「石丸さんが目立たないじゃないか」「主役だと勘違いしてる」暴走する一部の“石丸ファン”…都議選で落選→離党した元フリーアナ女性が語る「再生の道」と石丸党首への想い
「石丸さんが目立たないじゃないか」「主役だと勘違いしてる」暴走する一部の“石丸ファン”…都議選で落選→離党した元フリーアナ女性が語る「再生の道」と石丸党首への想い

石丸伸二氏(42)が代表を務める地域政党「再生の道」から都議選に出馬し落選した鳥海彩氏(37)は24日、自身のXで党から離脱することを表明した。離脱の理由について鳥海氏は、石丸代表の一部の熱狂的なファンによるバッシングに加え、政治参画を目的とする「再生の道」と「次の選挙こそは当確を目的としたい」という自身の方向性との違いがあるとXにつづっていた。

都議選を終えた今、鳥海氏にその胸中を語ってもらった。 

「私にとってはようやく踏み込めた第一歩」

鳥海彩氏が出馬した世田谷区の都議選には18人が立候補。鳥海氏は1万1537票を獲得したものの14位に終わり、当選とはならなかった。

鳥海氏は慶應義塾大学を卒業し、東海テレビ放送報道スポーツ局で記者として勤務後、フリーアナウンサーを経て、2015年に気象予報士の資格を取得。

その後はシンクタンク職員として勤めるなどし、現在は楽天グループの社員として地域創生に関わる事業に携わっているという。また、私生活に戻れば3児の母でもある。改めて都議選の結果について尋ねるとこう語った。

「世田谷区内の候補者の中で一番の活動量を目指しチームで取り組みました。東京都のために政治家になって尽力したいと、絶対当選したいと思い取り組んできたので今回の結果にはすごく落ち込みましたが、日本を良くしていきたいという志のもと、今も街頭に立つなど政治活動は続けています。

小学生の頃から政治の書物を読んだり、大学も政治学を勉強し政治にずっと関心があり、20代の頃に自民党の政治塾に参加したりもしましたが、子育てなどもあり、ずっと第一歩が踏み出せないでいました。

今回、石丸さんに選んでいただき、都議選の候補者として政治活動・選挙活動をスタートできたことは私にとってはようやく踏み込めた第一歩で、石丸さん、再生の道の関係者のみなさま、ご支援いただいたすべての方に感謝しています」

石丸代表は昨年の都知事選の時から「政治屋の排除」をうたっており、新陳代謝を促進させ続ける意図から、「再生の道」は当選した場合の議員の活動期間を2期8年を上限とするルールを制定。他党との掛け持ちも認め議決に関して党議拘束はかけない方針を打ち出していた。

鳥海氏は石丸代表の「議論をできる人を求めている」という言葉に感銘を受け、「再生の道」のオーディションに参加。

都議選では看板やポスターに石丸代表の写真を使わず、「再生の道」という文字についても目立たないよう小さく記載し、党のシンボルカラーである紫色の服ではなくピンク色の服を着用するなど“脱石丸”作戦を展開していた。

「もともと私も他の候補者も石丸さんが全面的にサポートする選挙戦なのかと勝手な想像をしていましたが、そうではなく候補者たちは自分らしさのある選挙を求められていました。『再生の道』のオーディションに受かってから今日にいたるまで石丸さんと深くは話したことはありませんでしたが、事務局長の西岡さんがたっぷりと相談に乗ってくれましたので、安心でした。

そうこうしている間に私の仲間も集まり出し、選挙戦のビジョンもでき始めました。石丸さんのサポートを待つのではなく、私だから応援してくれるという人もいましたので、自分の選挙を打ち出して動きたいと思って、自分なりの選挙戦略で動きました」

「石丸さんより目立たないでほしい」「主役だと勘違いしてる」

しかし、一部の熱狂的な石丸代表のファンが鳥海氏の“脱石丸”を放っておくはずもない。

「もともと再生の道は2期8年の在籍制限以外は、党議拘束がない方針で、石丸さんや事務局は候補者を拘束するようなことは何も言わず、自由を尊重してくださいました。ですが、石丸さんの一部の熱狂的なファンの方からは様々な指摘があったのも事実です」

石丸代表のファンと言えば石丸代表のイメージカラーである紫色のTシャツやタオルやはちまきなどを身に着け、街頭演説に駆けつけることで知られている。具体的にはどのような“指摘”がされたのだろうか。

「再生の道の支援者の方で、私の活動を見て応援してくださるかたも多く、感謝しています。いっぽうで、街頭に立つと一部の石丸さんのファンのかたから『紫色の服を着たほうがいいよ』『石丸さんの顔をポスターに使ったほうがいいよ』『石丸さんより目立たないでほしい。一歩引け』『主役だと勘違いしてる』などと直接言われたり、SNSでのメッセージで言われることもありました。

多くは横暴な言い方ではありませんでしたが、石丸さんならこう思っているはずという言いかたです。もちろん石丸さん本人はそんなことは言いません。

熱狂的な一部のファンのかただけなんですよね。そうでないファンの方も多くいましたし、選挙戦初日から最終日までボランティアとしてサポートしてくださったかたも多くいました。

ひとつ誤解がないように言っておきたいのですが、紫色の洋服については持っていないから着なかったというだけです。紫色を着ている人を否定するつもりもありません」

 鳥海氏が街頭演説を行なうと、20数名が足を止めて聞いてくれることがあったそうだが、その中に一定数は石丸代表のファンがいたという。

「ファンの方が石丸さんの著書を持っていらっしゃり、カバーの裏にサインをくださいとおっしゃることも多くありました。そこには42個の升目がありました。これは何ですか?と尋ねると『御朱印帳です。(候補者)42名分を集めるんです』とおっしゃるんです。遠方からお越しになっているかたも多く、熱心なファンのかたの多さに驚きました」

「なんだあのウグイスは…」

一部には怒鳴りつけてきたり、激しい物言いをするファンらしき人もいたという。

「衝撃的だったのが、選挙最終日にある男性に『なんだあのウグイスは。ウグイスのアナウンス手法が旧態依然で石丸さんの方針じゃない。お前には(票を)入れない、お前は落選する』と怒鳴られたこともありました。

ウグイスのかたは選挙期間一緒に戦ってきた仲間だったので、私も笑って済ませられず、反論をしてしまいましたが……。こうした一部のかたの言動に私もチームも苦しめられたという事実もあります」

こうしたトラブルに見舞われながらも都議選を戦い抜いたのち、鳥海氏は「再生の道」からの卒業を決意した。

「私もチームも都議選を死に物狂いで頑張りました。だからこそ石丸さんの『当選は目的じゃない』という言葉は、複雑な思いで受け止めました。

もちろん「再生の道」は政治参画を目的としていて、『候補を立てた』というところで目的完了という部分があるかと思います。私も今回の都議選にチャレンジできたきっかけは「再生の道」オーディションだったので感謝しております。

しかし、政治家にならなければ、少なからず政治の世界で世の中を良くしていくことはできないと痛切に感じ、次の機会を求めるのなら当選を目的としたいと思い、卒業を決めました。

そもそも『再生の道』は党でもなく、離党も退団届もないそうです。石丸さんは『これからも政治活動を続ける人で“再生の道”のラベルや僕を使いたい人は使ってほしい。そうじゃない人は距離をおいてくれていい』とおっしゃってくださいました。

ただ、距離を置くというのでは中途半端になってしまうと思い、卒業して一歩踏み出したいと決意しました。私の支援者のかたにはおおむね賛同いただき、フリーの私になっても応援してくださることは感謝しております。

今後は、街頭での挨拶はもちろん、地域での活動やSNS活動を地道に行ないながら政治家になれるチャンスを待ちたいと思います」

都議選が終わった翌日から仕事に復帰したという鳥海氏。いつか日本を良くしていける政治家になるため、次の舞台に向けて今は充電中とのことだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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