自公、歴史的惨敗か…参議院でも少数与党が濃厚となった政権の今後  石破政権に突きつけられる“地獄の二択”
自公、歴史的惨敗か…参議院でも少数与党が濃厚となった政権の今後 石破政権に突きつけられる“地獄の二択”

20日に投開票が行われた参議院議員選挙。各社の議席予測では、自公が過半数割れの見込みだと報じられた。

早くも永田町では、自公の“惨敗”後の政局の行方に関心が集まっている。昨年の衆院選では、勝敗ラインとして設定した自公での過半数を達成できなくても首相の座にとどまった石破茂首相だが、参院選でも勝敗ラインを割り込む見通しとなった今、一気に政局となる可能性がある。 

自公で過半数は「低いハードル」だった

7月20日、第27回参議院議員通常選挙の投開票が行なわれた。20時の段階の議席予測で、自公合わせても過半数割れとなる可能性が高いことが各社で一斉に報じられた。

今回の参院選で、石破茂首相は非改選議席を含む自公過半数を勝敗ラインとして設定。そのためには自公で50議席が必要だったが、それを割り込む可能性が極めて高い。

選挙期間中、ある自民地方議員は「衆院選が終わっても、永田町が進次郎で浮かれている間も、有権者は裏金問題への怒りが収まっていないのを感じていた」と語っていた。

永田町の関心は早くも自公の「敗戦処理」に移っている。昨年の衆院選では自公過半数という勝敗ラインを割り込み少数与党となったが、石破首相は「極めて厳しいご審判を真摯に厳粛に受け止め、自民党は反省し生まれ変わっていかなければ」と続投を決めた。

このとき、党内では「石破おろし」の動きはほとんど起こらなかった。

「衆院選で負けた理由は、主に安倍派の裏金問題にあったため、就任直後の石破首相に対して、辞職を迫る動きは大きくなりませんでした。さらに、この時点で直近に選挙を控えていたのは、今回の参院改選組。自民議員の大多数は直近の選挙がないので、すぐに党の顔を変える必要もないと判断していました。

5度目の挑戦で何とか首相の座についた石破首相も、地位を簡単には手放さなかった格好です」(全国紙政治部記者)

ただ、参院選でも自公で過半数を割り込むとなると話は変わってくる。

現段階では首相は続投の意向を表明しているものの、麻生最高顧問ら党内からは「続投は認めない」との声があちこちから上がっている。

「そもそも参院の過半数は125議席のところ、非改選で自公は75議席の“貯金”を持っているので、『非改選を合わせて過半数』となる50議席は、本来かなり低いハードル。それすら達成できないなら、さすがに退陣だろう」(自民議員)

総裁選? 解散? 「歴史的惨敗後」の政局シミュレーションは…… 

石破首相が退陣となった場合、自民党総裁選が行なわれることになる。

ポスト石破としては、高市早苗元経済安保相や林芳正官房長官、国民人気の高い小泉進次郎農水相らの名前が挙がっているが、衆参ともに少数与党となった後の総裁選は、首相を選ぶ総裁選となるのかどうかさえ、微妙になってくる。

仮に野党が首班指名でまとまった場合、自民の総裁が首相に選ばれず、下野する可能性すら出てくるのだ。

自民にとってそうした“最悪の事態”を防ぐためにも、連立政権の拡大が有力な選択肢となっている。

「これまでは、法案や予算案ごとに国民民主や維新に協力してもらい、綱渡りでの国会運営をしてきましたが、衆参ともに少数与党では野党はさらに強気になり、さすがに国会運営が行き詰まるでしょう。国民民主を連立に取り込んで玉木雄一郎首相を担ぐ、というプランも現実味が出てくるのでは」(自民関係者)

ただ一方で、石破首相が続投できるという観測も消えていない。8月1日から25%と通告されたトランプ関税をめぐる交渉やその対応を理由として続投する可能性も想定されているのだ。

しかし、衆参ともに惨敗したとなると石破首相の求心力低下は必至で、続投しても政権が長く続く道筋はなかなか描けない。

「誰が首相になっても少数与党のかじ取りは大変なので、しばらくは石破首相に政権運営を押し付け、機を見て党の顔を交代させ、衆院選で勝利する、というプランも取りざたされていますが、結局は退陣が規定路線です」(同前)

さらに、この先想定される恒例のイベントでも、行き詰まりの可能性が。

「例年、8~9月ごろに内閣改造・党役員人事が行なわれますが、もともと党内基盤が弱い石破首相では、衆参ともに少数与党のもとで人事ができるのか。菅義偉政権の末期には、菅氏が河野太郎氏を要職に起用しようとしたところ、河野氏の“親分”である麻生太郎氏から拒否され、人事ができず退陣を余儀なくされました。石破首相は、派閥に属さず党内基盤が盤石でなかった菅氏と重なります」(全国紙政治部記者)

参院選公示直前に開かれた党首討論会で、「鷙鳥不群」(ワシのような強い鳥は群れを作らず、単独で行動する)という四字熟語を揮毫した石破首相。今後は弱さゆえの単独行動になってしまうかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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