須田亜香里「嫌だって思ったらSNSの世界を遮断する」アイドル時代の誹謗中傷や炎上への対処法…SNS社会に伝えたい適度な“距離感”
須田亜香里「嫌だって思ったらSNSの世界を遮断する」アイドル時代の誹謗中傷や炎上への対処法…SNS社会に伝えたい適度な“距離感”

女性アイドルグループSKE48のメンバーとして活躍し、2022年のグループ卒業後はソロでバラエティ番組や演技などに取り組む須田亜香里(33)。「今、めっちゃ自由で楽しい!」と語るその心境は?(前後編の前編) 

総選挙での炎上に「すごく傷つきました」

アイドル時代の須田は、“握手会の女王”とも呼ばれる神対応でファンの心を掴み、2018年に実施された『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙』では1位の松井珠理奈に次いで、2位となるほどの人気を獲得した。

アイドルグループ出身者のなかには、グループ卒業後に“アイドル”という肩書がなくなり、進む道に迷うケースも少なくないが……。



――須田さんはSKE48を卒業後、“アイドル”という軸がなくなり、苦悩したことなどはありましたか。


須田亜香里(以下、同)  アイドル時代はファンのみなさんのことを思って悩むことはあったんですけど、逆に今、めっちゃ自由で楽しいです!

例えば、数年前に主演させていただいた『打姫オバカミーコ』という映画では、当時まだアイドルだったんですけど、萩原聖人さんとハグするシーンがありました。

たとえ演技だとしても「ハグしたらファンの人は私に対してどう思うんだろう」「演じるキャラクターがハグをしているってことをうまく飲み込めないファンの方がいたらどうしよう」みたいに考えてしまっていたんです。みんながみんなそういうファンの人だったわけじゃないけど、今思うとそこに不安を持っちゃう自分がいましたね。

何か発言をするときも、憶測や誤解を生むのがすごく嫌で。本当に思っていることを言う時はいいんですけど、「アイドルだからアイドルらしい発言をしよう」だとか、「元気な私を求めていると思うからポジティブな発言を…」と思うとうまくいかなくて。

今は、自分がしたい表現をするし、思っていることを自由に自分の言葉で発言できる。「須田亜香里」としても自由になったし、役としても自由になった感じがします。

本当はアイドル時代ももっと自由にしても良かったと思うんですけど、私は「アイドルとはこうあるべき」とか形から入るタイプなので、アイドルっていう職業をちゃんと終わらせたことで、次に進めているなっていう実感はあります。

 ――他にアイドル時代でファンとの距離感などで悩まれたことはありますか?

総選挙で10位になった時(2013年『AKB48 37thシングル 選抜総選挙』)、「みんなが求める私でいなきゃ」って思いすぎて、自分でもよくわからなくなり、スピーチが長くなっちゃったんです。

その日は大雨で、しかも野外のステージだったので、「雨なのにスピーチが長い」って、すごく叩かれたんですよ。それはすごく傷つきました。

みんなが喜ぶ私でいようと一生懸命もがいたのに、こんなに炎上するんだって。

須田は、アイドル時代、ネット上で「かわいくない」などと書かれることもあったが、2017年には、逆境をバネにする秘策を公開した自己啓発本『コンプレックス力~なぜ、逆境から這い上がれたのか?~』(産経新聞出版)を出版し話題を集めた。

だが昨今は、当時よりもSNSで飛び交う誹謗中傷などがさらに社会問題化するなど、深刻化している。そんな時代のなかで、自身の言葉を発信する際に気を付けていることはあるのだろうか。

SNSとの付き合い方 

――今の時代は、何かあるとバッシングが起きやすくなっています。ご自身の思いや考えを伝えることに怖さを感じることはありますか。

自分が伝え方をミスして、間違って伝わっちゃった時は反省するし、悲しい気分になってちゃんと落ち込みます。だけど、本当に思っていることを言って、なにかを言われても、「意見が合わない人がこれぐらいいるんだ」って思うだけかな。価値観の合わない人が世の中にこのぐらいいるんだなっていうデータとして受け止めるだけですね。

――なぜそんなに強くいられるんですか。

多分、私は自分にも周りの人にも正直に生きていて、なにかを言ったとしても離れないでいてくれる仲間や友達がいるからだと思います。信頼し合える人が変わらずにいてくれていることが大きいと思うんです。



――ネットの声や、ルッキズムなど世間の声をつらく受け止める人も増えていると思います。そういう人に、アドバイスするとしたらどんな言葉をかけますか。

どうだろう……。でも、世界は広いって知った方がいいっていうことですかね。

SNSやネット、職場の人、学校の人がこう言っているから、自分はもうダメなんだ、終わりだって思う必要は全くないと思います。それは、声が大きい人たちの言葉ってだけ。

声が小さかったり、声には出さないけど、味方してくれてたり、同じ思いの人もたくさんいるって思うんです。私は、グループ時代も同じ考えを持ってそうなメンバーに声をかけることから、始めていましたね。

――須田さんは、SNSとの向き合い方で気を付けていることはありますか。

本当にSNSって使い方次第ですよね。これはちょっと申し訳ないけど、私は最近、コメントをあんまり読まないときもあって。

ファンの人はファンクラブでコメントを送ってくれるので、そっちはちゃんと読みますが、それ以外のSNSで嫌なコメントが来そうだなとか、このコメントは嫌だって思ったらもう閉じます。
SNSの世界を遮断する。

そして少し経って、また更新したいことができたら、前のコメントは読まずに更新するという感じで、都合よく使っています(笑)。

私、最近TikTokを始めたんですけど、それも都合よく好きなことだけを詰め込むことを意識していて。「お酒しか飲んでないじゃないか」ってファンの人からも言われているんですけど(笑)。

今も適度な距離感をファンと保ち続けていると話す彼女。フォロワー数も「いいね」の数も気にせず、自分の好きなことだけを発信したいと語っていた。SNSとの距離感も抜群の須田は「本当にSNSは都合よく。傷つかないためにも」と晴れやかに笑った。

もうすぐ34歳となる須田。来るべき40代に向けて、どんなことに取り組んで行きたいと考えているかを、後編で聞く。(後編へ続く)

映画『男神』9月19日(金)より公開

「決して入ってはいけない」と語り継がれる正体不明の穴に、禁忌を破り息子を助けにいったことにより起きる得体のしれない恐怖と狂気、家族の悲劇を描くファンタジーホラー。

出演/遠藤雄弥 彩凪翔 岩橋玄樹 須田亜香里 カトウシンスケほか
監督・脚本/井上雅貴 原案/「男神」(八木商店)
配給/平成プロジェクト 配給協力/東京テアトル 
2025年/日本/93分/カラー/シネスコ/5.1ch
(C)2025「男神」製作委員会
公式サイト https://otokogami-movie.com/

取材・文/羽田健治 撮影/廣瀬靖士 

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