
会員数が135万人を超えているchocoZAP(チョコザップ)。月額制のジムでありながら、「セルフ美容(エステ・脱毛)」「カラオケ」「ランドリー」など、ジムの枠を超えたサービスを展開してきた。
chocoZAP会員なら年1回無料で人間ドック
chocoZAPメディカルのMini人間ドックは、chocoZAP会員向けに提供される健康チェックサービス。年1回を上限に予約枠の中で受診でき、料金は月額会費3,278円(税込)に含まれている。現在は新宿の提携医療機関のみで受検可能だ。
検査は「MRI(頭部)」「CT(胸部または腹部)」「エコー(乳腺または腹部)」の3種類から1つを選べる。通常なら数万円かかる高額な検査であり、症状がなければ受けにくいものだが、会員なら追加料金なしで利用できるため、受検のハードルは大きく下がる。
低価格で提供できる背景には、chocoZAPが培ってきた運営ノウハウがある。来院後は無人受付で手続きを済ませ、そのまま検査を受けて帰れるシンプルな流れ。会員制のジムと同じ仕組みで運営側の人件費を削減、さらに既存会員にサービスを提供することで新たな集客コストも発生しない。
導入されているMRIやCTは大規模クリニックでも用いられる本格的な機器だが、医療の質に直結しない部分を効率化することで、検査や診断のレベルは変わらず低コストでのサービスの提供を実現しているというわけだ。
ジム感覚でサクッと行ける
筆者もMini人間ドックを実際に体験してみた。
受検の流れはシンプルだ。
その後、メールで「予約のお知らせ」と「受付用QRコード」が届く。当日は会場に行き、指定時間に無人受付機でQRコードをかざすと番号札が発行され、少し待つとスタッフが案内してくれる。保険証の提示など面倒な手続きもなく、受付は驚くほどスムーズだ。
頭部MRIを受けてみると、スタッフの対応も丁寧で、「耳せん、ちょっと入りにくいですよね」といった優しい声かけもあり、安心感があった。検査が終わればそのまま帰宅可能で、病院特有の長い待ち時間はない。
受付から帰宅までの時間は、20分が目安。会社が近ければ昼休みや仕事終わりにも立ち寄れるし、土日や夜22時まで利用できるので、忙しくて時間がとれない人にも通いやすい。人間ドックと聞くと構えてしまうが、実際はかなり気軽に“ジム感覚”で利用できる。
検査結果のレポートは数週間後に郵送される。異常がなければそこで終了だが、もし所見が見つかればchocoZAPで診察を受けられる。診察には健康保険が適用されるほか、必要に応じて紹介状の発行や薬の処方、生活習慣のアドバイスまで提供してくれる。
検査だけで終わらず、アフターサービスまで整っているのは心強い。
専業主婦にがんが見つかった事例も
2024年4月にスタートした「chocoZAPメディカル」のMini人間ドックは、この1年間で延べ21,518人が受検。そのうち約7割はCT・MRIなどの高度画像診断を受けたことがなかった人たちだ。
chocoZAPメディカルクリニックの院長・木村祐子氏によれば、「自分には所見がないだろう」と思っていた人でも、実際には5人に1人の割合でなんらかの所見が見つかっているという。
「50代の専業主婦の女性がCTを受けて肺がんが見つかったことがありました。きっかけは『普段は健康診断を受ける機会がなく、元気だから大丈夫だと思っていたけれど、無料なら一度試してみようと思った』というものでした。
聞けばご自身は煙草を吸わないものの、長年一緒に生活するご主人がヘビースモーカーとのこと。このケースは意外に多いのです。紹介先の大学病院で精密検査と治療を受け、半年後には治療を終えて元気になったと報告がありました。
検査で多く見つかるのは、頭部MRIでは40~50代男性の“隠れ脳梗塞”。胸部・腹部CTでは脂肪肝が圧倒的に多く、とくに40代以降で目立つ。
さらに、胆石や尿路結石、胸部CTでの肺炎といった例もある。乳腺エコーでは30~40代女性の有所見者が多く、乳がんの罹患傾向とも似ている。
サービス開始からわずか1年で、重大な疾患の早期発見につながった事例も報告されているchocoZAPのMini人間ドック。
ジムで手軽に受けられるこの仕組みは、新しい健康インフラとして今後さらに広がっていくか注目していきたい。
取材・文/福永太郎