
都内某所にあるスタジオのドアを開けると、そこにはまるで異世界のような空間が広がっていた。壁一面に並ぶフィギュアに囲まれた部屋から出てきたのは、都市伝説や漫画の考察で人気を集めるYouTuber・コヤッキーだ。
総チャンネル登録者数は200万人超え。多数のライバルがひしめく世界で、彼はどうやって“唯一無二の存在”になったのか。登録者数を増やすコツと顔出しのリスクについても語った。(前後編の前編)
借金1000万の同僚から誘われYouTuberに
――今や「コヤッキースタジオ」は大人気チャンネルとなっていますが、そもそもYouTuberになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
コヤッキー(以下、同)今から8年くらい前ですかね。デザイナーとして働いていたんですが、同じ会社にヤバい男がいたんですよ。
そいつは成績は最下位で、借金が1000万以上もあって、一緒に車移動する時なんて、僕の車の中にあった小銭を勝手にパクっていったり。
ですが、同じ曲が好きだというきっかけで仲良くなり、ある時彼に『YouTuberやりません?』と誘われたんです。それが現在の相方であるとーやくんだったんですね。
――なんと、そんなヤバい男からの誘いに乗ってしまったんですね。不安はなかったんですか?
その時の僕は、YouTubeなんてほぼ見たことがなかったんです。だけど、これから先動画事業はさらに発展するんじゃないかと思い、デザイナーの仕事をキッパリ辞めて、YouTubeの世界に飛び込みました。
――思いついたら即行動するというコヤッキーさん。学生時代はどんな子供だったのでしょうか。
好きになったものはとことん極めたい!という性格で、とにかく好きなことしかやらない子でした。
テレビでアメリカの教育について見たんですが、日本は全科目平均点をとらなければいけないけど、アメリカはどれかひとつ100点とれたら他は50点でもいい、という考えなんですよね。僕はそれに共感しました。
当時はパソコンを持っている人は学年に数人しかいなかったけど、そこでグラフィックを独学で勉強したおかげでデザイナーになれたし、デスクトップミュージックで作曲も学んだから、YouTuber仲間で組んだバンドの曲が番組のタイアップに選ばれた。
学生時代に好きなことをやり続けた結果が今のYouTuberという仕事に生きているんです。だから、好きなことを抑圧されてやらないのはナンセンスだと思いますね。
再生数を伸ばすことは簡単
――そんな学生時代の好きなことがYouTuberとしての結果に繋がっているんですね。漫画考察や都市伝説に目を向けたのも、「好きなことを極める」という姿勢からですか?
当時は、YouTubeは基本毎日投稿と言われてたんです。だけど僕は、続けられることが一番大切と思っていました。
例えば、ステーキが大好物でも毎日食べたら飽きますよね? それなら“白米”みたいに、毎日でも無理なく食べられる存在でありたいと思ったんです。
だから僕は、毎日120点を狙うよりも、70点、80点をコンスタントに出すほうが成功につながると考えました。
――チャンネル登録者数を増やすために意識していることは?
やはり、演者の熱量が大事ですね。
再生数を伸ばすことは実はとても簡単で、例えばちょっとなら、2025年7月に災害が起こるという予言をテーマにした動画をやれば数字はとれる。でも、それだけじゃチャンネル登録者数は増えないんです。
その動画が終わったら、次はどうするの?って話になりますよね。だから僕は、『チャンネル登録してください』だけではなくて、『今月までに登録者数◯万人いきたいんで、登録してください』と、具体的な目標を伝えるようにしています。
――公表されているYouTubeの売上は年間5億円。それでも、収益が突然止まった時期もあったそうですね。
はい。2021年ごろ、ある日突然、YouTubeの広告収益が止まってしまったんです。
この先スタッフを食わせていけるのかとか、不安な気持ちでいっぱいで、今思い返してみても大変でした。
ですが、それが一時的なものなら挽回できると思ったんです。動画でこの話をしたら収益が止まるんだ、ということを学べた良いきっかけになりましたね。
結果的に動画のクオリティにも繋がるので、あの時のことはネガティブには捉えていないですね。
――前向きな考えですね。収益がストップした危機をどうやって乗り越えたのでしょうか?
まず、収益はそれまでの半分になりました。そんな時のために、3ヶ月収益が停止したとしても乗り切れるように預貯金もしていましたし、都市伝説、漫画考察、vlogと発信するテーマごとにチャンネルを分けていたこともリスクヘッジになりました。
スタッフがバールで襲われたことも
――昨年11月には、視聴者から脅迫され活動休止に追い込まれた出来事もありました。
こうした活動をしていると、誹謗中傷というのはしょっちゅうなんですが、その日のDMは様子が違っていたんです。
『政府の手先みたいなことペラペラ喋りやがって 次お前が調子乗った発言したら実家どうなるか知らんからな』って、文章とともに、僕の実家の住所まで書かれていたんです。
これには恐怖を覚え、スタッフに被害が及ぶ可能性も考え、活動を休止することにしたんです。
過去には、スタッフがバールで襲われたこともあるので、これから会社を大きくしていくためには、多少のことは分別をつけて発信していかなくてはいけない、と思いましたね。
――先月は「そこまで言って委員会NP」でテレビにも出演されていました。顔が知られることで困ったことはありましたか。
街中でファンの方から声をかけていただくことも増えて、嬉しい限りですね。
困ったこというほどではないんですが、最近ちょっとびっくりすることがあって。知り合いの女性から『コヤッキーさんって婚活パーティー行かれるんですね?』って聞かれたんです。
身に覚えがないので、行ってないよって答えたら、その子から実際に送られてきたパーティーの案内状を見せられて。
『あの有名な都市伝説系YouTuberが来ます!』名前は明記されていないんですが、“登録者数200万人超え”“漫画考察やバンド活動もしている”という情報が並んでいて、どう考えても僕を匂わせてるんです。
極めつけは“小屋”と“木”の絵文字で、“コヤッキー”を暗示するミスリードまでされていて……。
VIP席は100万円もするという高額なイベントでした。今でも、僕の名前を勝手に使って集客に利用してるみたいです。皆さん、本当に騙されないでくださいね。僕、婚活してないですから!(笑)
後編では、大きな話題となった「7月5日の大災害予言」の後日談と超人気アイドルにまつわる未公開都市伝説を大公開!
取材・文・撮影/佐藤ちひろ