臭いで倒れた参加者も…運営も頭を悩ますコミケの激臭問題にアプローチ、消臭スプレーを噴きかけまくる「消臭防衛隊」に密着
臭いで倒れた参加者も…運営も頭を悩ますコミケの激臭問題にアプローチ、消臭スプレーを噴きかけまくる「消臭防衛隊」に密着

8月16日、17日に東京・江東区の東京ビッグサイトで開催されているコミックマーケット106(以下コミケ)。今年はコスプレイヤーのえなこさんが「(コミケには)お風呂に入ってから来てね!」と、啓発をおこなうなど、「臭い」に対しての問題意識は年々高まっている。

そんな臭い問題に独自のアプローチで取り組む企業に話を聞いた。

今年も汗の臭いは避けられない…

夏休み最盛期の8月16日、今年もコミックマーケット106(以下コミケ)が開催された。今年からはコミケ公式サイトで「熱中症対策」ページが拡充されるなど、酷暑への対策を促している。

暑さ同様、参加者・運営ともに共通の大きな課題となっているのが、激臭と呼ばれる「臭い」だ。アーリーチケットの導入により、深夜に会場前に並び、お風呂に入っていない状態で参戦する参加者が減ったとはいえ、夏に数十万人規模の来場者が密集することにより、待機列や会場内で臭いが発生しやすい状況だ。

参加者に話を聞いてみると、

「朝は風呂に入って、新しい服で来ています」(30代・会社員・男性)
「汗拭きシートをいっぱい持ってきてます」(20代・アルバイト・女性)

など汗対策をしている参加者も多い。

だが、今年も会場内では歩くのも困難になるほど人が密集し、熱気が充満。さらには空調も効きづらくなるため、取材した我々も汗を抑えるのは困難であった。

そんな激臭問題に今年も正面から取り組んだのが、株式会社ワカヤマだ。ブースの入り口に「消臭ゲート」を設置。ゲートを通過すると消臭スプレーが噴射され、中で待機しているコスプレイヤーと写真撮影できるというシステムだ。

さらにブース前には「臭撃防衛隊」と名付けられたコスプレイヤーたちが同社の消臭スプレーを持って待機。参加者たちに消臭スプレーを噴きかけるという演出で注目を集めていた。

株式会社ワカヤマがブース企画を開始したのが、昨年の夏。自費でコスプレイヤーを集めてブースを設置した。この取り組みはSNSで大きな反響を呼び、取引先への認知度向上と同社商品を取り扱う薬局の増加につながったという。

参加者からも好評だったため、2年連続での消臭ゲート設置が実現した。

「臭いの原因は汗をかく人ではなく、服にあります。スプレーで臭いの発生源となる菌だけを消すことで、不快な臭いを防ぎます。消臭ゲートは前回から改良を加え、消臭液の濃度を通常の3倍に高め、特に蒸れて臭いが発生しやすいワキの下を狙えるよう、ミストの位置を最適化しました。このゲートをくぐっていただくことで、参加者の皆様が一日中快適に過ごせると確信しています」(株式会社ワカヤマ広報担当・田中氏)

実はコスプレイヤーも臭いを気にしている

ブースを訪れた参加者は、消臭ブースについて一様に好意的な感想を述べた。

「一昨年参加した際、列に並んでいる前の男性の臭いがキツくて気持ち悪くなってしまい、倒れてしまったことがありました。この暑さだとどうしても臭いは避けられないので、このゲートを会場の入口に置いて、参加者全員が通れるようになればいいのにと思います(笑)」(30代・会社員・女性)

「コミケには10年参加していますが、臭いだけでコミケが敬遠されるのは悲しいので、前向きな取り組みはしてくれるのはありがたいです」(30代・会社員・男性)

実際に消臭スプレーを噴射された男性は、「お風呂に入ってコミケに行こうみたいな記事を見てきたんで、会場でも臭い対策ができるようなブースがあってよかったです」(50代・男性)とのこと。 

コスプレイヤーの成瀬いなさんのファンだという男性も、

「このブースがあることで、臭いって気になるかもなって意識がより強くなりました。密着して写真を撮影してもらうので、そのときの罪悪感も減ります」(40代・会社員・男性)

いっぽうで参加者だけでなく、通気性の悪い衣装に身を包むコスプレイヤーも臭い問題に悩まされているようだ。

「夏でも分厚い衣装を着ることがあって、実はすごく汗でムレるので。ツーショット撮影のときは、自分も臭っていないか気にしちゃいます。コミケについては、SNS上で臭いに対するネガティブな意見も多いので、激臭対策ブースが登場したことに対して、私のフォロワーさんも、ついにそういうブースが出てきたと好意的な反応を示していました」(コスプレイヤー・神湊しおさん)

「野外での撮影もあって汗をかくので、臭い対策は避けられないです。私は去年もこのブースに参加したのですが、それからはプライベートでも消臭スプレーを使うようになりました。かけると全然違うので、世の中の人みんながこれをかけてから、出かければいいのに~と思います(笑)」(コスプレイヤー・菊池遥香さん)

今年のコミケも人が密集するエリアや行列から汗の臭いが漂うことはたしかにあった。多くの参加者が万全な対策で臨んでいるが、猛暑の中で空調が効きにくい状況で人が密集すれば、汗をかき、臭いが発生するのは避けられない。

株式会社ワカヤマの商品や取り組みが、コミケ会場の激臭問題の解決の糸口になることを期待している。

 取材・文/福永太郎

編集部おすすめ