ステマ問題の進次郎氏、総裁選まさかの逃げ切り!?「地方の高齢層は “SNS”と言われてもピンとこない」投票ハガキも大半がすでに提出済み?「茂木さんの子ども食堂訪問だって“ヤラセ的”でしょ」
ステマ問題の進次郎氏、総裁選まさかの逃げ切り!?「地方の高齢層は “SNS”と言われてもピンとこない」投票ハガキも大半がすでに提出済み?「茂木さんの子ども食堂訪問だって“ヤラセ的”でしょ」

10月4日に投開票を控える自民党総裁選が、佳境を迎えている。読売新聞オンラインの9月28日の報道によれば、議員票では小泉進次郎農相(44)と高市早苗前経済安保相(64)が先行し、林芳正官房長官(64)が追う展開となっている。

有力な三人だが、それぞれに課題を抱えているのも確かだ――。 

SNSと政治は切り離せない関係だが…

「知らなかったとはいえ、申し訳ない。最終的な責任は私にある」

小泉氏は9月26日の閣議後会見で、「週刊文春」が報じた“ステマ問題”についてこう謝罪した。小泉選対の「総務・広報班」班長だった牧島かれん元デジタル相(48)の事務所が、動画配信サイト上で、小泉氏には擁護のいっぽうで、他候補には中傷するような内容のコメントをするように、陣営関係者に依頼していた問題だ。

ヤラセであることを隠してコメントする行為は、“ステルスマーケティング”的な手法であり、「選挙の公平性を害する」として批判を呼んでいる。牧島氏は辞任したが、小泉氏はその後も、この問題についての謝罪を余儀なくされている。

あまりにお粗末だったが、総裁選に関わっている自民党のベテラン秘書は「各陣営とも濃淡はあれども、ネット戦略に注力している」と明かし、「小泉氏は大規模なネット会社を使っていると聞いていたが、牧島事務所がやからした。こんなボロが出るとは……」と指摘した。

振り返ると、昨年の総裁選では、高市陣営に、選挙プランナーの故・藤川晋之助氏が支援に入っていた。

藤川氏は都知事選で、元安芸高田市長の石丸伸二氏の選対事務局長を務め、ネット戦略と積極的な街頭活動を組み合わせ、初出馬ながら2位に導き、「選挙の神様」と言われた人物である。

その藤川氏は昨年9月17日に掲載された「産経新聞」電子版で、高市氏支援を明かし、「選挙参謀ではないが、告示前から陣営にアドバイスしている。SNSや動画投稿サイトの部隊を動員するなどして党員・党友票(地方票)の獲得に取り組んでいる」と明かしていた。

藤川氏は今年3月に急逝されたが、「今回も高市陣営や林陣営にはそれなりの専門家がいます」(前出・ベテラン秘書)という。

今年7月の参院選で、参政党や国民民主党などネット戦略に長けているといわれる政党が躍進したように、もはやSNSと政治は切り離せない関係だ。

ただし、当然ながら、今回の小泉陣営のように、ステルスマーケティングまがいの“汚い手”を使えば、逆効果になりかねず、諸刃の剣といえる。

それでも、進次郎氏を支援する自民議員は楽観的に見ている。

「自民党員は、地方の高齢層が多いから、“ステマ問題”や“SNS”と言われも、今ひとつピンときてないのが実情ではないか。これで高市氏に風が吹くことはないだろう」

今回の総裁選で投票権を持つ自民党員は約91万人だが、これは昨年9月時点の105万人超と比べ、13%も減少している。新規党員が少なく、高齢化が進んでいるとの指摘もある。

9月22日の告示直後に投票ハガキが発送され、郵便の締め切りは10月3日までだが、「届いたらすぐ出す人が多い」(同前)という。こうした中で、ステマ問題から充分に“逃げ切り”が可能というわけだ。

“政界の119”は「“頭の高いところ”が出てしまった」

別の自民党ベテラン議員も「やらせを言い出したら、茂木敏充元幹事長(69)の突然の子ども食堂訪問だって、“ヤラセ的”でしょう。やはり、所見発表演説会で奈良の鹿問題について語った高市氏への警戒感の方が自民党内でも強い。ただ、“高市批判”をすると、ネット上で叩かれるのでみんな表立って言わないだけ」と語る。 

小泉、高市氏を追う形の林氏にしてみても、9月18日のインターネット番組・Abema Primeで「石破退陣は必定」「(石破政権の2万円現金給付案は)私だったらやらなかった」「首相報酬は安い」などと発言。

官房長官として石破茂総理(68)の“女房役”だったにも関わらず、容赦ない発言をしている。

閣僚経験が豊富で“政界の119”として安定感のある答弁がウリだったはずが、「名家出身でエリートな林さんは、“頭の高いところ”があると言われてきた。それが出てしまった」(林氏周辺)。

元大蔵相の父を持ち、地元でグループ企業を経営する名家に生まれた林氏は、出身母体の旧宏池会を中心に議員票を積み上げている。ただ、「意外と側近は見当たらず、親戚にあたるという1年生議員の広瀬建衆院議員がせっせと働いている印象」(同前)という。

また、旧宏池会の領袖・岸田文雄元総理(68)とも、「今ひとつソリがあわない」(同前)のも懸念材料だ。

こうした中で、前述の読売新聞の報道によれば、国会議員では、小泉氏支持が71人、林氏が52人、高市氏が38人という結果だった。さらに9月27~28日に行われた調査によれば、自民支持層のうち「党員・党友」と答えた519人のなかで、もっとも支持が多かったのが小泉氏で41%、続いて高市氏28%、林氏13%だったという。

高市氏が議員票を積み増すには、麻生派の組織的支援が不可欠だが、小泉氏選対関係者は「麻生(太郎)さんも、再び非主流派になるリスクを背負ってまで、前回のように高市さんに“全乗り”することはないだろう」と見ている。

自民党の参院ベテランも「参院票も現状では、小泉が35、林が30前後、高市票は20ちょっとというところだろう」と指摘する。

果たして、小泉氏の“逃げ切り”となるのか――。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

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