
2013年にセクシー業界を引退した加藤鷹。その後は日本の表舞台で見かけることは少なくなったが、それとは反してアジア圏での彼の認知は広がっていた。
月に1回は台湾と日本を行ったり来たりの生活
『秘技伝授』は成人ビデオメーカーが売り出したシリーズで、加藤鷹氏のゴールドフィンガーたる「指のテクニック」を伝授するための性教育に近いビデオであった。
国内ではビデオだけでなく書籍としても発売され、それらは主にアジアで海賊版が広がり、加藤鷹は「Jiāténg Yīng(ジャー・タンイン)」、ゴールドフィンガーは「金手指(ジンヨウジー)」という名前で認知されている。
「日本では避妊具のテレビCMなんてあり得ないけど、香港だけでなく海外では夜22時以降などは流れるんですよね。
『Durex』っていうイギリス生まれの世界的に有名なコンドームのCMの香港版の契約を結んだこともあるんですけど、それはコンビニの商品パッケージや地下鉄とかバスにも俺の顔つきで宣伝されてるから男性だけでなく女性も『ジャー・タンイン』と『ジンヨウジー』は知れ渡ってるんですよ」
現在、インバウンド客で溢れる東京都内において、鷹氏は日本人よりアジア圏の方から声をかけられることが多いという。
「先日、長女とその彼氏の3人でドンキに行ったら、台湾のワンフー(ファン)が『ジャー・タンイン!』って声かけてきて、娘が『撮りましょうか』って写真撮ってくれましたよ(笑)」
また、もともと台湾ではアダルト規制があったが、コロナ禍で緩和された。それまで最もよく見られている成人動画は日本のセクシー女優の作品だったが、2019年に台湾発のセクシービデオ業界が誕生したのだ。
「『SWAG』は成人向けのライブチャットとして始まりましたが、オリジナルコンテンツとして動画を制作し、現在は会員数が台湾の人口約2300万人の約半分とも言える1200万人を超え、総PV数も2億以上です。
その『SWAG』からも過去にアンバサダー兼プロデューサーに任命されました。今では台湾で最も大きな成人玩具メーカーの『Dr.情趣(チンチュウ)』のCTO(最高技術責任者的な立場)という役職を任されています。それもあって、今では月に1回は台湾と日本を行ったり来たりの生活ですね」
鷹氏が台湾でそんな地位を得ていたとは驚きである。
「2014年の香港映画で『大性豪』という作品です。その後、チャップマン氏は2020年に台湾に移住してますけど、今もテレビやイベントなどでご一緒させてもらっています。
日本での仕事も現時点でなくはないけど、台湾の方が、俺の可能性が広がるなって思ったんですよね。それもあって、早くて来年頃には台湾に移住したいなあと考えています」
「いずれは台湾の保健省に関わる国の仕事がしたい」
ただ、移住となると色々と準備も必要だ。今はさまざまな書類申請や手続きなどに追われているようだ。
「居住権を得るためには現地法人を持たなければいけないので、その準備をしていますね。今はいろんなイベントやテレビに出たりとしていますが、活動は多岐にわたります。
現在、台湾で行われるイベントに日本のグラドルとかをブッキングしたりと、日本と台湾の橋渡し的な役割とかね。あとは男性の下半身のアンチエイジング系クリニックのコンサルティングなどもしてますし」
「いずれは日本でいうところの厚労省的な機関である台湾の保健省に関わる国の仕事がしたい」とまで言い切る鷹氏。
「性教育に関わる仕事をしたいですね。単にエロいコンテンツ作りに関わるのではなく、性に関するテクニック的な話ではなく、そもそも性は人生を豊かにするもので、そのための安全な性とは何かを伝えるような仕事がしたいんです」
とはいえ、鷹氏が名を馳せたゴールドフィンガーこと「金手指」が成せる性的な演出は、いっぽうで現実的な行為ではなく、時に女性の体を傷つけてしまう行為でもある。
「たしかにゴールドフィンガーは僕のように爪をヤスリで研ぎ女性の体を傷つけない指とプロの女優さん相手だから実現できる演出で、あれは真似をするものではありません。
それは確かに成人ビデオの悪影響のひとつであるとも言える。でもひとつだけ言うと、俺はプライベートの行為で指は使いません」
プライベートの「営み」でゴールドフィンガーを封じて、一体どうするというのか。
「やはり女性のあちらは繊細な場であり聖域ですから、指など突っ込む場ではないと個人的には思っています。唇と舌で敬愛の意を伝えることはできるでしょう」
現在66歳の鷹氏、ゴールドフィンガーは使わずともプライベートのお相手はいるのか。
「俺はこう見えて硬い男ですからね。あんまり女性とお付き合いはしないんですけど、離婚後、ひとりだけ付き合った方はいました。その方とお別れして以降は決まった人はいませんね。でも、もちろん自発的に使ってもいますし、ビンビンですよ(笑)。台湾で素敵な女性との出会いに期待します!」
今も現役感ビンビンの鷹氏であった。台湾での活躍に期待したい。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班