
最近Xで連日トレンドとなった「平成1桁ガチババア」という言葉をご存じだろうか。これは平成元年から平成9年生まれの、主に女性たちの間で流行しているトレンド。
今回「平成一桁ガチババア」を自認する3名に、当時流行した懐かしの(もしくは、なぜ流行ったのかちょっと謎な)平成カルチャーについて聞いてみた。
デコメの絵文字で容量がいっぱいになっていたフォルダ、“プリ画像”は必須サイト
最初に話を聞いたのは、平成9年生まれのカコさん(仮名)。現在、空前の平成ブームにより、あらゆる平成グッズが復刻しているが、カコさんは懐かしのグッズに今も夢中になっているという。
「現在セボンスター(プラスチック製のビジューの付いたネックレス)を、小学生ぶりにめちゃくちゃ集めています。当時、結構ハマっていたんですけど、いまは『大人のセボンスター』っていう本物のジュエリーでできたネックレスなんかも売られていて……。
観賞用にボックスに入れて管理するほど好きなんです。ああいうキラキラした宝石みたいな物って、小学生のときはすごく惹かれていましたね」(カコさん)
さらに、カコさんにはもう一つハマっている懐かしのグッズがあるそうだ。
「“たまごっち”はみんな持っていました。2~3台くらいジャラジャラ持ち歩いている子もいて、『いいな~』って思った記憶があります(笑)。いまも持っていて、必死に“たまご”を育てていますよ」(カコさん)
「あとは、小学生当時ハマっていたPCゲームで『トゥーンタウン・オンライン』(ディズニーキャラクターのオンラインゲーム)っていうものがありました。友人たちと通信して楽しんでいましたね」(カコさん)
では、カコさんが中学生から高校生の時には何にハマっていたのか聞いてみた。
「中学生から高校生のころは『mixi』(株式会社MIXIが運営するSNS)を結構やっていました。
さらに“ガラケー”ならではのこんな思い出もあるという。
「中学生のときは、デコメ(デコレーションメール)を送るのが流行っていて、メールをデコレーションするための素材(絵文字や画像)を“プリ画像”っていうサイトで集めていたのを思い出しました。いちいちかわいい絵文字を保存して、メールに張り付けていたので、フォルダが絵文字だらけになってしまうんです(笑)。
いま考えると“メールをデコレーションする”って概念自体が謎だし、別に意味ないよなって思いますけど……。当時はそこで自分のセンスやオリジナリティを出すみたいな雰囲気があったんですよね」(カコさん)
“ワンセグテレビ”でお気に入りドラマを視聴しながら下校していた学生時代
続いて話を聞いたのは、平成9年生まれのハナさん(仮名)。ハナさんは中学生から高校生まで韓国カルチャーに特にハマっていたそうだ。
「当時は『少女時代』とか『KARA(カラ)』といったグループが流行っていて、私もそのころくらいからKPOPをはじめ、韓国カルチャーにハマり始めました。K-POP好きの間では、アイドルの名前やグループ名が入った名札をスクールバッグにつけるのが流行りでしたよ。
あとは、韓国コスメですね。『水ティント』っていう水のようなテクスチャのリップが話題になっていて、私も買ったんですけど、唇の内側にしか着色しないし、つけてしばらく経つと結構パサついて唇の皮が浮いてきて……(笑)。
いま発売されている韓国コスメのリップよりは全然クオリティ低かったと思うんですけど、当時は“唇の皮がめくれるまでがセットだよね”って感じで認識していて、なぜかリピートしていました」(ハナさん)
さらにこんな思い出も語ってくれた。
「夕方あたりの時間に、韓国ドラマがテレビで再放送していて、それを楽しみにしていました。学校帰りの時間だったので、当時使っていたガラケーの“ワンセグテレビ”を使って再放送のドラマを観ながら下校していたんです。
いまの時代、切り取り動画とか、配信番組とかが主流ですけど、あの当時の“リアタイ視聴”(リアルタイムで番組を視聴する)って、よく考えると、その時にしか観られないっていう尊さみたいなものを感じるかも……」(ハナさん)
韓国カルチャー以外に、ハナさんが謎だったと感じる平成カルチャーがあるそうだ。
「小学生の時、“変なパロディ画像集め”をよくしていて、友だち同士でその謎な画像を赤外線通信で共有するのがブームでした(笑)。 例えば、アンパンマンのパロディ動画とか、棒人間のパロディムービーとかがあったんですよね。
あとは、“誰かに転送しないと不幸になる”みたいな内容のチェーンメールも流行りましたね。怖い画像とか、ビックリ系のGIFとか謎にみんな持っていました(笑)」(ハナさん)
“原宿系女子”がハマっていた、少しマニアックな平成グッズは?
最後に話を聞いたのは、平成8年生まれのエミさん(仮名)。エミさんは中学生当時、“原宿系ファッション”にドハマりしていたそう。そんなエミさんはどんなものに熱中していたのか。
「私は『SWIMMER(スイマー)』っていう雑貨屋さんによく通って、ペンケースやお弁当箱なんかを揃えていました。ファンシーで“夢かわいい”世界観が、めちゃくちゃ当時の私に刺さったんですよね。
そのころちょうど、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅちゃんがデビューしていて、そういう世界観が好きだったんです。スイマーの厚底スニーカーもめちゃくちゃ愛用していました!
あと雑貨屋といえば、原宿には昔はいろんなところがあって、雑貨屋巡りが趣味でしたね。いまはもう閉店してしまったんですけど『文化屋雑貨店』というお店とか。
あと小学生のときは『サン宝石』っていう通販型の雑貨ショップがあって、毎月届くカタログを見るのが楽しみでした(笑)。友だちとお揃いでつけられるペアネックレスを買って、親友にプレゼントした思い出があります」(エミさん)
さらに当時の原宿ではこんなアイテムも流行っていたんだとか。
「原宿にある『NADIA』っていうアパレルのお店のバッグが大好きで、何種類も持っていました。このNADIAのロゴバックとアメアパ(アメリカの衣料品メーカーであるアメリカンアパレルの略称)のいろんな国の都市名が羅列したバッグは、原宿で見かけない日はなかったくらい流行っていましたよ。わかる人には絶対わかると思います(笑)」(エミさん)
――今回紹介した“平成1桁女性”たちの語るカルチャーのなかに共感できるものはあっただろうか? ネットですぐに最新情報が手に入り、流行り廃りが目まぐるしく変わる現代だからこそ、平成ならではのアナログさや華やかさがウケているのかもしれない。
取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio