
沖縄県北部の今帰仁村に7月25日、開園前から大きな注目を集めていたテーマパーク「ジャングリア沖縄」がオープン。日本最南端の県・沖縄にあるこのテーマパークはオープン後も連日、テレビや有名ユーチューバーに取り上げられるなど話題を集めている。
沖縄県在住50代男性「正直、二度目はないですね」
「3、2、1、ジャングリア沖縄、グランドオープンです!」
7月25日、ナビゲーターの女性のかけ声とともにオープンしたジャングリア沖縄。夜明け前から一番乗りを目指す来園者もいたほか、在京メディアも多数駆けつけ、注目度の高さを印象づけた。
テーマパークを手掛けたマーケティング会社「刀」の森岡毅氏は、開園前の会見やメディアのインタビューで、「パワーバカンス」をコンセプトとし、海外からの誘客に力を入れる方針を明かしていたが、その言葉通り、初日から多数の外国人観光客が来園した。
「特に沖縄に近い台湾からの来園者が目立った。運営側がプロモーションに相当力を入れていたようで、オープン前から現地(台湾)での認知度はかなり高いものがあった。現地メディアも開園のニュースをリアルタイムで報じており、滑り出しは上々の様子です」(在京メディア関係者)
この日は、台風の接近に伴う悪天候の影響もあり、来園者が降雨に見舞われる場面も。また、開園後初の週末となった26日には雷雨でアトラクションが一部停止になるなど、屋外のアトラクションが多いパークの課題を浮き彫りにしながらも、大きなトラブルに見舞われることはなかった。
在京テレビ各局が開園の様子を取り上げたほか、人気ユーチューバーのHIKAKIN氏が自身のチャンネルでパークの見所を紹介するなどメディア対策も万全といったところだが、一部の来園者からは気になる指摘も出ている。
「正直、二度目はないですね」と漏らすのは県内在住の50代男性だ。
家族とともに来園した男性が「がっかりした」と強調するのは、開園前から園の「目玉」として宣伝が繰り返されていたアトラクションのことだ。
男性は、「車に乗り込んで恐竜から逃げる『ダイナソー サファリ』というアトラクション。開園前から何度もビジュアルが紹介されていたもので、追いかけてくる等身大のティラノサウルスの迫力はどんなものかと、とても楽しみにしていたんです……」と声を落としてこう続けた。
「恐竜がのっしのっしと追いかけてくるのかと思いきや……。最後にはちょっとした演出があるのですが、え、なにそれ、という感じ。スタッフが臨場感を出そうといろいろと盛り上げてはくれるのですが、よっぽどアトラクションに没入していないと楽しめないと私は思いました。
これが園のテーマにもなっている『没入感』だと言われればそう納得するしかないですが……」
南国・沖縄ならではの気候も男性を閉口させた。
「迷子の恐竜を探す『ファインディング ダイナソーズ』というアトラクションでは、20分ぐらい屋外を歩かされるのですが、これがとにかく暑い。日陰になるようなものがアトラクション内にないから、直射日光をもろに食らって汗だくになりました。まるで苦行でしたよ」
沖縄の特徴でもある、抜けるような青空とギラギラ照りつける太陽が、県内に在住する男性にも仇となった格好だ。
メディアを通して伝えられるイメージと実際に受けた印象との間に「かなりのギャップがあった」というのが、男性が感じた全体の印象だったという。
沖縄の自然を生かしたアトラクションは「満足いく」が…
では、県外の観光客からみた「ジャングリア沖縄」はどうだったのか。
オープン日に来園したという都内在住の40代の主婦は、「できたばっかりでキレイなのと、アトラクションはすごく良かった!」と声を弾ませる。
「沖縄らしい緑の生い茂った山道を走っていると突如として現れる切り開かれた大空間は圧巻。興奮しながらゲートに向かいました」
テーマパークの周囲には、世界自然遺産にも登録された「やんばる」の自然が広がる。森岡氏が「興奮、贅沢、解放感」を詰め込んだ「沖縄旅行を最高にするテーマパーク」と語った通りの期待感をこの主婦にもたらしたようだ。
普段からテーマパークにも行き慣れているというこの女性にとっても、沖縄の自然を生かしたアトラクションや趣向を凝らしたショーはどれも「満足いく」ものだったという。
とはいえこの主婦にも「気になる点はあった」という。
「すでに行列ができていたせいか、10時のオープンを45分前倒ししてくれたのは良かったんだけど、整理券はオープン15分くらいで無くなっちゃって。
悪天候のせいもあって、グライダー、バンジー、橋渡りといった、自然体験型のアトラクションはできませんでしたね。結局、パークの半分はおあずけ。シンボルっぽい気球も風の影響で運休してがっかりしました」
この主婦のように、楽しみにしていたアトラクションができないという事態に怒り出す来園者も少なくなかったといい、主婦は「『なんでできないんだ』とスタッフに詰め寄る人も結構見かけた」と振り返る。
「仕方ないので、残り半分のコーナーで時間を潰そうとしたんですが、ディズニーほどにはアトラクションが無いので、少ないアトラクションに人が集中して200分待ちとかの状態でした」
大自然に囲まれた開放的な園内も、悪天候下ではそのロケーションゆえの“欠点”を浮き彫りにするばかりだったという。さらにこの主婦が不満を漏らしたのは「スタッフのオペレーション不全」についてだ。
「天候が悪くなったので雨宿りしたかったけど、軒下が少なくてみんなエントランスのほうまで戻ってしまっていた。
午後はプレミアムパスを使ってバギーと恐竜のアトラクションを楽しめました。ただ、プレミアムパスもその時間にならないと入れてくれなくて、スタッフの対応もマニュアル通り過ぎだろって思っちゃいましたね」
アトラクションへの期待感を高めすぎて肩すかしを食らった県内在住者と、オペレーション不全に不満を覚えた県外からの観光客。沖縄ならではのテーマパークとして人気を定着させていくために克服すべき課題は少なくなさそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班