「ORANGE RANGE、バカやってるな~って思われたら本望」結成25周年で振り返る幼馴染の距離感だからこそ生まれるグルーヴ「僕たちの曲は童貞感がある」
「ORANGE RANGE、バカやってるな~って思われたら本望」結成25周年で振り返る幼馴染の距離感だからこそ生まれるグルーヴ「僕たちの曲は童貞感がある」

7月30日にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で5人組ロックバンド・ORANGE RANGEの「花」が公開された。「イケナイ太陽(令和ver. Music Video)」に続き、再び注目を集める彼らの楽曲。

ORANGE RANGEは2003年にメジャーデビューし、ヒット曲を連発。「花」は2004年にリリースされた8枚目のシングルで映画『いま、会いにゆきます』の主題歌。オリコン初登場1位、以降通算4週で1位を獲得。また「イケナイ太陽」はドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(フジテレビ系)のオープニングテーマにも用いられた、どちらも彼らの代表曲の1つだ。長きにわたってともに歩んできたORANGE RANGEのメンバーたちは、来るバンド結成デビュー25周年に向けてどのような思いを持っているのか。メンバーのNAOTOとHIROKIに話を聞いた。

僕らの曲は童貞感がある(笑)

ORANGE RANGEは、「上海ハニー」「イケナイ太陽」を筆頭にやんちゃなイメージのある楽曲を多数発表してきた。7月16日に配信された新曲「裸足のチェッコリー」も、彼ららしさにあふれる夏のパーティーチューンだ。

――ORANGE RANGEと聞くと、“やんちゃ感”があるイメージです。当時のみなさんも、やんちゃでしたか?


HIROKI いやいやいや全然。たしかに僕らの曲は、ちょっと下ネタっぽいワードもあったりしますけど、でもよくよく曲を聞いたら、成就してない歌の方が多い。だから、童貞感。僕らの曲は童貞感がある(笑)。



NAOTO 「100%、あの子を落とすぜ」っていう感じじゃないもんね。

HIROKI そうそう、小学生がう●ことか言ってるようなレベルです。でも、(メンバーの)RYOさんはちょっとやんちゃだったかな(笑)。でも、あいつもどんどん大人になってきたというか。飲むエリアが変わってきてるよね。

NAOTO そう、どんどん庶民派になってきてる。

HIROKI 昔は六本木とか派手なエリアだったけど…。

NAOTO 今は下町っぽいところで飲んでるらしいです(笑)。

――「イケナイ太陽」は勢いがすごい曲ですが、どんなテンションでレコーディングをしていたんですか。

HIROKI 実はあんまり記憶がないかなぁ。常に締め切りに追われているような感じだったから。

NAOTO いろんな曲の思い出が混ざってるんだよね、この曲に限らず、何曲か同時に並行して作っていたので。



――それこそやんちゃなイメージがあるので、お酒を飲みながらレコーディングをしてたり?

HIROKI それはないですよ(笑)。スタジオを何日も押さえてもらって、そこで楽曲を作りながら、MVを撮影しながらみたいな感じでしたね。

12時ぐらいにスタジオに入って、まずみんなで飯を食って。お腹いっぱいになったらちょっと眠くなって、夕方から徐々に始めて、深夜のテンションで歌詞が出来上がるっていう(笑)。

NAOTO 深夜のテンションはあったね。沖縄から出てきて合宿みたいな感覚だった。

HIROKI 今はもうちゃんとプリプロ(※)をして形になったあとで、今日録りましょうってなってます。それが当たり前なんですけど(笑)。(※プリプロダクションの略、映像・音楽制作などのプロジェクトで、本番の作業に入る前の準備段階のこと)

僕らは故郷の幼馴染

長く続くグループでは、ビジネスライクな関係になるケースも少なくない。だが、ORANGE RANGEの面々を見ていると、メンバー同士の距離感が近く、仲が良いように見受けられる。

――長年続けてきて、グループの雰囲気が変わったといったことはありますか。

HIROKI 当時はやっぱ、イキってた部分もあると思います。若さとかで、なんでもイケイケみたいなテンションではあったと思いますけど。



でも、根っこにあるのは、僕らは故郷の幼馴染。幼馴染みだし、兄弟もいるっていう、なんか絶妙なバランスと距離感。

その辺は、もし1人がなにかズレたとしたら、それをみんなで修正していくような、もしかしたらそういう関係性はあるのかもしんないですね。だから、変なズレ方してる人もいなかったしね。

――撮影時に、カメラマンさんから「くっついて」などと言われると、嫌な顔するグループもいますけどね。

HIROKI  いや、僕らは普段からくっついちゃうかも、あれぐらいの距離だったら(笑)。

NAOTO うん、ハムスターか、ORANGE RANGEかっていうくらいにくっついてる(笑)。

インディーズ時代があったからこそ、今がある

2003年にソニーミュージックレコーズ内のgr8!recordsからデビューした彼らだが、2012年に同レーベルを離れ、さらに自主レーベルで活動した時期もあった。

だが、今年5月より古巣のソニーミュージックレコーズに復帰。「イケナイ太陽(令和ver. Music Video)」が話題を集めるなど、盛り上がりを見せている。

――今回ソニーに移籍される前には、自主レーベルの期間があったそうですね。自主レーベルを経たからこそ、改めてわかることもありましたか。


NAOTO 自主レーベルのときは、宣伝の仕方とかプロモーションの仕方が、あまりなかったですから。

アイデアが出てこないので、曲を作ってそこからは普通の展開の仕方。

HIROKI ある意味、自主性を尊重してもらえてたっていうのはあります。だから、自分たちでジャッジしないといけない。ハードルの設定も自分たちで決めないといけなかった。そういった難しさももちろんありました。

でも、その時代があったからこそ、またいろんな引き出しが増えたって思います。

――今回ソニーに戻られて、今後どういう活動を続けていきたいと考えていますか。

NAOTO  今後の音楽業界は、アーティストの表現がどんどん変わっていくし、表現する場所も変わっていくと思っていて。

なかなか僕らは新しい環境や手法にサクサク挑戦できなくて。そこらへんはやっぱりソニーミュージックに、道を教えてもらっている。今回はこういう手法の宣伝がいいですみたいなアドバイスをうまくやり取りして、やっぱ楽しめる、バカなことをできるって形にしていければいいかな。

ソニーはバカなことをやらせてもらえるんですよ。
普通は、「これはちょっと…」って感じなるようなことも、ソニーは「もっとバカにしよう」とブーストしてくれる(笑)。

HIROKI うん、そういう相性の良さはあるよね。こっち側が、「やりすぎてない? 大丈夫?」って止める時もあるもんな(笑)。

「バカだな~」って思ってもらえればいいよね

――来年はメジャーデビュー25周年ですね。なにか計画していることはありますか。

HIROKI 15周年の時も、20周年の時も、何かしら大きな会場でライブをしたりしていて。

やっぱり自分たちがどうこうっていうよりは、そういう場所を作ることによって、何かしらみんなで楽しめる場所を作れたらなと考えてます。

――集英社オンラインは30代40代の読者層が多いのですが、みなさんのように同世代のアーティストが活躍する姿をみると、勇気づけられるのではないかと思います。

HIROKI 歳を取って、結婚して、子どももできて、会社での地位もある程度上がって。そんな中間管理職みたいな世代だと思うんですよ、30代、40代って。

そういった人たちに、ふと見たMVで、「ORANGE RANGE、バカやってるな~」みたいな存在でいたい(笑)。今の時代ちょっとギスギスして、暗いから、僕たちの明るさとか、陽気さ、マインドで、「俺もバカやりたい」「俺たちも10代のころはこうだったよな」みたいに思ってもらえたらうれしいですね。



NAOTO そうだね。きっと30代・40代ぐらいの人たちはストレスも多いだろうし。でも、そのストレスも少し晴れるんじゃないかな。ちょっとでも「バカだな~」って思ってもらえればいいよね。

音楽業界を取り巻く状況が変わるなか、変わらず続けてきた音楽性が再び評価されているORANGE RANGE。SNSなどを積極的に活用することで、新たなファンも獲得しながら、さらなる活躍を見せてくれそうだ。

取材・文/羽田健治 撮影/矢島泰輔

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