〈6月なのに猛暑日〉「メントールは脳をバグらせるから危険」と話題、冷感と冷却の違いとは…豊富な熱中症対策グッズはどう使う? メーカーと専門家に聞いてみた
〈6月なのに猛暑日〉「メントールは脳をバグらせるから危険」と話題、冷感と冷却の違いとは…豊富な熱中症対策グッズはどう使う? メーカーと専門家に聞いてみた

梅雨入りしてまだ間もないにもかかわらず、全国各地で真夏日が続いている日本列島。コンビニやスーパーなどにはさまざまな「熱中症対策グッズ」が並んでいるが、その中には「実際に体温を下げる」ものと、「冷たく感じるだけ」のものがあり、SNSでは「冷感グッズは逆に危険」といった声も上がっている。

本当に効果がある熱中症対策について、メーカーや専門家に話を聞いた。 

“冷たく感じるだけ”は危険? SNSで「冷感グッズ」問題が話題に

東京都心で早くも今年最初の猛暑日を記録した。気象庁が発表した最新の1か月予報によると、7月中旬にかけて全国的に平均気温が平年よりも高めになると予想されている。まだ地域によっては梅雨入りして間もない時期にもかかわらず、急な気温の変化に見舞われて体調を崩す人も多いのではないだろうか。

コンビニやドラッグストア、大手スーパーなどではさまざまな熱中症対策のグッズが売られており、その種類も年々豊富になっている。そんな中、元ホームセンター店員と名乗るユーザーがXにこのような投稿をポストし、話題を呼んでいる。

「近年熱中症患者が爆増してますが、原因の一つに冷感グッズがあるっぽいです。メントールは脳をバグらせて涼しいと思い込ませてるだけで、体温自体は高いままなので突然倒れる事が。冷感ではなく冷却グッズを使いましょう。(缶タイプのスプレーや気化熱タイプのタオルなど)」

この投稿に対してXには、

「スーッとする冷感タイプのローション危険です。涼しい感じはするけど、皮膚温は高いまま。真の熱中症対策は、エアコンで室温下げた部屋で涼むこと。塩分取ったり、水分取ることは副次的な効果しかありません」

「去年あたりは冷感グッズが本当に多かった。

冷却系のものがほとんど売ってなくて氷っぽいスプレー探すのにかなり苦労したなぁ。今年はどうなんだろ」

「去年の夏に先輩から冷感グッズおすすめされて真夏に1日だけスプレー使って外仕事していたら、水分どれだけ摂っても汗が出ず、熱が体にずーっとこもる感覚が続いて、最終的には手が震えてズボンのベルトが外せないくらいまでになりました。その一日だけで冷感グッズは2度と使わないと誓いましたね…」

など、共感の声が多くあがっている。

豊富すぎる熱中症対策グッズ、どう使えばいい?

SNSにあがった「冷感グッズ」への疑問の声。熱中症対策グッズには冷感スプレーや冷却シートをはじめ、ハンディファン、ネッククーラー、氷のうなど、さまざまな商品が販売されているが、その効果もそれぞれに異なる。

シリーズ累計出荷数50万本を突破したという携帯保冷氷のう「アイスパック」シリーズを販売するピーコック魔法瓶工業株式会社の担当者に話を聞いた。

「熱中症の予防や対策として、『深部体温を下げる』、『からだを冷やす(特に太い血管を冷やす)』ことなどが効果的であるとされています。弊社が販売する氷のうは内部の水を凍らせる、または氷水を入れて使用します。

本商品は、魔法瓶構造の専用ホルダーで氷のうの冷たさをある程度キープでき、また氷のうを構成する素材がシリコーンまたは布なので、優しい冷たさが特徴です。さらにコンパクトなサイズなので、携帯しやすく、また首筋やワキ、手のひらなど、冷やしたい箇所を適切に冷やすことができます」

 担当者は、熱中症対策には「体を冷やす」ことが効果的だと話した。氷のうは明治時代以降に誕生したと言われているが、こうして素材をアップデートして現代でも活用され続けているということは、暑さの中でも体をしっかりと冷やすことができるのだろう。 

「さまざまなグッズを目的別にバランスよく用意することが大切」

いっぽう、熱中症対策の啓発に取り組むのが日本気象協会だ。「熱中症ゼロへ」プロジェクトの公式サイトでは、冷却グッズの効果的な活用法や、日常生活に取り入れる際のポイントが紹介されている。

同サイトによれば、「冷却グッズ」を利用して効率よく体を冷やすことができるという。

「冷却シートやスカーフ、氷枕などの冷却グッズを利用しましょう。毎日の生活で使えるものから夏の寝苦しさをやわらげるようなものまで、さまざまなグッズがあります。ちなみに、首元など太い血管が体の表面近くを通っているところを冷やすと、効率よく体を冷やすことができます」(日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト公式サイトより)

日本気象協会の担当者によれば、さまざまなグッズを目的別にバランスよく用意することが大切だという。

「水分・塩分を補給する、日差しをよける、体を冷やすなど、目的別にバランス良く対策グッズを用意しておくことが大切です。対策グッズをひとまとめにして、普段の外出の持ち物に加えたり、災害時の非常用持ち出し袋に追加したり、夏場や暑い日ならではの対策セットを小分けに作っておくこともおすすめです」(日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト)

さらに、「夜間も油断できない」としたうえで、睡眠時の注意点について次のように話した。

「晴れて強い日差しが照りつける日は、夜になっても部屋の温度や湿度がなかなか下がらないことがあります。熱中症は日中に発生することが多いですが、夜間も油断できません。夜間の最低気温が25度以上の熱帯夜は特に注意しましょう。寝ている間の熱中症対策として、通気性や吸水性の良い寝具を使ったり、エアコンや扇風機を適度に使用したりして、睡眠環境を整えることが大切です。

ぐっすり眠ることで体調が良くなり、翌日の熱中症予防につながります。また、寝ている間にも水分が失われるため、枕元に飲料を置いておき、就寝前や起床時にはコップ1杯程度の水分を補給するようにしましょう」(日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト)

急な暑さに体が追いつかないという人も多いこの季節。

「備えあれば憂いなし」を肝に銘じ、身の安全を守っていきたい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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