「本田美奈子.ちゃんが歌わせてくれてる」松本伊代が明かす歌手活動を本格再開した背景「声が出る限りは歌っていきたい」
「本田美奈子.ちゃんが歌わせてくれてる」松本伊代が明かす歌手活動を本格再開した背景「声が出る限りは歌っていきたい」

2025年6月21日に還暦を迎えた歌手・タレントの松本伊代。10月4日、5日には、「松本伊代 Live 2025"Journey"and Sweet Sixty」を開催する。

音楽監督は松本の“恋愛三部作”などで編曲を担当した船山基紀、B.B.クィーンズのメンバーでもあるバンドマスターの増崎孝司、元・FIELD OF VIEWで現在はCASIOPEAキーボーディストの安部潤、Mrs. GREEN APPLEのサポートを務めるベーシスト二家本亮介などが参加する。コンサートに込めた想い、再び歌うことを決意した背景とは。(前後編の後編) 

コンサートに込めた想い

――今回のライブは「Sweet Sixty」というタイトルがついています。どのようなライブにされたいと思っていますか。

松本伊代(以下、同) 人生の節目に記念のコンサートができることがまず嬉しいので、皆さんへの感謝の気持ちを込めています。

曲については、昨年、一昨年のコンサートでは大人っぽいコーナーを入れていたんですけど、今年は「Sweet」とつくのでそういうコーナーはやめて、可愛いイメージにしたいなって思ってます。大人っぽい曲は「さよなら私のために」とか、恋愛3部作を歌うぐらいで、あとは可愛らしい曲をメインにしていこうかなと。

あと、ファンの方にもリクエストを募って、リクエストの多かった曲を構成にぜひ入れてほしいと、船山基紀先生にお願いしています。

――音楽監督の船山さんをはじめ、すごいミュージシャンが揃っていますね。

これだけ最高のバンドメンバーはなかなか集まってくれないと思いますし、楽しみでもあります。レジェンドだったり、今をときめく人々が時間を作ってくださるのは、船山先生のおかげです。もう感謝感謝ですね。

――バンド構成を見ると、音楽活動への本気度が伝わります。

いま、松本さんにとって音楽活動はどのような存在になっていますか。

もともと歌でデビューしてるので、歌はやっぱり原点というか。

当時の大人の人たちが一生懸命、素敵な曲を作ってくれたおかげで、宝物のようなアルバムがいっぱいあるので、どんどん発信していけたらいいなって思います。

もちろん声は変わってるし、歌詞もちょっと幼くて恥ずかしかったりするんですけど、どれも今聞いても古くないというか。メロディーとかアレンジもすごくよくて、今も歌いたいと思う曲が多いんです。

「戦友というか、仲間というか」同期歌手の存在

――松本さんはデビュー曲「センチメンタル・ジャーニー」のイメージが強いとは思いますが、尾崎亜美さんが作曲を手掛けられた時期(1983年~1984年)や、 “恋愛三部作”など様々な楽曲を歌われてきましたよね。

恋愛3部作は、アレンジは船山先生、曲は林哲司先生、作詞は川村真澄さんにお願いしたんですけど、その辺りから歌に対して自由に発言できるようになりました。

それまでは、例えば、「B面の曲の方が好きなのにな」と思っても、違う曲がシングルになったりと、自分の意見が通らないこともあったんですけど、ちょっと大人になっていくなかで、曲調も変化させたいという、自分の強い思いもあったりして。

ディレクターさんと話ができるようになった20歳ぐらいから、歌に対してさらに希望を持ち始めたんですけど、一方でそれが数字に繋がらなかったりと色々な事情もあって…。

だんだんレコードも出せなくなり、コンサートもしないという感じに…。その後、結婚、子育てがあって、ソロコンサートをできない時期が20年ぐらいありました。

松本は、1991年リリースのアルバム『マリアージュ~もう若くないから~』以降、音楽活動の機会が減っていた。CDのリリースは2005年、同期デビューの早見優・堀ちえみとともに結成したママドルユニット「キューティー★マミー」から再開する。



――どのようなきっかけで、再び歌うようになったんですか?

まず大きなきっかけの1つは、同期の優ちゃんとちえみちゃんですね。

歌から完璧に離れていたというわけではないのですが、実は1人で歌うのってどうなんだろうって、ちょっと思っていた時期があったんです。1人で飛び出していこうっていうエネルギーや気持ちが出なかったというか。

テレビで、「センチメンタル・ジャーニー」を歌ってください、とお話をいただいた時も「どうしよう」と悩んだり。ヒロミさんに相談して「歌うべきだ」と言ってもらって、歌ったりしていました。

そんな時に「キューティー★マミー」のお話があったんですが、これは私1人じゃなくて、優ちゃんとちえみちゃんがいたからできた感じですね。3人ならちょっと気持ちが楽に歌えるって思えたんです。

――早見さんとは「キューティー☆モリモリ」(松本、早見、森口博子の3人で結成されたユニット)でも一緒に活動されていますが、何か言葉をかけてもらったことはありますか。

優ちゃんは常に意欲的なので、私が「もうやめようか…」と弱気になると、「なんでやめちゃうの?」とか、「伊代ちゃんがいなくなったら、私も歌えなくなっちゃう」みたいに嬉しいことを言ってくれます。戦友というか、仲間というか、同期なので安心するんですかね(笑)。

美奈子.ちゃんが歌わせてくれてる

デビュー当時に所属していた芸能事務所の後輩だった、本田美奈子.さんの2005年の急逝も大きな影響を与えた。松本は、2006年以降開催されている本田さんを偲ぶイベント「LIVE FOR LIFE 音楽彩」に毎年参加している。



――もうひとつのきっかけは?

本田美奈子.ちゃんかな。美奈子.ちゃんが亡くなった後に行なわれた音楽イベントに参加したんですけど、それが久しぶりのステージだったんですよ。そこから毎年そのイベントで歌うようになって。このイベントでしか歌ってない時期もあって、美奈子.ちゃんが歌わせてくれてるんだなって。

――近年は、ソロコンサートを精力的に開催されていますね。

30周年のコンサートが大きかったですね。ファンのみなさんとは離れてしまっていたけど、親衛隊の方が再集結してくれたし、いろいろな方から「もっと歌ってほしい」というお手紙や直接、声を聞いたりすると、「やっぱり歌っていきたい」って思えました。

その次に35周年コンサートをやって、2021年の40周年では船山先生とお会いして、「また来年も」というお話になったのが本当に嬉しくって。

昔から発声練習とかボイストレーニングが好きだったんですけど、最近は、さらに増やしてやってるんです。コンサートにも出ていただく(コーラスグループの)AMAZONSさんに、歌のレッスンをしてもらってるんですけど、AMAZONSのお姉様方は何歳になってもすごく声が出ていて。歳を重ねるなりの出し方があるみたいで、そういうのを取得したいって思っています。

やっぱり歌が好きだから、声が出る限りは歌っていきたいなって思っています。



60歳を迎えて、さらに歌への思いを強くする松本。これからも多くの人々を笑顔にしてくれるだろう。

(前編はこちら)

取材・文/羽田健治 撮影/廣瀬靖士

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