〈学歴詐称疑惑〉田久保市長を刑事告発した建設会社社長が独白…私的なLINEをさらされ「喧嘩売ってんだな」「捜査は動いています」
〈学歴詐称疑惑〉田久保市長を刑事告発した建設会社社長が独白…私的なLINEをさらされ「喧嘩売ってんだな」「捜査は動いています」

学歴詐称問題が拡大する静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)が8月11日、突然自身のXとFacebookで知人からのLINEのメッセージをさらした。相手はことし5月の市長選で田久保市長に破れた前市長の後援会長を務め、また同市長を公職選挙法違反で刑事告発している市内の建設会社社長・山口喜廣氏。

田久保市長はLINEをさらした理由について、集英社オンラインのインタビュー内で「何が起きているのか市民のかたに知っていただくことも大事なことかと思った」と語っている。山口氏はどう感じているのだろうか。本人に話を聞いた。 

刑事告発した理由「一緒にやっていくのは無理だと思った」

――田久保市長とはどのような関係ですか?

市議を2期務めた田久保さんが最初に(市議選に)立候補する前から県議も交えてご飯を食べ、『できる限り応援します』って私が声をかけました。田久保さんはメガソーラー事業反対を掲げて市議になりました。

昨年12月に、当時2期目の市長だった小野達也氏が「3期目を目指したい」と言ってきました。僕は「小野さん、評判悪いよ。市民のためにこういうことをしなきゃいけないけどやってくれるの?」って聞くと「やる」と言う。

それで後援会会長を引き受け、政治資金パーティーを開いたりしました。

――田久保市長が5月の市長選に出馬すると表明する前ですね?

はい。田久保さんは4月4日に立候補を表明し、その後に僕の友人から「田久保に会ってほしい」とLINEが来たんです。僕は伊東を良くしてくれるのは小野さんだけではないと思っているから4月14日に田久保さんに会いました。

田久保さんは「周りに人がいない(場所の)方がいいですか」とLINEで聞いてきたけど僕はそんなこと関係ないから喫茶店で会って、その姿をみんな見てます。

その時に小野さんへの評価が僕と田久保さんで合致したんです。それで「選挙で小野が勝ったら俺は小野にやらせるよ。俺、約束したからね。その代わり、田久保さん勝ったら、田久保さんやってよ。俺も協力するから」っていう話をしたんです。

――5月25日の市長選で田久保さんが勝ちました。

そしたら田久保さんから「29日に登庁して市長になる前に会いたい」とLINEが来ました。それで27日の9時から12時ぐらいまで(会って)話をしたんです。「4月14日に意見は一致してたから、市民、伊東のために頑張ろうね」って。

当選証書の写真も撮らせてもらいました。その後も「定期的に会食しながら意見交換させてください」ってLINEしてきました。

だから刑事告発は(応援していた候補が)選挙で負けた腹いせだとみんな誤解しているんですけど、全然そうじゃないんです。

 ――では告発した理由は何ですか?

一緒に伊東を良くしようという話をしたのに、(田久保市長が「大卒ではなく除籍だった」と認めた)7月2日の会見がありました。それを見て一緒にやっていくのは無理だと思ったんです。

ある田久保さんの支持者は「学歴なんて関係ねえ。この先伊東市を良くすりゃいいんだ」って言うけど、やっぱり(経歴詐称は)公職選挙法に触れるじゃないですか。

だから俺は、支持者が言うことを真に受けるような市長ではダメで、ちゃんと刑事告発して真偽を確認しようと思いました。

「離れていった元の支持者や市民らへの脅しだと思います」

――田久保市長は偽造の疑いがある卒業証書を静岡地検に提出すると7月7日夜の記者会見で表明しましたが、その後あなたに刑事告訴されたことが分かったと言ってその約束を撤回しました。同じ理由で市議会の調査特別委員会(百条委)にも提出しません。

私は7月7日午前7時37分に彼女にLINEで「11時に告発します」と伝え、すぐに既読になりました。田久保さんの記者会見で同席した弁護士も「告発された」と発言しています。

なので記者会見の時に田久保さんが告発を知らないはずがないのに、私の告発で「状況が変わった」と言って約束を守りませんでした。

あの記者会見では市長を辞職し、出直し選挙に再出馬するとも約束しましたが、それも破りました。あの時は選挙で勝てると思っていたのに、その後、支持者がどんどん離れ、再選できないことを悟って辞職しないことにしたんだと思います。

状況が変わったと言うなら支持者が減ったことでしょう。

――8月11日に田久保市長は、8月6日に受けたというLINEのスクショを自分のXとFacebookで発信者を明かさずに公開しました。

そこには〈明日、文春砲を撃たれるみたいです。(中略)信頼回復は無理です!二人で話をした事を実現するのは無理なんです。(中略)私は副市長にどうですか!?と考えて田久保市長へ打診しようかと考えました。周りからも副市長になり田久保市政を支えてやれと言われました。私が副市長ならば議会を掌握出来ると皆様が考えたんだと思います。(中略)田久保市長、私と会話してください。マスコミには言いません。〉(原文ママ)と書かれています。これは山口さんが送られたものですか?

そう、隠すことはしません。文春砲でプライベートに関する記事が出るようなので、田久保さんにもう(市長を)辞めた方がいいと助言するというのが一番の目的でした。

副市長の件は、市長当選直後の5月29日に、田久保さんの熱烈な支持者から私が副市長になってくれと言われたことはあります。「私なら議会を掌握できるという方もいますよ」と言ってるだけで、俺がやりたいなんて書いてないです。

田久保さんのことを思って「俺はここまで考えたんだよ。だから俺と話してくれよ」と。言葉足らずのところはあるかもしれないけど意図はそういうわけです。

 ――では、田久保市長がこのスクショをさらした狙いは何だと思いますか?

完全に俺に喧嘩売ってんだなって思ってます。心情的にはプライバシー侵害で訴えたいです。

俺がメガソーラーの推進派で、新図書館推進派で、建設業の利権があるとか言われましたが、俺は公共事業なんて1円もやってないし、メガソーラー関連の仕事なんて1回もやったことありません。

全部地元新聞のインタビューで否定してやりました。だからもう多分(私を攻める)ネタがないんですよ。

田久保さんに不利な話をしたら、いちいち開示します(さらします)よっていう姿勢を見せることは、離れていった元の支持者や市民らへの脅しだと思います。

 ――田久保市長は13日にこれまで拒んできた百条委の尋問に出頭しました。

ここで出席を拒否すると刑事告発に至る。だから一応出ておこうという考えだと思います。だけど結局今回、答弁拒否のような返事をしているので、(百条委に)刑事告発をしてほしいです。

また私の告発は7月28日に受理され、県警はすでに市幹部から事情を聴いており捜査は動いています。

                   ※

現役市長が自分を告発した人物との私信を、あたかも報復するかのようにさらしているが、こんなことで市民の個人情報の管理は大丈夫なのだろうか。田久保市長の訴えを伊東市民はどう受け取るのか。まだまだ市長の言動には注目が集まりそうだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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