Reverie
2025年7月10日3850円(税込)ISBN: 978-4299058447俳優デビュー25周年を迎えた上戸彩さんの写真集です。ロケ地は台湾で、カメラマンは上戸さんご自身が「以前から作品の雰囲気が好きで見ていた」と話す川島小鳥さん。幻想的な台湾の夜市を楽しむ姿やビーチでのあどけないピュアな表情、自然の中に佇む美しいカット、透明感あふれる寝起き姿など、多彩な魅力が満載。これまでの活動を振り返ったロングインタビューも読みごたえたっぷりです。
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