「メディア性を失った自分に悩んだことも」デビュー25周年、ミュージカル女優に転身したソニンの現在地
「メディア性を失った自分に悩んだことも」デビュー25周年、ミュージカル女優に転身したソニンの現在地

2000年、EE JUMPで華々しくデビューするも解散に追い込まれ、以降は苦労の多いキャリアを歩むことになったソニンも、気づけば活動25周年。芸能人生を変えたミュージカルとの出会いとは? そして、あの人への思いや結婚観を聞いた。

 〈前後編の後編〉

衝撃を受けた大竹しのぶの演技 

――現在は女優として活躍するソニンさん。舞台との出会いはどんなものだったんでしょうか。

ソニン(以下、同) 2003年、20歳のころに友人が出演する『奇跡の人』を観に行ったんです。そこで(ヘレン・ケラーの家庭教師の)サリバン先生を演じていた大竹しのぶさんの芝居を見て衝撃を受けて、舞台に興味を持ちました。

――具体的にどうスゴかったんですか?

予備知識ゼロでだったのですが、当時45歳のしのぶさんが20歳という設定のサリバン先生を違和感なく演じられていたんです。パンフレットに書いてある情報じゃなくて、芝居でそれを伝える技量を持つ人が本当の役者なんだと、ものすごくカルチャーショックを受けたんです。

――憧れの大竹しのぶさんとは2007年の『スウィーニー・トッド』で共演されてますね。

ミュージカルのオーディションを受けてみないかとオファーを頂き、しのぶさんが主演を務められると聞いて、受けることにしました。

初めてのミュージカル出演でしたがすごく楽しくて、観に来てくれた友達たちからも「ソニンはミュージカルに合ってるよ」なんて言われて、いよいよミュージカルの虜に。

ミュージカルとは何なのか、ミュージカルで歌がうまいとは何なのか、そういうことを知りたくて年間で約100本は観に行きました。暇を見つけては本場ニューヨークにも出向いたりして。

 ――その後、2012年から1年半、ニューヨークに演劇留学へ行くことに。

初めて1人でニューヨークに行った時、ここに住んでみたいという直感が働きました。

EE JUMPデビュー前のレッスンや1stシングルのPV撮影で訪れていたりと、ニューヨークには縁があったのもあるんですけど。

舞台のオファーが相次いでるタイミングでの活動休止だったから周囲からは「もったいないよ」なんて言われたんですけど、自分の中で迷いはありませんでした。

――実際、住んでみてどうでしたか?

何か大きなものを得るために行ったのに、ニューヨークという町はあらゆる面で刺激が多すぎるから、一日をやり過ごすだけ大変。日常生活すらままならない自分がすごく情けなくて毎日泣いてましたね。

でも、そんな日常をあっちの人は笑って受け流してるんですよね。それを見てたら私も泣いてらんないなって。レッスンや英語の授業で挫折を味わっても次の日は笑顔。それを意識していたら、すごくポジティブに生きられるようになった。

ニューヨークでの1年半はメンタルの成長が一番大きかったかもしれないです。

“芸能界の父”とは今でも仲良し 

――帰国後は活動再開。以降は順風満帆な役者人生に映ります。

でも自分からメディア性をカットしたことによる後悔というか、足かせみたいなものは感じましたよ。

――メディア性をカット……?

当時の私は“舞台に命を懸けます”ということを見せたかったのか何なのかわかりませんけど、自分の中でテレビには出ません、みたいな姿勢でいたんですよ。



でもそこまでして舞台にすべてを注いで実績を積んだからといって、いい役をもらえるかというと、そういうわけではない。やっぱり舞台は話題性があったり、お客さんを呼べる人じゃないと主役はめぐってこないんです。

そういう意味では、メディア性を失った自分に悩んだことはありました。

――やはり露出が減ることで、イヤなことを言われることも。

よくあります。最近は地上波のドラマに出れば、「まだ引退してなかったんだ」とか。年間3、4作品のペースで毎年舞台に出演したり、間も空けず仕事し続けてるのに(苦笑)。

――それだけ売れっ子でしたら、芸能界入りのきっかけをつくってくれた、かつての名物マネージャーだった和田薫社長もを喜んでいるんじゃないですか?

めちゃくちゃ喜んでくれてますよ。舞台も必ず観に来てくれますし。

――いまだにつながりがあるんですね。

普通に連絡を取ってます。ジムも一緒だし(笑)。

あの方は私の芸能界の父ですから。

結婚は「もうそろそろ…」 

――デビュー25周年となってソニンさんも42歳。体力も重要な舞台のお仕事ですが、体力的、精神的にキツイと感じることは?

人間ですから年齢を重ねれば、いろんな組織が古くなって体力が落ちてくるのは普通のこと。

でも衰えていくのをただ見てるんじゃなくて、できるだけ努力して体力を保ちたい気持ちは強いので、しっかりトレーニングして食事などの生活習慣は整えるようにしてます。とくに11月からはとてもタフなロンドン公演(ミュージカル『SIX』)が控えていますからね

――さすがストイックな生活をしていることで有名なソニンさん。何でも自分でできてしまうだけに、人生の伴侶は必要ない?

30代は仕事が人生の伴侶という気持ちでやってきて、仕事にすべてを捧げてきた自覚はありますが、もうそろそろ私も誰かにサポートしていただきたいなって思いは強くなってます。

誰かと二人三脚でサポートし合うことは昔から心に決めてて。でも結婚って縁じゃないですか。結婚という形に憧れて……というタイプではないので、いいタイミングでこの人だったらパートナーとして人生を一緒に歩めるかな、という人が見つかればって感じですね。

――『おっととっと夏だぜ!』の歌詞、「まずは肝心な相手 探そう」というところでしょうか。そういえば、EE JUMPの楽曲はいまだに聴くことはあるんですか?

ちょこちょこイベントで歌ってますよ。私の歴史ですし、曲も素敵ですからね。

相方のパートも全部歌います。

12月開催の25周年ライブでも何曲か歌います!

――12月13日にデビュー25周年記念ライブ「Sonim's 25th Anniversary Live『Beautiful Mission』」が開催。このライブはソニンさんがフルセルフプロデュースされるそうですね。

以前から芝居仕立てのライブというものに興味があったんです。せっかく役者と歌手をやっているんだから、ライブをベースに、MCじゃなくて芝居で曲と曲をつないでいったらどうなるんだろう、そんなライブをせっかくだから自分で演出を考えてみようかなと。

演出の経験はありませんが、初めてのチャレンジをファンの人に見てもらえるって意味のあることだと思うので、興味のある方はぜひお越しください!

――活動25年の集大成が見られるライブになるかもしれませんね。本日はありがとうございました!

取材・文/武松佑季
撮影/二瓶彩

編集部おすすめ