
2013年、54歳のときにセクシー男優を引退したゴールドフィンガーの持ち主・加藤鷹(66歳)。引退後は香港などアジア圏での活動を広げ、現在はタレント業やコンサル業などで活躍。
売れっ子すぎて妻や子どもらとはすれ違いの生活だった
28歳で秋田から上京し、セクシー男優としてデビューした加藤鷹氏。「仕事は選ばない」主義で1996年には成人誌「オレンジ通信」の男優賞や1998年の「第8回東京スポーツ映画大賞主演AV男優賞」を受賞するなどトップに上り詰める。
セクシー女優との浮名は樹まり子との交際が「FRIDAY」などで報じられるが、結婚し3人の子をもうけたのは同じく元セクシー女優の麻生早苗だった。
「当時だと、男優と女優の恋愛は御法度なんて風潮もあったかもしれないけど、俺はそんなことは気にしなかった。だからって誰とでも恋愛するわけじゃないし一般的な男女が惹かれ合うように、まり子とも元妻ともプライベートで交際し同棲した。
まり子と結婚に至らなかったのは単純に子どもに恵まれなかったから。元妻は一度、流産してしまったけど、それをきっかけに結婚し、その後、すぐに長男が産まれました」
早苗氏は結婚するときにはすでに女優業を引退していたが、鷹氏は男優業を続行。そこには抵抗感はなかったのかと問うと「ない」と断言。
「昭和一桁生まれの警察官の父親のもとで育った俺ですが、20代前半までは悪いことばかりしていた時期もある。
その後、2歳下の長女、3歳下の次女と子どもが生まれるが、当時の鷹氏は月に30本以上もの作品に出演。昼に家を出て深夜まで帰れないなど、妻や子どもらとはすれ違いの生活が続いた。だが卒園式など大事な子どもの門出の場には出席した。
「妻は息子のサッカークラブの活動につきっきりだったから、娘2人の参観や卒園式などは出ましたよ。周囲の目ですか? もちろん「あ、加藤鷹」みたいな父親からの視線は当然ありました。でも、まあ当時の居住エリアは一応、それなりに治安のいい閑静な住宅街ですから、変に声かけてくるような父兄も先生もいませんでしたよ」
子どもたちとの時間は少なかったが、要所での関わりは大事にしたという。
「男親は余計なことは言わず稼ぐことが第一で、妻や子どもに何か問題があった際、要所でできる行動を取ろうと思っていました。長男が小学生の時、一度だけ『学校に行きたくない』と言ったことがあった。何の理由かはくわしく聞かなかったけど『学校は勉強だけしに行く場所じゃない。お前が来なかったら友だちが心配するかもよ』と言ったら納得したのか登校したんです。下校後に『行ってどうだった』と聞いたら『よかった。
UCLA卒の長女に放った加藤鷹の名言
鷹氏は一貫して「勉強しなさい」は一言も言ったことがないそうだ。
「ただ長男には3歳の時から空手をやらせてて、礼節や謙虚さを体感してもらいたかった。俺は勉強に関しては『勉強より大事なことがある』とだけ言いました。
UCLAを卒業した長女は、医薬品メーカーに就職しましたが、今回『子育て論』の取材を受けることになったから俺に一番懐いてる長女に聞いたんですよ。俺から言われた言葉で何か印象に残ってる言葉あるかって。そしたら『頭は帽子をかぶるためにあるんじゃない。使うためだ』って言葉らしいです。適当でしょ?(笑)」
鷹氏は「長男には厳しくしたが、娘はただただ可愛がった」のだという。妻からは「長男に厳しく当たらないで」と言われたこともあるようだ。
「妻からしたら長男は余計に可愛かったのもあったろう。中学校に入り、息子に本格的にサッカーをやらせたいという妻と、空手は続けさせたかった俺がいて、もちろんそこで俺は妻の意思を優先するんですが、それ以降、教育方針でぶつかることはあったように思います」
その後、2011年に妻より「仕事と子ども、どちらを取るか」という究極の選択を迫られると同時に「離婚」を突きつけられた。
「俺にはその選択肢でいえば仕事しか取りようがないから。
元妻も俺への父親としての信頼を失ったわけじゃなかったろうから、元妻から日本時間の夜中に、すっごいくだらないことで相談の電話がきたときは驚きましたよ(笑)」
そんな時間もはばからず電話相談をしてきた“くだらないこと”とは何事か。
「いやー。息子の部屋を開けたらちょうど自慰行為中だったと。無言でドアを閉めたけど、この後どう対処すればいい?って。いやいや対処は不要だと。何事もなかったように接しなさいと。
世の奥様方にもお伝えしたい。息子の自慰を目撃したら間違っても『見てごめん』は言わないように。かえって傷つきますから。ガン無視でお願いします(笑)」
現在、鷹氏は都内で一人暮らしだが、娘らが彼氏を連れて遊びに来ることもあるし、昨年は元妻の親族の葬儀にも参列したようだ。
「そのとき、ひさびさに元妻側の親族ともお会いできて『元気でよかった』なんてお互い言い合いまして。
66歳にしてアジア移住を計画しているという加藤鷹。後編ではその移住先での今後について聞く。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班