人の幸福度を上げてくれるのは猫よりも犬? 最新の研究が明らかにしたその納得の理由
人の幸福度を上げてくれるのは猫よりも犬? 最新の研究が明らかにしたその納得の理由

ペットを愛し、ペットに触れると人は幸せを感じるというのは、数々の研究からも明らかになっている。しかし、実はその効果は猫よりも犬のほうが高いのだとか。


さらに、動物だけでなく、人を想うこと自体も幸福度を上げることが分かってきた。堀田秀吾著『科学的に証明されたすごい習慣大百科』より抜粋・再構成し、その仕組みを解説する。

動物とふれ合うと幸せホルモンが増加する

人間関係を構築することそのものにストレスを感じるという人にとって、「動物とふれ合うことで“幸せホルモン”のセロトニンやオキシトシンが増える」というペットセラピーの研究は、心強い処方箋となるでしょう。

職場にネコを放し飼いにする企業などもありますが、ネコの愛くるしさをもって、ストレスを軽減させる、癒される、という科学的根拠もあります。

しかし、ネコ以上に大きな効力をもつのがイヌです。カロリンスカ研究所のピーターソンらは、10人の被験者に自分の飼い犬と60分間接してもらい、その前後、また途中で、被験者の血液からセロトニンやコルチゾール(ストレスホルモン)の反応を調査しました。

その結果、最初に幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが少なかった被験者ほど、イヌに頻繁にさわりたがり、さわったあとに大きな反応がありました。ただ、残念なことに、さわられる頻度が高いほどイヌのほうのコルチゾール値が高くなる傾向がありました。

つまり、人間は癒される一方で、イヌは過度なふれ合いによってストレスが上がってしまう可能性があるということです。

また、麻布大学の永澤らの研究では、イヌはオキシトシンの分泌を活発化させるだけでなく、イヌの健康のために朝と夕方の散歩が欠かせないことから、飼い主自身、屋外に出て日光を浴び、セロトニンの分泌量が増えるという利点を挙げています。

イヌを飼うことで、飼い主自身も規則正しい生活が身につき、セロトニンが出やすい環境がつくられていくというわけです。

アメリカでは、動物と触れ合うことを「アニマル・アシステッド・アクティビティーズ(AAA)」「ペットセラピー」などと呼び、積極的にとり入れる医療現場も増えています。

ドイツでも、90パーセント以上の医療従事者が、動物がもたらす効果を認めているという調査結果もあるほどです。

動物は、人間にとてもポジティブな反応をもたらしてくれる大きな存在です。動物と、とりわけイヌと交流をはかるようにすると、幸せを感じやすくなるはずです。

ペットだけでなく、人を想ったり想われたりすると幸福度が上がる

「祈り」は、形式や様式こそ異なるものの世界で行われる共通のアクションです。じつは、「祈り」には心を安定させる効果があることもわかっています。

サンフランシスコ総合メディカルセンターの医師・ランドルフ・ビルドは、心臓治療のために入院している393人の患者を対象に「祈り」に関する実験を10か月以上にわたり行いました。

彼は、患者たちをランダムに、他者から早い回復や非重症化や死亡の回避などの祈りを捧げられるグループと、何も行わないグループに分けました。

祈りを捧げる人たちは全国のさまざまな教会から募集し、1人の患者に対して3~7人を割り当てたのですが、祈りを捧げられたグループの患者たちは、捧げられなかったグループの患者たちよりも呼吸補助、抗生物質、利尿薬を必要とせず、重症度が低かったといいます。

こうした背景には、各人の病気の差異や個体差もあるため、絶対的な効果が見られたとは言い切れないでしょう。また、プラセボ効果よろしく、祈りを捧げられたことで安心感を抱き、思い込みの力によって一時的に体調が良好になったといったケースもあるかもしれません。しかし、祈りが患者たちによい影響を与えたということも事実です。

祈りを捧げる人は人生の満足度が高い

ハーバード大学のチェンとバンダーウィールが5000人以上を対象に行った研究では、8年から14年にわたる追跡調査も踏まえ、最低週1回でも祈りを捧げる人たちは、人生の満足度が高く、ポジティブで性格的に強い面が多く、薬物の使用の可能性が少ないなど、ウェルビーイングの面で、非常によい傾向があったといいます。

テキサス州立大学サンアントニオ校のエリソンらが1500人以上を対象に行った研究でも、信仰心をもって祈りを捧げている人は、心配、恐怖、社会不安、強迫症など、不安障害を経験する割合が低いことがわかっています。

人は、心の拠りどころになるようなものを見つけて、感謝の気もちをもって生きることが大切です。大切な人のことを想って祈ってみる。

手を合わせ、心のなかで唱えてみるだけで、きっと大きな変化をもたらしてくれるはずです。

文/堀田秀吾

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堀田秀吾
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2025/7/21,760円(税込)288ページISBN: 978-4815633417

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