「さ、最強のコンビニ!」セイコーマートが“値下げ”発表 セブンやファミマの半額以下に…「意味不明すぎて理解できない」
「さ、最強のコンビニ!」セイコーマートが“値下げ”発表 セブンやファミマの半額以下に…「意味不明すぎて理解できない」

日本の年間インフレ率は3.1%にのぼり、庶民の財布を直撃している。コンビニコーヒーも値上げが続いているが、そんななか、セイコーマートが“逆走”した。

セブン-イレブンやファミリーマートが値段を引き上げるなか、まさかの値下げ。いったいなぜ、その決断に至ったのか。

嬉しすぎる「お客様へのお知らせ」

止まらない物価高。「価格変更=値上げ」の空気が濃いなか、北海道に広く展開するコンビニチェーン『セイコーマート』(以下、セコマ)が“まさかの値下げ”で話題だ。

『セコマ』の各店では、コーヒーなどを販売する“セコマカフェ”のコーナーにて、「お客様へのお知らせ」というポップをつけて、9月22日からの値段の変更を公表した。ホットコーヒーやアイスコーヒーが税抜き93円から100円へと“微増”しているが、驚くべきはカフェラテの値段。

130円から110円(税抜き)と、なぜか“値下げ”をしたのだ。しかもその幅は、コーヒーの値上げ幅よりもはるかに大きい。

SNSでは喜びとともに、戸惑いの声まであがっている。

「お店で見たけど小さい字だから一番上だけ読んで値上げ…って思ってた。まさかの値下げとは!」

「まー値上げしても他のコンビニコーヒーより安いよなー…って下がってね!??!ってなった」

「さ、最強のコンビニとは聞いていたがここまでとは…!」

「コーヒー豆などの原材料高騰により価格を見直しとあったのに、カフェラテを値下げするのは意味不明すぎて理解できないのよ(褒」

では、大手3社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン)の“ここ2~3年”のコーヒー/カフェラテの価格推移はどうだったのか。比べてみると、セイコーマートの“破格ぶり”が浮き彫りになる。

セブン-イレブンの「セブンカフェ」は、2013年にレギュラーサイズ100円(税込、以下同)でスタート。

当時の“ワンコインコーヒー”としてコンビニコーヒーブームを牽引した。しかし、原材料や物流コストの高騰を受け、2022年に110円、2024年に120円前後へと値上げ。

さらに2025年7月には大幅改定が行なわれ、ホットコーヒーRサイズが120円から140円に、Lサイズは180円から220円へ。アイスコーヒーもRサイズが140円、Lサイズが250円となった。

カフェラテの値上げ幅はさらに高く、2017年時点ではホットRサイズ150円・Lサイズ200円、アイスRサイズ180円・Lサイズ250円で販売されていた。その後、ミルクやコーヒー豆の価格高騰を受けて段階的に値上げが進み、2025年7月には大幅な価格改定を実施。現在はホットラテRが220円・Lが280円、アイスラテRが270円・Lが340円となっている。

セイコーマートのカフェラテは主要コンビニの半額

値上げ理由はコーヒー豆の高騰や生産量減少などの構造要因だ。

ファミリーマートも2025年5月27日から「FAMIMA CAFÉ」を平均9%の値上げ。コーヒーS(ホット/アイス)が130円→145円、アイスコーヒーMやアイスカフェラテMが220円→240円へ。

ローソンは2025年7月1日付で「MACHI café」を改定。コーヒーS(ホット/アイス)は140円→160円、カフェラテMは210円→230円、アイスカフェラテMは260円→280円など、物流費・豆価格・包材コスト上昇を理由に段階的に引き上げた。

こうしてみると、セコマカフェのブレンドコーヒーは、値上げしても他のコンビニチェーンの7割程度で、カフェラテに至ってはほぼ半額である。なぜここまでの安さを実現できるのか。

株式会社セコマの広報担当者はメール取材に対し、「カフェラテで使用する牛乳は北海道豊富町産牛乳です。牛乳のおいしさが特徴なので、是非体験してほしいので、手に取って頂ければと考えたためです」と回答した。

物価高の影響については「原材料・人件費・エネルギーなどの上昇を背景に価格改定はあるが、サプライチェーン効率化や調達見直しで上昇を抑える努力を続ける」とし、“安さの維持”を企業姿勢と明言している。

北海道は、日本全体の生乳生産量の約57%を占める一大酪農地帯だ。しかし国内の牛乳消費は長期的に減少傾向にある。飲用離れが進む一方で、輸送コストや飼料価格の上昇も重なり、酪農経営は厳しさを増している。

そうした背景から、農林水産省が牛乳の消費拡大を呼びかけたり、北海道庁やJAグループなどはここ数年、牛乳の消費拡大キャンペーンを積極的に展開している。セコマのカフェラテが安い理由の裏には、「北海道の牛乳を飲む文化を支える」という使命感も垣間見えるようだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

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