
買い物中に店員と会話を交わす。日本なら何も問題ない場面でも、海外旅行中に英語で自信をもって話せる人はそう多くはないだろう。
実際は、海外と日本で繰り広げられる会話はそれほど変わらない。基本パターンを知っていれば、英語での買い物も予測しながら対応できるようになる。スピーキング指導、コミュニケーション論など「英語で話すこと」を実践的に分析してきた高橋まきさんの著書『中学英語でけっこう話せます』から、一部抜粋・再構成してお届けする。
大きく2タイプに分かれる
お店やレストランでのやり取りを見てみましょう。ある程度、話されることは、予測できます。なぜかといえば、
・ただ入ってみただけの時(買う/食べるつもりがない)
・何か買いたい(食べたい)物がある時
大きくこの2タイプに分けられるからです。それぞれどのようなやり取りが行われるのか、ひとつずつ、見ていきましょう。意識しておいて欲しいのは、ショッピングの場合でも日本と海外で繰り広げられる会話はそれほど変わらないということです。
ただ見る(入る)だけの時
Hello,welcome to XX(お店の名前)。
いらっしゃいませ。XXにようこそ
Hello.
こんにちは
【ワンポイント!】無言でなくて、あいさつしましょう。時間に合わせて、Good morning,good afternoonもOK。
How are you today? How may I help you? Are you looking for something?
今日はご機嫌いかがですか。何かお手伝いできることがありますか。
【ワンポイント!】すぐに販売の話に入らず、このように挨拶などを入れてくる時もあります。
I’m fine,thank you. Now I’m just looking.
おかげさまで元気です。今は見ているだけです。
【ワンポイント!】見ているだけ、と言うと、放っておいてくれます。
I see. If you need anything,please let me know.
そうですか。もし何が必要なことがあれば、お知らせください。
Thank you.
ありがとうございます。
【ワンポイント!】たとえ買わなくてもお礼は言いましょう。
「なんとなく見ているだけ」の意思を伝えるのが大切
いかがでしょう。文章だけ見ていると、日本も海外も変わりない感じがしませんか? もちろん、海外と日本では接客の丁寧さに違いはありますが、話す内容は上記のように同じようなものです。
大切なことは、I’m fine(okay). I’m just looking.というふうに、「なんとなく見ているだけです」という意思を伝えることです。
日本で同じようなシチュエーションが起こると、お客さんのあなたは「あ、どうも」「ありがとうございます」などと言いながら、店員さんを避ける素振りをすると思います。店員さんのほうも空気を察して、「このお客さんは見ているだけかな」と接客をストップしてくれることでしょう。
「空気を読み合う」日本人同士とは違う
しかし、それは「空気を読み合う」ハイコンテクストカルチャーにいる日本人同士だからできることです。海外の店員さんに、そんな空気を読む芸当はできません。むしろ、ありがとうと言われたら、どんどん話しかけてくるかもしれません。ですからI’m just looking.などと意思表明することがとても大切なのです。
また、店員さんがよく口にする言葉としてlet me know(知らせてください)があります。そのフレーズが出てきたら、「ただウインドウショッピングをしているだけ」という意思が伝わったと考えていいでしょう。会話成功です。
また、お店を何も買わずに出る時も、店員さんと目があったら、Thank you.と言うと感じがいいです。昔、私がにこにこしながら言ったら、クーポン券や小さなお土産などをくださった店員さんもいました。
何か買いたい(食べたい)物がある時
ショッピングしていて欲しい服や靴、帽子などが見つかることがあります。日本だと気軽に試着できますが、海外だと少しハードルが高く感じられますよね。
でも大丈夫です。あなたが試着してから決めたい派であれば、試着できるか、次のように聞いてみましょう。ポイントはtry(試す)という単語を使えるかどうか、だけです。
意外と「fitting」と言う人はいる
そんな簡単なことわかっているよ、と思われるかもしれません。しかし意外と日本語の「フィッティングルーム」で覚えているので、fittingを連呼してしまう方がいると聞いたことがあります。
fittingやfitはそれだけを直訳すると「適している」「ぴったりである」といった意味を持っているので、ネイティブからすると「サイズがぴったりだから欲しがっているのかな?」という感じに聞こえる可能性もあります。ですから、tryをうまく使いこなしましょう。それ以外は日本とあまり変わりません。
どこでも使えるフレーズを覚えておこう
Hello. How may I help you?
こんにちは。お手伝いできることがありますか?
I would like to try the shoes. Could I try them?
この靴を試し履きしたいです。試してもいいですか?
【ワンポイント!】靴は左右で一組なのでpairを使います。May I ~にするとより丁寧になります。
Sure / Certainly. You could try them here. Please have a seat.
はいどうぞ。ここで試せます。ここに座ってください。
① そのままでOKだった場合
They fit. I will take this pair.
ぴったりです。これを買います。
② サイズが大きかった場合
Oh,they are too loose / big.
この靴は緩すぎ・大きすぎます。
Do you have anything smaller?
小さいサイズのはないですか?
【ワンポイント!】簡単にSmaller ones? だけでも通じます。
③ サイズが小さかった場合
Oh, they are too tight.
この靴はきつすぎます。
Do you have anything bigger?
大きいサイズのはないですか?
【ワンポイント!】同じくBigger ones?でも通じます。上がり調子で言ってください。
ここでも登場したDo you have~?(~はありますか?)やCould / May I have~?(~をいただけますか?)は、ショップやレストランでとってもよく使える最強のフレーズです。
本書のタイトル『中学英語でけっこう話せます。』のとおりで、このフレーズだけで海外旅行はたいてい乗り切れると言っても過言ではないでしょう(笑)。
「I want to~」を使うよりも効果的な理由
よく英語初級者の方に見られるのは、何か欲しい時にI want to~でお話しされているケースです。もちろんそれでも良いのですが、それは日本人にありがちな「察してほしい」成分が若干含まれた表現です。
一方でDo you have~,Could / May I have~を使うと、お店のスタッフさんが自分に何を求められているかが明確になるため、相手の対応や表情がガラリと変わってくるでしょう。接客がイキイキとしてくるはずです。
また、試着のポイントになるtryをあわせて使えば、
Could / May I try different colors?
違う色を試せますか?
といった、まるでネイティブが話しているようなこなれたフレーズすら使えるようになります。
簡単な英語でも早口で言われるとわからないことも
また、お会計をする時はたいていの場合こう聞かれます。
Cash or credit?(【お支払いは】現金とクレジットカード、どちらですか?)
一見すると、まさに中学英語といった簡単なフレーズですが、けっして侮ってはいけません。かなり早口で言われることが多いので、初級者の方は、「え? え?」と戸惑ってしまうこともあると思います。
同様に、マクドナルドやスターバックスのような飲食系のショップの場合、かなり早口で店員さんからこう言われることがあります。
Here or To go?
店内と持ち帰り、どちらですか?
「テイクアウト」というのは和製英語で、持ち帰りは英語で「To go」と言います。これ、海外旅行あるあるですが、かなり早口で言われるケースが多いので、知っていないと最初は聞き取れません。「ヒットゥゴー」とサッと言われる印象です。簡単な単語とは言え、あなどれませんね。ただ、知っておけば余裕を持って対応できますので覚えておいてください。
写真/shutterstock
中学英語でけっこう話せます。
高橋まき
「え? この英語力で話せるの!?」
──はい、話せるんです。
ネイティブにも話し方を教えてきた
「コミュニケーションの先生」が
すでに知ってる単語を
【とっさに使える神フレーズ】に
変えるコツを伝授!
・道で困っている旅行者に声をかけてみたい
・海外旅行をガイドさんなしでも自由に楽しみたい
・ボランティアとして外国人に接してみたい
長年、【英語が話せる人】になりたいと憧れてきたのに
「言葉がスッとは出てこない」
「単語が思い出せない……」
「文法も発音も、自信がない……」
なぜか日本人には尻込みする人が、とても多いもの。
そんな方こそ、この事実を知ってください!
「英語を話すために必要な知識は
すでに十分、あなたは持っています──」
そう、英会話なんて全然ムリ! と思っているあなたでも、
中学で英語を学んでいれば、
じつはもう“話せる側”に入っているんです。
そう言われても、信じられないかもしれませんが、
たとえば!
魔法のフレーズ「Like this(こんなふうに)」を使えば、
いろんな単語をスッと思い出せなくても
「道案内」から「ショッピング」まで、
堂々と英語で会話が続けられます!
日本人が英語を話せないのは、
勉強が足りてないのではなく、
ただ「本当の使い方を教わっていない」から。
本書は、アメリカ生活18年&英語指導歴4000人、
日本人がつまずくポイントを知り尽くした著者だからこそ書けた、
「英語が話せない理由」から抜け出す、超実践的なメソッドです!
「中学英語でも、けっこう話せた」
そう思える日が、もうすぐやってきます。
***目次より***
【リスニング編】
第1章 単語をたくさん覚えなくてもいい
第2章 口で話さなくてもいい
第3章 お行儀よく聞かなくていい
第4章 英語は全部聞き取らなくていい
第5章 1回でわからなくていい
第6章 スラッシュリスニングに挑戦しよう
第7章 海外は非日常と思わなくていい
【スピーキング編】
第8章 英語を話せる場所を見つける
第9章 「1回で伝わらない」を恐れなくていい
第10章 話したいことは「細切れ」で言えばいい
第11章 相手に話を盛り上げてもらえばいい
第12章 「受け身」を使わなくていい
第13章 英会話中でも「あなたはあなたのまま」でいい