豊田章男経産相、安野貴博デジタル相、幹事長はまさかの…石破「やけくそ」崖っぷち改造内閣の顔ぶれを占う
豊田章男経産相、安野貴博デジタル相、幹事長はまさかの…石破「やけくそ」崖っぷち改造内閣の顔ぶれを占う

続投へ並々ならぬ意欲を見せる石破総理。自民党内では「石破包囲網」が着々と敷かれつつあるが、一方で野党第一党の党首が石破総理に露骨なまでにすり寄るといういびつな構造が浮かびあがってきた。

この異形の「延命共同体」の行く末と、崖っぷち内閣の改造人事を占う。

次期総理のキーワードは「保守」と「野党」

「石破政権は森山幹事長でもっている」

これは与野党限らず、永田町ではもはや定説だ。自民党内に派閥など足場のない石破総理に代わって森山幹事長が党内ににらみを利かせ、野党との太いパイプで少数与党国会を乗り切ってきた。

その森山幹事長が8月末に退任意向を表明したらどうなるか。9月末の自民党の役員任期を前に後任の幹事長を決めなければならない。

いつ終わるか分からない政権だけに、後任の幹事長選びは難航するだろう。

仮に森山ショックと党役員人事という「9月の壁」を乗り越えたとしても、10月には秋の臨時国会が待ち受ける。

自公政権が衆参少数与党の状況では、補正予算など経済対策を打つことを考えれば、野党との連携が欠かせない。

つまり、9月を乗り越えると、次は野党との連携が求められる。次期総裁はどの野党と連携するのか?ということが総裁選びの基準になるという、まったくこれまでにない展開になるだろう。簡単にまとめると下のような構図になる。

石破総理総裁→立憲民主党
小泉進次郎氏→日本維新の会
高市早苗氏→国民民主党

次の総理総裁には、報道各社の世論調査で1位と2位に並ぶことが現時点では多い小泉氏と高市氏、それに現職の石破氏の3人をあげてみよう。それぞれ組む野党との相性は3通りになる。

連立政権や閣外協力など可能性はあるだろう。

次の総理総裁に求められるのは「保守」と「野党連携」だ。今回の参院選では参政党が台頭した。自民が52議席→39議席と13減だったのに対し、参政党は1議席→14議席と躍進した。

自民から離れたいわゆる「岩盤保守」と言われる票が流れたことが明確であり、次期総裁には「保守」票の奪還が使命になる。

露骨すぎて気持ち悪い…石破首相にすり寄る野田代表

その意味では「保守」票の奪還が期待できるのは高市氏だ。野党側のパートナーには積極財政と減税で政策が近い国民民主党があがる。

玉木雄一郎代表も自民の総裁候補では「高市さんが一番政策が近い」と述べている。

ただ、高市氏には旧安倍派が支持基盤になるが、前回の総裁選で推薦人に名を連ねた議員にも落選者が目立つ。麻生元総理の支持が鍵を握るが、麻生派からは河野太郎氏も出馬に意欲を見せる。

麻生氏が高市氏を支持しても麻生派がまとめて高市氏支持に動くとも思えず、党内基盤は脆弱だ。

一方で、「改革派」の小泉氏は選択的夫婦別姓の導入には前向きだ。小泉氏では「保守」票は戻ってこないだろう。

連立相手は進次郎氏の後見人である菅義偉元総理が太いパイプを持つ維新があがる。

維新が目指す「大阪の副首都化」構想などを改革志向の小泉氏は受け入れやすく、小泉総裁なら維新との協議が進む可能性がある。

では、石破総理総裁の場合はどうか?

最大野党の立憲民主党の野田佳彦代表は4日の衆院予算委員会で露骨なまでに石破総理にすり寄って見せた。

いまにも抱き合ってしまいそうな二人のやりとり

とくに二人の急接近ぶりが露呈したのが「企業・団体献金」だ。野田氏が「落としどころを一緒に協議したい」と秋波を送れば、石破氏は「そのようにしたい。第一党と第二党で議論することに意味がある」と歩調を合わせた。

立憲民主党は、企業・団体献金の廃止を掲げていた。自民党は存続に強いこだわりを見せてきた。まさに「水と油」だった。

野田氏はこの日、廃止ではなく、公明党や国民民主党が求めている「禁止ではなく規制強化」に譲歩して石破総理にこう呼びかけた。

「総理と私は1993~94年の政治改革の議論を知る世代だ。責任もある。もう実務者だけに任せるのではなく、私とひざ突き合わせて協議し、合意する気はないか」と問いかけた。

石破総理は我が意を得たり、といった表情でこう返答した。

「その通りにしたい」

これが与党第一党と野党第一党の党首同士の国会論戦といえるのだろうか?

字面だけ追うと、いまにも抱き合ってしまいそうな二人のやりとりだ。何の迷いもなく応える石破総理の姿には事前に野田氏との間で入念に打ち合わせていたと感じさせるようなやりとりだった。

当選同期で同じ年の二人。ともに新進党という同じ政党に所属していた時代もある。まるで石破総理の後援会長のように振る舞う野党第一党の党首に、ある立憲関係者が先日、面と向かって不満をぶつけたという。

それに対する野田氏の返答の趣旨はこうだった。

いま解散総選挙になったら日本中がオレンジ色に染まる

躍進した参政党や自民の高市氏を念頭に「今の日本政治は右のポピュリズムが強すぎる。核武装は安上がりだなんていう政党が広島でも我々より得票した。だからといって自民の右側に近づいても意味がない。我々と親和性のある人がいる間に我々の政策を前に進めたい」

つまり、野田氏的には財政積極派が次の総理や総裁になるくらいなら石破総理のままでいい、ということなのだろう。今回の参院選では党勢をはかるバロメーターと言われる比例票では、立憲民主党は国民民主党や参政党に負けて野党第三党となった。。

ある立憲の中堅議員は「いま解散総選挙になったら日本中がオレンジ色に染まる。立憲は消えてしまう。だから政策や思想が近い石破総理を支援する方向に舵を切ったのだろう。野田さんは4日の国会答弁でルビコン川を渡ってしまった」と嘆く。

いま内閣不信案を出して衆院解散に持ち込んでも立憲民主党の惨敗は目に見えている。だから、石破総理支援に舵を切ったのだろう。

豊田章男経産大臣、安野デジタル大臣…石破改造内閣の顔ぶれをうらなう

ただ、立憲民主党内にもこうした野田代表の動きに不満こそあれ、いま選挙をしたくない、という利害では一致している。そのため、本格的な「野田降ろし」に発展する動きはない。

いまの日本政治の状況は、自民内で「石破降ろし」が吹き荒れ、野党第一党の党首がそんな石破総理を全力支援するといういびつな状況だ。「延命共同体」とも言える。世界情勢が混沌とする中で、日本政治の迷走に終わりが見えない。

8月末に森山幹事長が辞任表明をしたら、9月中に党役員人事、とりわけ後任の幹事長を決められるかどうかにも石破政権の命運がかかっている。

しかし、いまは自民内の9割が「石破氏は辞めるべき」という姿勢で、人事は難航するだろう。

どんな党役員人事・内閣改造が想定できるのだろうか? 筆者の予想を以下に記す。

<内閣>

赤澤亮正官房長官
平将明経済再生担当大臣
村上誠一郎総務大臣(再任)
船田元財務大臣
豊田章男経済産業大臣(民間)
岩屋毅外務大臣(再任)
中谷元防衛大臣(再任)
小泉進次郎農水大臣(再任)
世耕弘成文部科学大臣
安野貴博(チームみらい党首)デジタル兼AI活用促進特命担当大臣

<党役員>

菅義偉副総裁(再任)
鈴木宗男幹事長 
細野豪志政調会長 
野田聖子総務会長

党内9割が続投に反対とも言われる石破総理の組閣

党内9割が続投に反対しているとも言われる石破総理の組閣だ。数少ない党内の「反石破ではない議員」をかき集めてみた。それでも足りないところには他党や民間から任用でしのぐしかない。

総裁選への野心を隠さない林芳正氏は官房長官への留任要請を断るだろう。ここは最側近で腹心中の腹心と言える赤澤経済再生担当大臣に内閣の要となる官房長官を託すしかない。

トランプ関税交渉をまとめあげた手腕と経験、そのとき培った霞が関の人脈をフル活用し、石破政権の屋台骨を支えてもらう。

赤澤氏の後任の経済再生担当にはこれまた側近の一人、平将明デジタル担当大臣をスライドさせる。村上氏、岩屋氏、中谷氏は総理の数少ない”精神安定剤”でもあって留任だ。

財務大臣も総裁選への意欲がある加藤氏は外れたがるだろう。ここには自身のメールマガジンで石破総理の続投を支持してみせた船田元氏を起用する。

目玉の一つは慶応高校で同級生だった(高校時代はお互い接点はなかったらしい)トヨタ会長の豊田章男氏の起用だ。トランプ関税を巡り、都内ホテルで今年5月には面会している。

日本最大の時価総額企業の会長に日米貿易摩擦を所管する最前線を託す。

最大の目玉、幹事長候補は

デジタル大臣にはチームみらいの安野氏を抜擢する。欧米に後れをとるAI活用などで、日本のオードリー・タンとして日本のAIを一気に押し上げる。

参院議員の安野氏に加えて、派閥の政治資金問題で離党処分にした世耕氏を閣内に招く。同時に細野豪志氏を党役員に抜擢する。

これによって参院議員の安野氏と、世耕氏に近い望月良男参院議員、細野氏に近い平山佐知子参院議員の3人の参院議員には参院自民の会派に入ってもらう。

自公政権が参院で足りない3議席が補充され、参院での少数与党を辛うじて脱することができる。

党側では最大の目玉となる森山幹事長の後任には、思いきって鈴木宗男氏を当てよう。同氏はおよそ23年ぶりに自民党に復党した。石破総理への支持を声高に唱え、裏金問題こそが自民党の問題だと発信を続けている。その政治経験と老獪さでは森山氏にもひけをとらない。

いったんは落選したとみて投開票日翌日の未明に政界引退会見。夜が明けて全国比例での当選がわかって、引退の撤回会見をした。その不死鳥ばりの延命力を政権の延命に注いでもらう。

これが私の改造内閣予測だが、あなたはどんな内閣なら日本を救えると思うだろうか。ぜひコメントやSNSで教えてほしい。

文/長島重治

編集部おすすめ