
2025年7月、集英社オンラインで読まれた人気記事ベスト5をお送りする。
2025年7月に、集英社オンラインで反響が大きかった人気記事ベスト5をお送りする。
第1位は、浜松で起きたガールズバーでの刺殺事件だ。「殺意があった」と供述している容疑者の、歓楽街での素顔を取材した。
第2位は俳優・石田えりさんのインタビュー記事。10代でデビューし、裸になる役が多かった石田さんはいっとき「外を歩けない」と思うほど性的な視線に苦しんだという。
第3位は元いいとも青年隊岸田健作さんの半生を振り返るインタビュー記事、第4位は「だっちゅーの」で一世を風靡し今は歯科助手となっている西本はるかさんのインタビュー記事、第5位は工場閉鎖が発表された日産の現地の受け止めを取材した記事だ。
第1~5位のランキングは以下の通り。
1位
〈浜松ガールズバー2人刺殺〉「テメエ喧嘩売ってるの?」背中に仁王の刺青…逮捕された“山ちゃん”はクロムハーツの偽物をつけ孤独に来店、客に絡んで腕相撲大会
2位
デビュー以来、セックスシンボルと見られて「世の中を恨んでいた」俳優・映画監督 石田えりが、逃げ回るのを止めて選んだ逆転の戦略
3位
「笑っていいとも!」で大ブレイクもその後、ホームレスに…現在は町おこしをプロデュースする元“いいとも青年隊”岸田健作の波乱万丈人生
4位
元パイレーツ・西本はるか、なぜ“だっちゅーの”から歯科助手へ? 「ナンパもゼロ、治療中に胸が当たることもにないです」と明かす意外すぎる現在地
5位
〈日産が2工場閉鎖を発表〉従業員は「家を買ってしまった人はどうすれば…」「十数万人の仕事がなくなる」主力工場が消え横須賀市追浜は大打撃、経営陣に怒り…近隣タワマンも着工延期
↓以下記事本編
⽇産⾃動⾞は7月15⽇、神奈川県横須賀市にある追浜⼯場が2027年度末に、神奈川県平塚市にある子会社・⽇産⾞体の湘南⼯場が26年度末までに、それぞれ生産を終えると発表した。数千人の職場が消え、地域の経済に大打撃となりそうだ。社員や地元の人からはあきらめや経営陣への怒りの声があがっている。
「2か月たってやっと公式に認めた形です」
日産のイバン・エスピノーサ社⻑は同日開いた記者会見で「⾮常に⼤きな痛みを伴う決断だ。成⻑軌道に戻るためにはやりきらなければいけない」と話した。
日産の説明では追浜工場の車両生産は日産自動車九州(福岡県苅田町)に移管する。工場跡地の用途は決まっていない。
神奈川県は日産自動車創業の地で、本社も横浜にある。中でも追浜工場は生産技術を確立する「マザー工場」の役割を持つ国内の主力生産拠点で、湘南工場とともに消えることで神奈川県内の完成車工場はなくなる。
「日産の工場閉鎖は2001年の村山工場(東京都武蔵村山市)以来で、今回2工場がなくなれば国内の完成車工場は3か所になります。生き残りをかけホンダと統合協議を進めた日産は、ホンダが出した日産を完全子会社にする案に反発し今年2月に統合を破談にしました。
そして25年3⽉期連結決算では最終的に6708億円もの巨額の赤字を出し、5⽉に経営再建に向け世界に17ある完成⾞⼯場のうち7⼯場を2027年度までに閉鎖する計画を発表しました。このうち国内は追浜、湘南両工場が対象になると読売新聞がすっぱ抜きました。地元や取引先には不安が広がっていましたが、日産はこの報道について2か月経ってやっと公式に認めた形です」(全国紙経済部記者)
約2400人が働いているとされる追浜工場では15日に従業員らに発表があるとアナウンスがあった。集められた従業員らに閉鎖計画や転勤先の希望はできるだけ聞くとの趣旨の説明が行なわれたという。
「家を買ってしまった人と寮で暮らす人とでは人生設計も変わる」
追浜工場で小型車「ノート」と「ノートオーラ」の生産に携わるAさんが職場の空気を話す。
「生産シフトは通常8時間のところが30分短縮されています。シフト中に200台くらいつくるかな。そのシフトが1日2交代で回っています。
なので、正式に工場閉鎖を言われたのは今日ですけど、『転勤の希望には沿う』とは会社から言われてきました。九州の工場だけでなく関連会社も選択肢としてあるみたいです。まだ2年あるから考えますが、この近所に家を買ってしまった人と寮で暮らす人とでは人生設計も変わってくるでしょうね」(Aさん)
日産の車が好きで同社に入ったというAさん。今の苦境の原因に話が及ぶと、
「中国のBYD(の電気自動車)が出てきたり、アメリカの関税問題もそうですけど、自分らが考えているのよりも変化に追いつけていなかったのかと思いますね。
“e-POWER”(日産独自のハイブリッドシステム)もありますが、他のメーカーに比べるとやっぱり開発に時間がかかったところがありますし、似たり寄ったりな車になっていたというのもあるかもしれません。今は“大企業でもこんな感じなんだな”と思っています」
と淡々と答えた。いっぽう営業に携わるBさんは会社の態度に怒りを抑えきれない。
「ホンダと合併するとかしないとか言っていたときも、会社はいつも急に知らせてくるんです。それに社内では猛反発が出ています。工場がなくなるのでは、という噂はもちろん回っていましたが、不意をつく発表に振り回されることで会社を信用できないと嘆く人もいます」(Bさん)
工場閉鎖が及ぼす影響の大きさを考えれば、会社の説明は雑ではないかとの思いがあるそうだ。
「閉鎖される工場だけでなく原材料を納入している業者も含め、十数万人の仕事がなくなったり減ったりするのではないでしょうか。工場で働く人の新しい勤務先はどうなるのでしょう。2年先の閉鎖までに間に合うのっていう感じです。
方針は決まりしだい知らせると会社は言いますが、決まるまで不安でたまらないと思います。宙ぶらりんに置かれた人に九州への転勤を打診したら嫌がられて人材が流出することもあり得るでしょう。
売り上げが良くないのは事実です。でも本社は一等地にあるし、広告も有名芸能人ばかり起用していて、経費を削減できるところは多くあるのではないかと思います。今回の策が収益改善のために本当に妥当なのか知りたいですが、具体的な情報を私たちは知ることはできません」(Bさん)
「カルロス・ゴーンさんに再建を託して良いことがあったんでしょうか」
追浜工場周辺には他社の大規模な事業所があったり、海上自衛隊員や米海軍の将兵も暮らしている。別のメーカーの工場に勤める男性は「日産の工場がこの街の経済に占める割合は3割くらいでしょうか。なくなっても街が一気に沈むことはない気がしますね」と話す。
だが飲食店を営む女性、Cさんらには死活問題だ。
「日産の寮に住む若い独身の子や期間工さんがいなくなるとこの辺りの飲食店のお客さんがどれほど減るか、ちょっと分かりません。
そう話すCさんは、“日産の街・追浜”が衰退を続け工場閉鎖にまで至った近年のことを残念がった。
「カルロス・ゴーンさんに再建を託していいことがあったんでしょうか。多くの社員のクビを切って経営再建だーって言って、自分だけものすごい報酬をもらって最後は(国外へ)逃げて行っちゃった。その後、コロナの時の工場は大変で、生産ができずにラインが全部止まった時もありました。そんな時は社員が総出で掃除をしたりしてました。
結局コロナ禍が終わっても昔のような賑わいは取り戻せないままで…。今の経営陣はなんでホンダとの合併をやめたんだろうって思います」(Cさん)
地元では東京や横浜への交通の便が良いため京急電鉄追浜駅前にタワマンが2棟建設される計画があるなど人口が増える余地もある。しかし、そのタワマンは今年5月の着工予定だったが、読売の報道後に2027年1月へと延期されることが発表された。社会情勢を踏まえた検討などに時間を要しているという。
追浜工場の存在感は圧倒的で、これが消えた先に別の企業が工場跡地に進出してきてくれるだろうかとの不安感が街を覆っている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班