「ずっと大好き、信じて待ってる」闘病公表のLUNA SEA真矢のため、秦野市がメッセージボックスを設置 役所担当者が語る経緯と想い
「ずっと大好き、信じて待ってる」闘病公表のLUNA SEA真矢のため、秦野市がメッセージボックスを設置 役所担当者が語る経緯と想い

人気ロックバンド「LUNA SEA」のドラマーで、神奈川県秦野市の「はだのふるさと大使」を務める真矢が、9月8日に自身のがん、脳腫瘍との闘病を公表した。地元・秦野市では応援メッセージを募る取り組みを開始。

観光案内所や市役所に設置されたボックスには、市民の驚きや励ましの声が次々と寄せられている。

秦野市から真矢へファンのメッセージ

秦野駅のすぐ近くにある観光案内所。その入口横に設置された投函ボックスを訪れると、この日もファンがメッセージを書いていた。2020年から大腸がんのステージ4と闘い、さらに新たに脳腫瘍の診断も受けたと公表した真矢に、応援の声を届けようと市が動いている。

メッセージを投函しに訪れた40代の秦野市在住の女性はこう話す。

「真矢さんはドラマーでもありますが、太鼓も小さな頃からやっていて、私も小学校のころから同じように太鼓をやっていて、しかも中学校が同じなんです。だからすごい身近な感じで、今回メッセージを送りたいなって思いました。私の友達もすごいファンで、今も電話で『今から書きに行くね』って話していたところなんです」

LUNA SEAのメンバーは、ボーカルのRYUICHIを除く4人が秦野市出身。真矢とギターのSUGIZOは高校の同級生で、ベースのJとギターのINORANは子どものころからの幼馴染だ。今回インタビューした女性の友人は、INORANの弟と今もバンドを組んでいるという。秦野市とバンドとの近さを感じさせるエピソードである。

また、別の40代女性は「秦野で生まれて、今は別のところに住んでいるんですが、今回これを書きに秦野まで来ました」と話した。

「学生の頃にLUNA SEAを知って、そこからライブもよく行っています。

2月の東京ドーム公演とか、節目のライブには必ず行ってきました。今回病状を知って、率直にびっくりしました。あの東京ドームでも隠してやっていたなんて全然思えなかった。本当にすごいパフォーマンスでした」

真矢に何と伝えたいか尋ねると、彼女は「ずっと大好きです。信じて待ってるのでゆっくり休んでください」と答えてくれた。

メッセージボックスを見守る観光案内所のスタッフも、日々の反響を感じ取っている。

「メッセージを書きに来るみなさんと詳しく話すわけではないのですが、県外からもわざわざ来てくれている人が多く見られます」

LUNA SEAが秦野駅の駅メロに?

秦野市にとって真矢はやはり身近な存在であり、市と密接なスターであることを改めて実感する。

「本当に町のど真ん中のにぎやかな場所で育ったと聞いています。それでこの街を愛してくれているんだなと。なかなかあそこまで有名になると、地元に目を向けてくださる方っていない。嬉しいですし、誇りですね」

今回、応援メッセージの設置を決めたのは秦野市役所だ。広報広聴課の担当者に経緯を聞いた。

「真矢さんには2年前に『はだのふるさと大使』に就任していただいてから、いろんな市のイベントに出演していただいています。

また、一昨年から今年にかけて3年連続で『秦野たばこ祭』には100万円を寄贈してくださっています。

出演料も度外視して、市のPRになることに協力したいという思いを強く感じており、なにかこちらでもできることはないかと思い、メッセージボックスを設置しました」

ボックスを設置してからは「こういうことを企画してくれてありがとう」という感謝の声や、「遠方なので電子でも受け付けてほしい」という要望も届いているという。

真矢と秦野市の印象的なエピソードを尋ねると、昨年のたばこ祭での出来事が語られた。真矢がXで「市役所前にいます」と発信すると、すぐに役所の前に長蛇の列ができたという。

そのとき、真矢はファン一人ひとりに丁寧にあいさつを交わしていた。

「あんなに大きなバンドで、雲の上のような存在なのに、実際に会うと人柄が温かくて親しみがあります。ファンの方をとても大事にしてくださっているのが伝わりました」

秦野市では昨年から「秦野駅の発車メロディをLUNA SEAに」という署名活動も広がっている。秦野駅周辺の住民有志が中心となり、2024年10月10日に実行委員会を結成。今年4月には集まった署名を市役所に届けることに成功した。

今年は車いすで祭りに参加予定

この進捗状況について職員は「署名をいただいて、現在、協議を進めています。いつ頃が開始の時期になるのかまだわかりませんが、実現に向けてしっかり動いています」と語った。

9月27日・28日に行われる「第78回秦野たばこ祭」では、集まったメッセージが掲示される予定だ。

真矢は今年の祭に車いすでの参加を表明している。

市民の声と行政の思いが重なって集まるメッセージ。そのひとつひとつが、闘病を続ける真矢にとって何よりの力になるに違いない。

取材・文・撮影/ライター神山

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