「なぜ?」夫の浮気調査の現場に現れたのは〈調査を依頼した妻〉だった…探偵が目撃した衝撃の結末
「なぜ?」夫の浮気調査の現場に現れたのは〈調査を依頼した妻〉だった…探偵が目撃した衝撃の結末

手がけた依頼は1100件以上、数多くの浮気調査を行なってきた探偵小沢。そんな彼が「かつて経験したことがないレアケース」と語るのは、尾行していた夫の前に浮気相手として現れたのが「依頼した妻本人」だったときだ。

いったい妻はどんな意図で調査を依頼したのか? 

探偵小沢著『事件はラブホで起きている』より抜粋・再構成して、その衝撃の真相をお届けする。 

調査対象者の浮気相手は、調査の依頼者だった……?

あれは数年前――なんの変哲もない浮気調査の依頼がきっかけだった。

依頼者は20代後半で上品な雰囲気の女性・みおさん(仮名)。

みおさんは、旦那さんの浮気を疑っていた。話によればここ数ヵ月、旦那さんの様子がおかしいとのこと。スマホは肌身離さず持っているし、急な外出や遅い時間の帰宅が増えたという。

実際に浮気をしているのか、していないのか。もし浮気をしているのであれば、どんな浮気相手なのか。「事実が知りたい」――そんな依頼だった。

浮気調査の依頼の場合、大きく分けてすでに対象者の浮気が確定しているパターンと浮気をしているかどうかがわからないパターンがある。みおさんの場合は後者。

みおさんの真剣な表情を見て、僕は依頼を受けることにした。

みおさんによれば、旦那さんは毎週土曜日の昼間にひとりでよく外出するという。

「じゃあ、次の土曜日に調査をしてみましょう」

こうして話がまとまった。

そして、次の土曜日――僕と相方の探偵は、みおさんの自宅前で張り込んでいた。

しばらくすると、対象者である旦那さんが自宅からひとりで出てきた。

尾行開始だ。

対象者は電車で都心方面へ移動し、あるターミナル駅で降りた。

家電量販店で家電を見たり、書店や洋品店に寄るなど普通に買い物をしている様子で、特に怪しい行動は見られないまま、夕方となった。

「これは、今日は何も起きないかな……」

そんな空気が漂いはじめるなか、事態は突然、動き出した。

対象者がとある店の前で急に立ち止まって、スマホを頻繁に操作しながら、周りをキョロキョロしだした。

「これは……浮気相手との待ち合わせかもしれない……」

そう考えた僕らは物陰に隠れて身構えながら、様子を窺っていた。

それから数分後、対象者の前に現れたのは……なんと、依頼者のみおさんだった。

「あれ? なんで、みおさんがここにいるの?」

当初は不審に思ったが、「あれじゃね? 依頼者さんが忘れ物でも届けに来たんじゃね?」と相方の探偵が言う。なるほど、それも一理あるかもしれない。

結局、「このまましばらく尾行を継続して、様子を見よう」ということになった。

コンビニへ入ったふたりは、お酒とお菓子を購入。コンビニを出たふたりはスタスタと歩きはじめ、向かった先はホテル街。そして、そのままラブホテルへチェックインした……!?

「えーーーー!? いや、いや、待てよ! 今日調査に入るって、みおさんは知っているはずだから、おかしいぞ!」

速攻でみおさんにLINEする。

「すみません、どういうことですか?笑」

既読がつくまでの間、相方の探偵と推理を巡らす。

相方「小沢君、あれさ、依頼者で間違いないんだよね……?」

小沢「間違いないです。僕は契約時に対面で依頼者さんに会っていますから、見間違いはないです。あんな感じの上品な雰囲気の方でしたから。でも、おかしいな……みおさんは、今日僕が調査に入ることは知っているはずなのに……」

相方「そっか……じゃあさ、もしかして依頼者さん、ちょっとそういう〝癖〟があるタイプの人なんじゃないの? ほら、自分のそういうシーンを他人に見せつけて興奮する人とかいるじゃん? だってそもそもこの案件、浮気相手がいるかどうかって定かじゃないんでしょ?」

……なるほど。たしかに一理ある。

となると、僕ら探偵はみおさんのプレイの前戯に利用されたというわけか……くそっ! 悔しいけど、なんか、ちょっと興奮してきたぞ。

明らかになった驚愕の事実 

そんなことをしているうちにLINEが既読となり、みおさんから返信が来た。

「どういうことというのは?」

いや、いや、いやw どうもこうもないでしょw

「すみません、今とってもお取り込み中だとは思うんですが、一瞬だけ電話できたりしますか?」とすかさず返信する。

すぐに、みおさんから電話が来た。

小沢「あ! もしもし? あの今、ホテルの中ですよね? えっと……今日、調査してますよ……?」

みお「え? ホテル?」

小沢「そうです、今さっき、入っていかれましたよね?」

みお「今? 私は今、家にいますけど?」

なぜか、シラを切るみおさん。僕には、状況がまったく理解できなかった。

この期に及んでもなおプレイの前戯を続けるみおさんに対して、少し苛立ってきた僕は、電話をしながら、対象者である旦那さんとみおさんがラブホテルに入っていく際の映像が映し出されたビデオカメラの静止画をスマホで撮影し、LINEで送った。

「ほらこれ、ついさっきのみおさんと旦那さんですよね?」

みおさんは急に黙り込んでしまった……そして数秒後、衝撃的な言葉を放った。

「これ……妹です……双子の」

双子の妹だと……? よりによって旦那の浮気相手が双子の妹って……! とんでもない浮気相手だな。

「ごめんなさい……今……私……本当に混乱してます……」

電話越しからでもみおさんの動揺が伝わってくる……疑って、すみませんでした!

ひとまず「調査は続行」ということとなり、ラブホテルから出て来る対象者と浮気相手を撮影した。

ふたりが別れたあと、妹さんと思われる人物を尾行し、自宅を突き止め、住所をみおさんに伝えた。

「間違いないです……それ、妹の住所です……」

結局、調査はこの日だけで終了となった。その後の話は、詳しく聞きたかったけど聞けなかった。

みおさんが離婚したというところまでは教えてくれたけど、地獄の話し合いが展開されたことは想像に難くない。みおさんのお気持ち、そしてみおさんのご両親のお気持ちを考えると、想像しただけで恐ろしい……。

今まで多くの浮気調査をしてきたけど、浮気相手が依頼者の知人というのは割とよくあるケース。だけど、浮気相手が依頼者の一卵性の双子の妹というケースは、みおさんの依頼が初めてだった。

調査の帰り道、相方の探偵が言った。

「いやぁ~、しかしなんでまた、わざわざ同じ顔の人間と浮気するかね? 意味なくない? せっかく浮気するのにもったいない」

僕は言った。

「浮気ってそんなに単純なものじゃないと思いますよ」

文/探偵小沢

『事件はラブホで起きている 秘密の「浮気」調査報告書』二見書房

探偵小沢
「なぜ?」夫の浮気調査の現場に現れたのは〈調査を依頼した妻〉だった…探偵が目撃した衝撃の結末
探偵小沢『事件はラブホで起きている 秘密の「浮気」調査報告書』二見書房
2025/7/21760円(税込)320ページISBN: 978-4576250533「他人のセックスを証明することで生活をしている社会不適合者」をキャッチコピーに新卒から探偵となった現役私立探偵「探偵小沢」。小学生の頃の趣味は「買い物をする友だちのお母さんの尾行」というように、ナチュラルボーンな探偵。手がけた浮気調査は1000件以上。見かけとは裏腹に、丁寧な調査と依頼者さんに寄り添ったホスピタリティの高さが評判を呼び、日々調査依頼が舞い込む超売れっ子探偵。 そんな探偵小沢が遭遇した数々の浮気調査現場のレポートから、「もしパートーナーが浮気した場合の対処法」「悪徳探偵の見分け方」「探偵のと~っても有効な使い方」「弁護士の相談方法」など、「浮気」というキーワードに「ピン」とくる世の皆様方には必携の書。
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