
かつて駄菓子屋で親しまれた「糸引き飴」を国内で唯一生産していたメーカーが廃業するなど、物価高騰のあおりを受けて駄菓子の苦境が続いている。人気芸人・金属バットは子ども時代にお世話になった駄菓子屋に入り浸っていたというが、そんな夏休みの駄菓子屋の思い出とは。
—夏ですね。本当に毎日暑いです。
小林圭輔(以下、小林) 暑い。ただ新幹線の車内はめちゃめちゃ寒い。上着いるんすよ。
友保隼平(以下、友保) いるいる。マジでOLさんの気持ちわかった。カーディガン1枚いる。
小林 ほんまに震える。
友保 新型の新幹線はクーラー消えないし。ちっちゃい(送風)口なくなってんな。
小林 マジで寒すぎてどうしようもない。
友保 窓の日除け下ろしたらもっと寒なるし。あと夏のZARAね。店の前通っただけで冷んやりする。いや、駅降りた時点で「この街ZARAあるな」ってわかるレベル。そんくらい寒い。
—子どもたちは夏休み突入しましたが、子ども時代は地元でどんな夏休みを過ごされていたんですか?
友保 夏の(二人の地元の大阪・)堺の過ごし方ですか? 小林はルーティン組んでましたよ。
小林 ああ、高校の時に原付買って、ちょうどいい距離感のところに古本屋がいっぱいあるんで、巡ってましたね。『無頼伝 涯』ってマンガを探し集めに。ほぼバイクに乗ることが目当てですけど。
—夏休みはマンガ読みたくなりますよね。
友保 ムダに時間できるから。そうや、連れがFF(ファイナルファンタジー)タクティクス買って、そいつの家にクーラーが付いてるってみんなで行ったわ。
たまにナタデココとか食わしてもうて。そいつん家、お昼からリビング使わせてくれるし、ナタデココ食わしてしてくれるし、なんやこの自由な家思たら、その時、離婚したてやって。
小林 ホヤホヤやった(笑)。よく行く市民プールがあって、プールの前に住んでた子がおって、みんなそこを拠点に家から海パン一丁でプール行ってたな。
友保 わし、金岡プール行ってたから。あそこは夏やのに、おでんがあるんですよ。
小林 あー、あったな。
友保 ただ家から金岡プールはめっちゃ遠い。ほんまにユーラシア大陸横断するぐらい遠い。で、プールと家の間にある溜池の横に駄菓子屋があるんですよ。
そこでベビースターの焼きそばかブタメンかゲームやるかめっちゃ悩んでた。
夏休みの遊び
—小遣いに限りがありますからね。
小林 俺は浜寺プール行ってた。普通の市民プールとジャンボプールがあって、ジャンボプールはほんまに富裕層しか入られへん。
友保 わし、小4ぐらいの時にたっくんっていう連れとそのオトンと浜寺プール行って、ウォータースライダーのチケット買うてもうて。なんでか知らんけど、わしがその券持たされて。とりあえず海パンの中に入れて、すぐなくしたわ。
小林 アホやなぁ(笑)。
友保 たっくんのおとんが悪い。なんで、わしに渡すっていう。
—セミとったりしました?
小林 あれ……「モロッコ」ってわかります? うちの地元だけの呼び方なんかな。ペットボトルちぎって蓋の部分を逆にして中にパン入れて池に沈めといて、次の日行くとちっちゃい魚が山ほど入ってて、1万匹ぐらいとった気します。
友保 俺は1万1匹とったけど。
—(笑)。
友保 うちの家のそばにちっちゃい池がある公園あって、池があるからおたまじゃくしとかも多いんですよ。夏はほんまに暑いから干からびる。で、みんなでそこでヒル見つけて、「あ! スタンドバイミーのやつや!」って、はしゃいでました。
—四半世紀前はまだ今よりももうちょっと涼しかったですよね。それこそ猛暑日なんてそんなになかった。
友保 今の子たちって麦茶を冷凍庫で凍らせて部活行ったりしてんのかな?
小林 部活の子らはやってんじゃない。半分だけいれて。
友保 いや、全凍らしで。お昼ぐらいになったら溶けて飲める。で、中のガラガラの氷みんなで殴り合って割るみたいな。あれやってんのかな。
小林 肝心な時に溶けてなくて飲まれへんやつな。
—先ほど駄菓子屋さんのお話が出ましたけど、お二人はどんな駄菓子買ってましたか?
小林 駄菓子屋さんでたこ焼き買ってた。かき氷もあったな。
友保 100円をどう使うかが重要よな。わし絶対に粉のジュース買ってた。あと、もろこし輪太郎。でも本当は玉葱さん太郎が一番うまい。あとどんどこどん。
小林 どんどこどん……どんどん焼きか(笑)?
友保 あれでも20円くらいすんのよ。瓶のジュースいってた?
小林 ジュースは俺行ってない。当たりアリ系しかいってない。だからメインはきなこ棒。
友保 わし当たりなしの棒状のやつ買っててん。
小林 えーー、おまえ金持ちやん!
友保 20円やったから。しかも腹持ちがいいし、甘い。
小林 タイパでいうとでガムは? フィリックスのチューイングガムとか。
友保 包み紙の裏に書いてある「あみだくじ」まで楽しめるからな。
友保 イチゴつみゲームな。でも、ガムでいうたら3個入りで1個めっちゃすっぱいやつ入ってるやつやろ。あれ、たまにめちゃくちゃすっぱいSSRあるねん。
小林 レモンがサングラスかけてるやつ。俺はカードダスにけっこう使ってたな。たぶん1枚20円やった。駄菓子屋に100円持って行って、60円ぐらいはそっちに突っ込んでた。
友保 わしはべったんやな。四角いメンコみたいなやつ。あれこそ夏休み。あと、甘いのといえばあのちっちゃいカラフルな餅ね。つまようじで食べるやつ。あれこの前食ったんすけど、やっぱうまかった。ただちょっと数減ってたような。
小林 みかん水って飲んでた?
友保 1回みかん水飲んで刺激強うて頭痛なってん、でも、刺激的なんはおっぱいアイスやろ。あのぜんぜん自分の思い通りにならんやつ。
小林 あれ、たまに割れるからな。50円かな。
懐かしのアイス
—「ボンボン」でしたっけ? 通称「風船アイス」ですね(笑)。
小林 「おっぱいアイス」って商品名やったかな? 爆発して全部落としたことある(笑)。
友保 メロンのアイスあったよな。メロン型の器に入ってる。
小林 ああ……メロンの器の中にカメ入れて池に浮かべて飼おうとしてたな。あいつまだあの中で暮らしてるんかな。
友保 亀は長生きやからな…。
友保 あと、クーリッシュ出てきた時、こんなかっこいいアイスあるんやって思った。
小林 アイスボックスも衝撃やったな。
友保 アイスボックスのCM、テレビで『キテレツ大百科』観てる時にやってたんよな。そんでわし、じいちゃんが入院してる時にお見舞い行ったら、「なんか食いたいもんあるか」言うてくれたんよ。
で、CMで見たアイスボックス食いたいって言ったら、売店行って買うてくれはって。でも、小1のわしにはグレープフルーツ味というのがイマイチ理解できんくて、「おいしないな!」って言うてしまった。で、その後じいちゃん死んだんよな。あれはガチで申し訳なかった。
—今はアイスボックスに氷結を入れて飲む年齢になりました。
小林 汚れたなぁ(笑)。
友保 あれあったよな。夏休み前になると見たことないおっちゃんが学校の前おって、なんかようわからん映画の割引券配ってる。いろんな昔のアニメいっぱい集めたような映画の割引券をビラで配ってて。「見においで」って。
小林 行ったの?
友保 わし1回見に行って、連れの金持ちの子がおって、その子がおかんに、わしも行けるように言うてくれて。いざ見に行ったら、白いサメの映画やった。
小林 白いサメの映画……?
友保 幻の白いサメを仕留めに行く子どもの映画やってん。
—面白そうですね。
友保 ただストーリー何にも覚えてない。とにかく帰りのラーメン屋で、連れのおばちゃんが信じられへんスピードでラーメン食ってたことしか覚えてない。はよ帰りたかったんやな(笑)。
うまい棒で一番おいしい味は…
友保 あー、初めてうまい棒の納豆味食った時、なんて言った?
小林 けっこう大人になってからじゃない? 納豆味。
友保 わし、兄ちゃんがうまい棒の納豆味食ってて「これハナクソの味するで~」言うて、こいつ何食ってんやろって思った。
小林 まあそうなるな(笑)
—ちなみにうまい棒は何味が一番好きですか?
友保 納豆味です(笑)
小林 ハナクソ好きなんや。
—考えてみたら、駄菓子屋さんは最初に経済を学ぶ場所かもしれませんね。最近では、もうあまり見ないですけど。
小林 マジで儲からんって嘆いてたのを聞いたことあります。8円で仕入れて10円で売ってるって。「万引きやめてよ! 利益2円しかないんやから!」と。
友保 そりゃ瓶のジュース飲んだらビン返せって言うよな。あんなん絶対ビンで遊びたいのに。でも、100円の使い方、学ばせてもうたな。夏休みのちびっこどもよ、駄菓子屋で経済を学べ!
取材・文/西澤千央