
駐在員の夫に、お得意先が日本から持ってきた手土産が、高級和菓子の「とらやの羊羹」だった――
自称ニューヨークの駐在妻を名乗る女性のXのアカウントが20日〈とらやの羊羹を渡すなんて、自分は仕事ができないバカと宣伝しているようなもの〉と投稿し大炎上している。
手土産やギフトとしても大変喜ばれる「とらやの羊羹」だが、投稿主の女性は何が不満なのだろうか。
ズッシリとした重さが良い高級羊羹が…
Xで20日、商社マンでニューヨークの駐在員の夫を持つ妻を名乗るアカウント主が、
「私、怒っています。旦那が持って帰ってきた日本からの出張者からの土産。(得意先の人)」
「高級なのはわかる。でも、虎谷(※正しくは虎屋)の羊羹は、駐在者に絶対に喜ばれない土産No.1」
「日本のデパ地下で最新流行っているお菓子持ってくるのが基本中の基本。(中略)和菓子持ってくるなら、赤福餅持ってくるくらいの変化球が必要」
(いずれも原文ママ)
と投稿し大炎上した。
「とらやの羊羹」とは、株式会社虎屋(東京都港区)が製造する和菓子で、土産品やギフトとして、祝い事やお中元などで重宝されることが多い。
虎屋の公式ホームページによれば、創業は室町時代後期で、京都で当時から和菓子作りを行なっていたという。小さい羊羹でも1個324円(税込)の高級品で全国の百貨店や空港などで目にする人も多いだろう。
「味はもちろん、ズッシリとした重さが良い。お近づきのご挨拶や、ミスをして謝罪に行く際にもよく購入しています」(広告業界関係者)
女性の投稿はすでに削除済みなものの、SNS上では、
「赤福餅に関しては賞味期限が厳しいし、偏ってグチャってならないように気を使うし。虎屋の羊羹なら、向きを気にしないでスーツケースに入れられます」
「まさに、きのう取引先の音楽会社から戴いた、とらやの羊羹。“いやげもの”扱いされて炎上したようだけど、とびきりのお茶やコーヒーと、丁寧にあじわってみたら、甘いもの苦手だった私は目覚めました」
「とらやの羊羹をディスった人が炎上してるけど、海外在住で虎屋の羊羹いただいたら狂喜乱舞だよ。
などと、問題の投稿から2日経ったいまでも物議を醸している。
虎屋、赤福はどう受け止めたのか
日系金融機関でアジア諸国に駐在員として勤務する35歳男性も、「『とらやの羊羹』をもらったら嬉しい。日本から土産としてもらったものは全てありがとうですわ」と語る。
「赤福餅も嬉しいけどね。もらう側なんだし、持ってきてくれた気持ちに感謝するわけなんだから、こっちがケチつける内容じゃないと思うけど。
『とらやの羊羹』って崩れにくいし、ビジネス面でもちゃんとした場面で渡されることがほとんどなので、『大切に思われているんだ』と感じるよ。
あとは駐在員の多くは筋トレにハマりがちで、運動後のエネルギー補給として羊羹が好まれることが多いから、私ももらったことがあるけれど1ミリたりとも残念な気持ちにはならなかった」
夫がエネルギー系企業に勤め、ともにアジア圏の首都へ渡った30代女性は、投稿主の駐在妻の現状について次のように推測した。
「投稿主のようなマウントをとりがちな妻ってけっこういますよ。例えば、旦那がどこの会社に勤めているかやマンションが何階にあるとか。さらには行き帰りの飛行機がビジネスクラスかどうかや、会社から用意される現地の送迎の車がアルファードかどうかとかまで気にする。
生きてる世界が狭いというか、生活の範囲が限られているから仕方ないですよね。現地に馴染めず友達ができずSNSばかりみている駐在妻もよく見かけますよ」
駐在妻にも庶民にはわからない苦労があるのかもしれないが、今回の騒動を「虎屋」や「赤福」はどう受け止めているのか――。
株式会社虎屋に質問を送ったところ、メールにて以下のような高級感が漂う回答が返ってきた。
「この度はご連絡いただき、誠にありがとうございます。お問い合わせいただいた件につきましては、回答は差し控えたく存じますが、多くの皆様に弊社の羊羹をご愛顧いただいておりますこと、大変ありがたく受け止めております。
これからも『おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く』という理念のもと、皆様にご満足いただける菓子とサービスの提供に努めてまいります」
また、“巻き込まれ事故”にあった赤福餅を販売する株式会社赤福(三重県伊勢市)は、「大変申し訳ございませんが、ご回答は差し控えさせていただきます」と電話で丁寧なお断りをちょうだいした。
歴史ある伝統和菓子料理の名門店は、炎上の対応も品位あふれるものだった。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班