友達同士みたいな父娘お笑いコンビ、シングルファザーの父が恋愛の話だけはNGなワケ…娘の反抗期の「クソじじい」発言もグラビアデビューもオールOKだが
友達同士みたいな父娘お笑いコンビ、シングルファザーの父が恋愛の話だけはNGなワケ…娘の反抗期の「クソじじい」発言もグラビアデビューもオールOKだが

ダメダメなシングルファザー・池田57CRAZYさんをしっかり者の娘レイラさんが容赦なくツッコむ、父娘お笑いコンビの完熟フレッシュ。結成10年目を迎える今年、当時小3だったレイラさんも成人を迎えた。

 

 

9年間の子育て&漫才奮闘記を記したコミックエッセイ『親子漫才!』が刊行され、娘の反抗期や恋愛、グラビアデビューなど、さまざまな状況に対応してきた57(ゴナ)さんの“父親としての本音”を聞いた。 

もとはお笑いへの未練を断ち切ろうと… 

――結成10年目の節目にコミックエッセイ『親子漫才!』を出された理由は?

池田57CRAZY(以下同) いろいろありますけど、僕はひとり親の人にDMとかで子育ての相談をよく受けるんですよ。その答えをこの本に集約したかったんです!

ただ僕自身はシングルファーザーになったときに誰かに相談したことは全然なくて。当時は芸人を辞めて、スポーツジムのトレーナーに就職していたので一日の時間が読めるし、レイラも小3で学童に預けられたのでなんとかなるかなって感じでしたね。

――子育てで奮闘しつつも、レイラさんと漫才コンビを組んだのはどうしてですか?

レイラと二人暮らしをはじめたら、すぐ身体を壊して入院しまして。そのときやっぱりM-1 グランプリに最後に1回だけ出たいなと思ったんです。それでボコボコにスベれば、お笑いへの未練はなくなると思ったんです。

レイラと組もうと思ったのは娘が相手ならネタを作りやすいし、本人も「将来、人前に出ることをやりたい」と言ってたので手っ取り早いから。そもそも当時はM-1に1回か2回出てすぐやめようって軽い気持ちだったんで、あんまり深く考えてなかったんですよね。

――それが9年も続くことに……。父娘コンビならではの大変さってありました?

あんま大変って感じたことはないんですよね。レイラを仕事のパートナーとして考えるようになったのも去年くらいからで、それまでは普通に親子で出かけてネタをやって家に帰ってくるって感覚。

この間もライブで僕がセリフを飛ばしちゃったんですけど、終わった後にレイラが「眠いの?」って聞いてきて。

「いや、単純に言葉が出てこなかった」って言ったら「それ老化じゃん、あはは」って。

普通のコンビだったらそこで険悪になることもあるんだろうけど、うちは終わったことは何も言わない。ウケなくても引きずったりしないし、家で暗くなることもないですね。

――娘の思春期や反抗期は大変でしたか?

反抗期に「クソじじい」って言われたときも「“クソ”はおかしいだろ」って返したら「いや、じじいはいいんかいっ!」って感じだったのでケンカにならない(笑)。

僕は精神年齢が中1か中2なんで、レイラにウザがられてもベラベラ話しかけるから、向こうは鬱陶しかったと思いますけど。

離婚をネタにする娘

――ひとり親であるために娘に苦労させてしまったことは?

離婚した当時は母親の話題にはあまり触れないようにしてたんですよ。だけどレイラは全然違って、学校で母親が出て行ったことをネタにしていましたね(笑)。

「笑わせようとしたのに友達全員に心配された」って言うから、僕も「ママをオチにして大丈夫?」って聞いたんですけど「だって、いないものはいないんだからグチグチ言ってもしょうがない」と堂々としていて。

それを聞いて、漫才でもネタにするようになったんです。まあ、レイラなりに結構キツかったとは思いますけど。

――男性ゆえに娘の子育てで困ったことは?

特段なかったですね。例えば生理とか始まっても僕はトレーナーだったから知識もあるし、レイラも特に恥ずかしがる必要もないって感じでした。

LINEで「ナプキン買ってきて」って欲しいナプキンのスクショを平気で送ってくるくらいで、僕、何回も買いに行ったんですよ(笑)。

下着だけは一緒に買いに行けないから、知り合いのママ友に頼んだけど、それ以外は父親だからって困ることはなかったです。

――ついつい傷ついてしまった娘の一言は?

ないかも。レイラが単独のインタビューでは「父親の精神年齢は小3」って言ってたけど、全く気にならない。確かに今も一番おもしろいのはウ●コとかち●ちんです(笑)。クレヨンしんちゃん見て爆笑しているし、そこはずっと変わらないでしょうね。

そういえば、彼氏とか恋愛の話は高校生の間はさせませんでしたね。僕が聞きたくないので「言うな」って言ったんです。

というのもレイラが小4か小5のとき「好きな子ができた」って言われて僕、ショックすぎてメシが食えなくなり、2、3キロ痩せちゃったんですよ。

そこでレイラもそういう話をしちゃいけないって察して、僕は僕で自分の彼女のことも一切言わないようにしてましたね。

 ――娘さんにパパの彼女を紹介したことは?

いや、このままだといけないと思って、レイラが高校を卒業してから当時付き合ってた人を初めて紹介しました。でもバレていたんですよね……。ライブの帰りに僕が彼女と歩いているのを見たらしく「あれ57じゃね?」「手ぇつないでキモっ」ってなったらしい(笑)。

だからうちは親子というより友達に近いかもしれないです。レイラも僕を年の離れたお兄さんみたいな感じって言ってましたし。

娘が巣立ち、彼女にフラれひとりぼっち 

――娘さんがグラビアデビューしたときはどうでした? 

いやそれもね、もともとトレーナーだったのでボディメイクしたら身体を見せたくなる気持ちってわかるんですよ。レイラは人前で水着姿になることを僕に絶対反対されると思っていたらしいけど、「いいじゃん、いいじゃん」って思いました。むしろ「興味あるならインタビューとかでグラビアをやりたいって言っとけ」ってアドバイスしました。

――聞けば聞くほど、父子家庭にありがちな葛藤とか問題がないですよね。

あ、でもレイラが自分だけの城が欲しかったのか、ひとり暮らしを始めたんです。そのときはやっぱりさみしかったです。

しかも家を出るって決まったとき、僕はちょうど再婚を考えていた彼女にフラれた直後だったんですよ。突然別れを告げられ、レイラもいなくなり、ウソだろ⁈ って。ただただ、ショックで途方に暮れました。SNSで自虐ネタにして、ちょっとスッキリしましたね。

――そんな紆余曲折を経て57さんなりに、シングルファザーへアドバイスするとしたら?

僕は無理をしすぎて早い段階で身体を壊しちゃったんで、なんでも完璧にやろうとしないことですかね。

つまり手抜きをする! ただ手抜きというと聞こえが悪いですが、手間を省くって考えるとすごく合理的じゃないですか?

ただ、今振り返ってつくづく思うのは、子育ては最高のひまつぶしだったなってこと。レイラが中学校の前半くらいまでは本当に一生懸命で必死すぎて、余計なことは何も考えなかったですからね。

でも手が離れてラクになってくると、だんだん煩悩と雑念が増えてくる。今なんかもうそれしかないですよ(笑)。

取材・文/若松正子 写真/わけとく  

<プロフィール>
池田57CRAZY(完熟フレッシュ) 
1975年8月17日生まれ、山口県出身の漫才師。離婚をきっかけにシングルファザー生活スタートし、2016年に小学生だった娘の池田レイラとお笑いコンビ完熟フレッシュを結成する。「生まれくる家、間違えたー」のセリフでおなじみ。2021年漫才協会に入会。

親子漫才!

池田 57CRAZY (著, 原著), ぽぽこ (著)
友達同士みたいな父娘お笑いコンビ、シングルファザーの父が恋愛の話だけはNGなワケ…娘の反抗期の「クソじじい」発言もグラビアデビューもオールOKだが
親子漫才!
2025/5/211320 円(税込)136ページISBN: 978-4046830975娘と漫才コンビ結成!?お笑いを諦められなかった男の、子育てと漫才奮闘記 父(池田57CRAZY)・娘(池田レイラ)のお笑いコンビ、完熟フレッシュの池田57CRAZYが、コンビのこれまでと子育てのエピソードを初めて語る。 シングルファーザーとしての子育て奮闘録のほか、初めて語るコンビ解散の危機の裏側など、父であり、お笑いコンビという仕事仲間であるからこその楽しみや苦悩を描いた書き下ろしコミックエッセイ。 巻末にはレイラとの親子対談も収録。
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