
元フジテレビアナウンサーの西岡孝洋さん(49)。スポーツ実況の第一線で活躍してきた彼だが、実は「タワマン愛好家」という別の顔がある。
「タワマンわらしべ長者」とも自称するその華麗な売買遍歴についてきいた。
「24時間ゴミを捨てられる快適さに衝撃を受けた」
西岡さんはこれまで、大崎、高輪、豊洲、浜松町、白金高輪、そして今の湾岸エリアのタワマンと、6つのマンションを買って移り住んできた。そのうち大崎を除く5つがタワマンだ。それも不動産業界でも高く評価されているマンションばかりで、その「目利き力」も話題となっている。
――まず、西岡さんがタワマンを好きになったきっかけから教えていただけますか。
西岡(以下略) 2008年に賃貸で港区の「シティタワー高輪」に引っ越したのが最初のきっかけです。それまで住んでいた板状の大崎のマンションとは、クオリティが全く違いました。コンシェルジュがいる受付、友人を呼んだときに感動される豪華なエントランスや入口の植栽。そして何より衝撃だったのが、24時間365日いつでもゴミを捨てられることでした。
――生活の利便性がまったく違うと。
当時はアナウンサーの仕事で海外出張が非常に多い時期だったので、ゴミ出しの時間を気にしなくていいことが、これほど快適なのかと感動しました。
――そこから、いよいよタワマン購入の道に進まれるわけですね。
はい。最初に買った大崎のマンションが、買ったときより1000万円以上高く売れたんです。当時の常識でいうと、新築から中古になって値上がりするなんて考えられなかったので、『これはおかしい、何か大きな経済ショックが来るかもしれない』と思って、一度賃貸に移ったんです。そしたら、本当にリーマンショックが来た」
――すごい先見の明ですね!
ぴったり来たんですけど、なぜかあまり達成感がなくて(笑)。それよりも、月々24万円の家賃を払い続けるのがもったいないな、と。住宅ローンの返済と違って、家賃の支払いは純粋にお金が出ていくことを意味しますので。そんなとき、賃貸で住んでいたタワマンの隣のタワマンでホームパーティーがあって、オーナーである友人の友人から買うことになったんです。
――リーマンショックの最中に購入を決断されたと。勇気がいりませんでしたか?
結果的に、賃貸で払っていた家賃よりも月々のローン支払いが安くなりましたからね。
「新婚旅行中、妻に内緒でモデルルームを予約した」
――その後、豊洲のタワマン「SKYZ TOWER&GARDEN」に住み替えられます。これは東京オリンピックの開催決定が大きかったとか。
まさにその通りです。高輪のマンションに住んでいるとき、新婚旅行でモルディブにいたのですが、現地のホテルで開催地が「TOKYO」とコールされるのを聞いて「おおっ」と。すぐに湾岸エリアの価値が上がるとピンときて、日本に帰った翌日にモデルルームへ行きました。
――奥様とご一緒に?
いえ、1人で。妻には内緒でした(笑)。モデルルームで買う気満々になって、家に帰ってから「発表があります。マンションを買います」と事後報告したんです。そしたら「言い方があるでしょ」と怒られました。あとで義理の母からも「すごく動揺してたわよ」と聞かされて、これは「ガチで怒っているやつだな」と反省しました……。
――そもそも奥様としては引っ越し自体にも抵抗感があったのでは?
はい……。
――その後もたくさんのマンションを売買して引っ越していますが、奥様は嫌がっていないのでしょうか?
4部屋目くらいから、妻もマンション選びを楽しんでくれるようになっていて、「このマンションどう?」なんて教えてくれたりするようになりました(笑)。あと、強調しておきたいのは、僕が押し切ったSKYZ以外は、最終的に妻が「ここがいい」と言った物件を買っているんですよ!
――やはり家族の同意は重要ですよね(笑)。ただ、豊洲のそのマンションは、ある不動産評論家から「買うべきではない」と厳しい批判を受けていたそうですね。
ええ。私が住んでいるまさにそのマンションが、「住宅バブル崩壊の象徴になる」「10年後には資産価値が半分になる」と、事実上名指しで何度も書かれ続けました。自分の住んでいる物件をここまで書かれる経験はなかなかないので、やはり不安になりました。実際には買った時よりも2000万円も高く売れたので、正直ほっとしました。
――専門家がそこまで大きく予想を外すのも驚きです。
結局、その評論家の方もビジネスでやっているのだと思います。不安を煽るような過激な論調のほうが、読者や視聴者にはウケがいいですから。
「一生住むと誓った1年後に、次のマンションを買っていた」
――豊洲の次は、中央区の「パークコート浜離宮 ザ タワー」ですね。ここで一気に価格帯が上がります。
初めての「億ション」です。1億2000万円でしたから、当時の感覚では今の2億円くらいのインパクトがありました。さすがにこれは勇気がいりましたね。妻にも「もう引っ越さない。ここが終の棲家だ」と伝えました。子どもが2人できても大丈夫な広さだし、一生住んでもいいと思える素晴らしいマンションでしたから。
――しかし、その誓いは1年で破られることになったと……。
はい(笑)。
――その間に、白金高輪のマンションも購入されています。これはどういった経緯だったのでしょうか。
湾岸のマンションは、契約から引き渡しまで3年半ほど期間が空いていました。その間にもうひとつ白金高輪に素敵なマンションが発売されて、1年限定で住もうと思って購入しました。こちらは今までのマンションの利益で現金購入しましたが、今は賃貸に出しています。2部屋のマンションを所有できたことで、フジテレビをやめるという決断をできたという面もあります。
――湾岸のマンションの完成を待っている間に、もう1部屋買ってしまうのもすごいですね! ここまででマンションを6部屋も買われていますが、買いすぎではないですか? もしかして、これからもまだ買われるつもりでしょうか?
今のマンションも素敵ですし、子どもがもうすぐ小学校に入るので、しばらくは引っ越しは難しいと考えています。投資用としては購入を検討しているので、モデルルームには行っています!
――すごく顔が生き生きとされていて、マンションがお好きなことが伝わってきます。西岡さんのマンションの目利き力が話題になっていますが、私たちがモデルルームで見るべきポイントを教えていただけますか。
まず、オプションに惑わされないことです。
あとは、やはり自分が心から住みたい家を買うというのが大切だと思います。今はマンション価格が上がっていますし、暴落を心配されている方もいるでしょう。仮に価格が大きく下がる局面が来ても、5年から10年住み続けることができれば、いずれ市場は変化しますので。
取材・文/集英社オンライン編集部