
部下の職員とラブホテルに通っていた前橋市の小川晶市長(42)は、2011年に群馬県議に初当選した直後、県議会での初質問で当時の大澤正明知事に対し、『週刊新潮』が報じた「公舎に知人女性を泊めた」という記事について追及していたことが分かった。
小川市長は当時、危機管理上の理由から知事は公舎に住むべきだとも主張。
小川市長は不倫疑惑の前知事に対し「非常に残念」と発言
小川市長は「NEWポストセブン」がラブホ通いを報じた後、妻がいる部下と10回以上行ったと認めながらも不倫は否定した。加えて「誤解を与えるような軽率な行動」だったと謝罪している。
その姿に市の政界関係者は「市長は県議としての初質問が、皮肉にも大澤知事(当時)の不倫スキャンダルだったんですよ。今回彼女がしたことを市長に押し上げた支持者たちはどうみているんでしょう」と話し、顔をゆがめた。
小川市長は弁護士を経て、2011年4月の群馬県議選に初当選。県議を3期務めた後、2024年2月の前橋市長選に連合系組織や共産党による支援を受けて当選した。その小川氏が県議生活を始めた時期に『週刊新潮』が報じたのが、当時の大澤知事の公舎を利用した大胆すぎる不倫疑惑だった。
「2011年7月に再選された大澤氏は初登庁の後、50代の女性とともに公舎へ入り、翌朝まで過ごしたと報じられました。『週刊新潮』は、女性は大澤知事の愛人で前年から少なくとも40回以上、こうしたお泊りを繰り返したと報じました。
この公舎は大澤氏の入居が決まってから外から中が見えないくらい塀を高くし、門のゲートを自動開閉式にする改修がなされました。知事は公舎に週に1、2回しか泊まらず、『ラブホテル代わりに使っていた』とも言われました」(雑誌記者)
ちなみに大澤氏も、「男女関係はなかった」と今回の小川市長と全く同じ弁解をした。「社会福祉法人職員の女性が公舎に事業報告に訪れ、2人とも酒を飲んで寝てしまった」などと主張したのだ。
「当時、県議一年生だった小川市長は、その年の9月の議会で初質疑をしましたが、最初の質問項目が大澤氏の不倫疑惑絡みでした」(市政界関係者)
所属会派「リベラル群馬」の代表として質問した小川市長は、県の男女共同参画基本計画に絡め「(計画を)これから進めていこうという矢先に知事にあのような週刊誌報道があったというのは非常に残念」と切り出した。
そして「群馬県の女性の一部に、男女共同参画を推進していくリーダーである知事に対する不信感のようなものが広がっている」と批判し、この状況でどうやって計画に取り組むのかと大澤氏を責め立てた。
「小川市長は去年も同じようなことやって議会でも注意されている」
さらに小川市長は、大澤氏が不倫疑惑発覚後に公舎を退去したことを問題視。危機管理上の理由を挙げ、「知事が何かあった時にすぐ県政の指揮をとれるような場所にいることは非常に大切」として、知事は県庁そばの公舎に住むべきだと求めた。
これ自体は一見、真っ当な要求ともいえるが、今回小川市長は群⾺県内で「記録的短時間⼤⾬情報」が出た9月10日にラブホテルにこもっている。
小川市長は、前橋市にはその日警報は出ておらず、「何かあればすぐに駆けつけるという対応を取っていた」ため、問題はなかったと主張しているが、「行政トップは有事に備え、役所のそばで暮らせ」と要求をした人物が、警報級の大雨が予想される中で市役所を離れ、ラブホテルにいたことをどう説明できるだろうか。
さらに小川市長の主張を聞いた市議の一人は「彼女は去年も同じようなことやって議会でも注意されているんです」と苦々しく話す。
問題になったのは昨年8月下旬、日本列島を台風10号が襲った時の小川市長の行動だ。前橋地方気象台は昨年8月29日午前に前橋市に大雨警報を発令した。翌30 日の午後4時45分には『警戒レベル3=高齢者等避難』が市内の一部に発令されて、市は対策本部を設置している。
この大雨の時も小川市長が市役所にいなかったというのだ。
市議会では昨年12月6日、当時市議だった阿部忠幸氏がこの際の小川市長の対応を本人にただした。これに対し市長は、「その日(昨年8月30日)は夕方から公務があり、私自身はその(災害対策本部の設置)後、庁舎を離れたが秘書広報課長から随時報告を受け、状況の把握を行ない、何かあれば直ちに庁舎に登庁できるような態勢を整えていた」と答えている。
「市長は私の話を上の空で聞いていたんでしょう」
阿部氏は倒木などの被害が出たことを挙げ、翌31日にどのような報告を受けどう指示したのか、追って尋ねた。
すると小川市長は「避難情報の解除、災害対策本部の廃止が(31日)午前4時45分から5時ぐらいに行なわれ、私自身もその時間、自宅にはいたが、起きていつでも対応できるように待っており、適宜やり取りをしている」と答えた。
この姿勢に対し阿部氏は疑問を呈し、「そういう時に市役所に登庁して報告を受ける、指示するのが市長だ。そういう対応をしていただきたい」と考えを改めるよう求めた。しかしこれも市長は「必要があれば常に駆けつけるということで対応していきたい」と事実上拒んでいる。
今は政界を引退した阿部氏は質問の目的について、「伝えたのは(災害時には)市役所の中で指示をしてほしいということです。台風10号では市南部で多数の被害が出ているとの情報が上がっていたんです。被害が出ていたら市長が指示をするなり、現場に行くなりするべきなので議会で指摘しました」と話す。
そして今回、大雨の日にもラブホテルへ行っていたことについて「市長は私の話を上の空で聞いていたんでしょう。真剣に受け止めなかったのだと思います」と残念そうに話した。
革新系の小川市長は自民党系重鎮だった阿部氏の質問は政治的な攻撃と受け止め、忠告を聞かなかったのかもしれない。いっぽうで、阿部氏と同じく自民党系の先輩政治家である大澤元知事が辞職を最後まで拒み任期を満了したことは参考にしているようにも見える。
当時、大澤氏は辞職要求に「自分を戒め、県発展のため努力することが私の使命」と強弁した。その言葉は、今回の小川市長の「しっかりと反省し市民のために引き続き力を尽くしていきたい」との主張にしっかりと受け継がれている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班